スパムメールやソーシャルネットワークを悪用して拡散
「わんこアプリ」の正体は「電池長持ち」、悪質アプリが次々発見
2012/08/09
人気の高い動画の再生アプリを装って個人情報を収集する「The Movie」や、「スマートフォンのバッテリーを節約する」と称して電子メールアドレスを収集するアプリに続き、さも有用なアプリであるかのように見せかけてユーザーをだます、Android向けの悪質なアプリが次々発見されているとして、セキュリティベンダが注意を呼び掛けている。
シマンテックは8月9日、同社ブログで、スマートフォンの使い勝手を改善すると称して情報を盗み取る悪質なアプリが続々と発見されていると報告した。
多くのスマートフォンユーザーがバッテリーの寿命に不満を感じていることにつけ込んで、「電池節約アプリ」「エコ電池アプリ」「ソーラー式の電池充電アプリ」といった名称のアプリが、スパムメールを通じて紹介されているという。しかしこれらのアプリにバッテリー消費改善効果はなく、デバイスの「連絡先」に保存された情報などを盗み取ってしまう。
ほかに、「電波改善アプリ」も報告されているほか、映画「ヘルタースケルター」の主演女優、沢尻エリカの無料ビデオが観られるアプリをかたったものも発見されたという。
シマンテックは、この種の悪質アプリはスパムメールを通じて広がっているほか、だまされたユーザーがソーシャルネットワークサービスに投稿することでも広がっていると指摘。たとえ友人の投稿であっても、こうした投稿に含まれるリンクはクリックしないよう注意が必要だという。
トレンドマイクロも、Facebookのファンページに投稿されたメッセージを通じて、この手の悪質アプリが流通しているとし、実例を挙げて注意を喚起した。
トレンドマイクロによると、愛犬家向けに作成されたファンページに「わんこアプリ発見〜w」というメッセージとともに不正プログラムのダウンロードURLが投稿された。しかしこのアプリの正体は、犬に関するアプリなどではなく、「電池長持ち」。インストール時には「連絡先データの読み取り」のパーミッションを求め、アドレス帳のデータを国内のサーバに送信するという。
トレンドマイクロは、実名性を掲げるFacebookという場で、コミュニティ参加者から投稿されたメッセージであるため、人の警戒心が薄れやすいと指摘。攻撃者は「口コミ」のパワーを逆手にとることで、大規模な拡散を狙っているようだとし、注意を呼び掛けている。
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