Androidアプリのプライバシーリスクも評価
トレンドマイクロ、プライバシー保護に配慮した対策ソフト新版
2012/08/30
トレンドマイクロは8月30日、コンシューマー向けセキュリティソフト「ウイルスバスター クラウド」の最新版と、Android OSを搭載したスマートフォン/タブレット端末向けセキュリティソフト「ウイルスバスター モバイル for Android」の最新版を発表した。ソーシャルネットワークやモバイルデバイスの普及を背景に、プライバシー保護に配慮した機能を追加していることが特徴だ。
同社取締役副社長 大三川彰彦氏は、「ソーシャルメディアの普及によって、思わぬところで思わぬ危険にさらされる状況が発生している。そうした不安を簡単に解消させたい」と述べた。
ウイルスバスター クラウド 最新版は、新たに「Facebookプライバシー設定チェッカー」を追加した。Facebookでは、設定の不備などにより、意図せずプライベートな情報を不特定多数に公開してしまうこともある。Facebookプライバシー設定チェッカーは、Facebookの設定を確認し、「知り合い以外からはメッセージは受け取らない」など、プライバシー保護の観点から推奨される設定をアドバイスする。同時に、SNSで表示されるURLの安全性を表示する「SNSプロテクション」を強化し、FacebookやTwitter、mixiに加え、google+やLinkedIn、pinterestにも対応した。
また、クラウドベースの脅威情報データベース「Smart Protection Network」(SPN)を利用したアンチウイルス機能も強化した。ユーザーから提供される情報に基づいて、ファイルの分布、拡散状況を把握してリスクを評価する「コミュニティ・インテリジェンス」を、ファイルレピュテーションやホワイトリストと組み合わせ、「マルウェア検出の精度と、未知の不審なファイルの検出精度の向上を図っている。シグネチャが用意されていないものについても、クラウドとローカルの組み合わせで分析し、危険性を警告する」(同社プロダクトマネージャ 塩田行宏氏)という。
さらに、10月発売予定のWindows 8にも対応。Windows 8のセキュアブートに対応し、不正プログラムの実行を防ぐ仕組みを実装するほか、Modern UI(Metro)でも、従来同様、Webレピュテーションによる不正なサイトへのアクセスをブロックする仕組みを提供する。さらに、「セキュリティ脅威マップ」や「セキュアブラウザ」といったModern UI向けの専用アプリも提供する予定だ。
一方ウイルスバスター モバイル for Androidは、ユーザーに無断で個人情報を抜き取る不正なアプリが増加している背景を踏まえ、「プライバシースキャン」機能を追加した。プライバシースキャン機能では、SPNの1つであるモバイルアプリ評価システム「Trend Micro Mobile App Reputation」(MAR)と連携するほか、静的解析やサンドボックスによる動的解析を通じてアプリの動作を解析。携帯電話の識別番号や位置情報、写真/動画や連絡先など、スマートフォンの内部に保存されている端末情報/個人情報を収集する可能性があると、3段階で警告を表示する。
「アプリをインストールする際にはパーミッションについてのメッセージが表示されるが、一般にこれを理解するのは難しい。また、同意しないとアプリが使えないこともあって、読み飛ばしてしまうのが現実」(同社プロダクトマネージャ 石橋達司氏)。プライバシースキャン機能によって、どのアプリが、どういった情報を収集/利用しようとしているかを分かりやすく表示することで、プライバシーに関するリスクをユーザーに伝えていくという。
ウイルスバスター クラウドの価格は、ダウンロード版は4980円(1年版)、パッケージ版は5980円(1年版)。ウイルスバスター モバイル for Androidはオープンプライスだが、参考価格は1年版で2980円となっている。
関連リンク
情報をお寄せください:
- Windows起動前後にデバイスを守る工夫、ルートキットを防ぐ (2017/7/24)
Windows 10が備える多彩なセキュリティ対策機能を丸ごと理解するには、5つのスタックに分けて順に押さえていくことが早道だ。連載第1回は、Windows起動前の「デバイスの保護」とHyper-Vを用いたセキュリティ構成について紹介する。 - WannaCryがホンダやマクドにも。中学3年生が作ったランサムウェアの正体も話題に (2017/7/11)
2017年6月のセキュリティクラスタでは、「WannaCry」の残り火にやられたホンダや亜種に感染したマクドナルドに注目が集まった他、ランサムウェアを作成して配布した中学3年生、ランサムウェアに降伏してしまった韓国のホスティング企業など、5月に引き続きランサムウェアの話題が席巻していました。 - Recruit-CSIRTがマルウェアの「培養」用に内製した動的解析環境、その目的と工夫とは (2017/7/10)
代表的なマルウェア解析方法を紹介し、自社のみに影響があるマルウェアを「培養」するために構築した動的解析環境について解説する - 侵入されることを前提に考える――内部対策はログ管理から (2017/7/5)
人員リソースや予算の限られた中堅・中小企業にとって、大企業で導入されがちな、過剰に高機能で管理負荷の高いセキュリティ対策を施すのは現実的ではない。本連載では、中堅・中小企業が目指すべきセキュリティ対策の“現実解“を、特に標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)対策の観点から考える。