基本スペックはかなり向上
Windows Server 2012、仮想化で注目の機能は
2012/09/05
Windows Server 2012が9月5日、国内で正式発表された。ボリュームライセンスは9月1日に提供開始済み。パッケージは9月26日に発売予定だ。同OSをバンドルしたサーバ機の各社からの提供は、9月中旬以降になる予定。
Windows Server 2012では、Hyper-Vの新バージョン3.0搭載に伴う、サーバ仮想化関連の機能強化が印象的だ。9月5日に行われた発表の場では、これまでは競合製品(もちろんVMware vSphereのこと)に追いつけていなかった部分があったが、同等あるいは競合製品を超える部分が出てきたと、日本マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長の梅田成二氏が話していた。たしかに基本スペックでは追いついてきたし、機能はVMware vSphereの豊富さにはまだかなわないものの、Windows Server 2012/Hyper-Vのほうが使いやすいと思われる機能も出てきた(9月5日の発表概要については、こちらの記事をご覧いただきたい)。
そのいい例が「Hyper-Vレプリカ」だ。これは、あるサーバ機上の仮想マシンを、別のサーバ機(のストレージ)に、定期的に非同期で複製できるという機能。複製元の仮想マシンがダウンして使えなくなっても、この仮想マシンの複製データを起動すればいい。このため、災害対策(DR)のための手軽な手段になる。
Hyper-Vレプリカによる複製は、距離がいくら離れていてもかまわない。同じサブネットにいなくてもかまわない。同じWindowsドメインにいてもいなくても、電子証明書によるサーバ認証が行えればいい、仮想マシン単位の複製であり、ハードウェアにも非依存だ。すなわち災害対策(DR)のための遠隔複製を想定した場合も、同一のストレージ装置を対向で利用する必要はない。
Hyper-Vレプリカは5分に1回などの頻度で実行することが可能という。複製作業が実行されるたびに、前回以降の差分データが待機側のサーバに送られる。複製先では、差分の転送が完了したのを待って、前回までに複製されたデータと自動的にマージする。従って複製作業の途中に複製元の仮想マシンがダウンした場合も、前回の複製データを利用できるので、問題は発生しない。
Hyper-Vレプリカは、System Centerがなくても利用できる。この点でも手軽に使える機能だ。PowerShellでスクリプトを書くことで、待機側の仮想マシンの立ち上げ順序をコントロールするなども可能という。ヴイエムウェアも昨年「VMware vCenter Site Recovery Manager(SRM)」のバージョン5で、ハードウェアに依存しない仮想マシン複製機能「vSphere Replication」を搭載、さらに今年8月末発表のVMware vSphere 5.1で、この機能をvSphereにも搭載した。従って、どちらも現時点では、アドオン製品を使わずに簡単なDRの仕組みを実現できるようになった。ただしどちらも、仮想マシンを複製できるだけであり、アプリケーションデータを仮想マシンの仮想ディスク以外に置いている場合は、このデータをどう複製するかを別途考える必要がある。
ネットワーク仮想化については、複数の手法が加わった。
1つはGRE(NVGRE)によるカプセル化。Hyper-Vホスト単位で、仮想マシンのトラフィックをGREによってカプセル化する。その際に、このホスト上の仮想マシンが複数の異なるサブネットに属している場合は、仮想サブネットID情報とともにカプセル化する。もう1つはIPアドレスの書き換え(IP rewrite)。Hyper-Vホストで(カプセル化ではなく)仮想マシン個々のIPアドレスと外部アドレスとの書き換えを行う方法だ。
こうした手法で、遠隔サーバ同士を同一の仮想ネットワークセグメントに収めれば、仮想マシンの遠隔的なライブマイグレーションも実現しやすくなる。
総じていえば、Hyper-Vによるサーバ仮想環境の管理には、通常System Centerが必要となるため、マイクロソフトが現在でも口にする「仮想化は無料であるべき」という議論には無理がある。しかしSystem Centerを使いさえすれば、Hyper-V 3.0でかなりのことができるようになってきていることも事実だ。
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