[Analysis]

規制強化で出会い系とSNSが接近

2008/09/22

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 あまり知られていないことだが、来年2月にも出会い系サイト利用に際して年齢認証が義務化される予定である(出会い系年齢認証義務化についてのパブリックコメント)。

 いわゆる「出会い系サイト規制法」の成立以来、児童が利用しないための確認は必須であった。しかし、従来は事業者による児童利用不可の告知と利用者の年齢申告を信じることによる年齢確認であったものが、今後は免許証など公的な証明または、児童が通常は使わないクレジットカードなど、より強力な年齢認証が義務化される予定なのだ。

 出会い系の利用者に、かなりの個人情報の開示と登録を求めるわけで、犯罪抑制の対策としてはかなり強力だ。国家公安委員会も強力な抑止力になることを期待しているはずである。

 そもそも、出会い系サイト規制法とは、「インターネット異性紹介事業」を規制対象とする法律である。なんとも法的な言い回しだが、平たく言えば「異性との出会いを望む人に、ネットを使って情報提供し、メールやチャット、電話などで相手との連絡を取らせる仕組みを持つサイト」を規制し、主に社会問題化していた児童の利用を排除する目的で5年前に施行した法律だ。

 法律制定の効果もあり、規制の翌年には出会い系がらみの犯罪は減少した。しかし、その後は横ばいとなり、「青少年ネット規制法」によるWebサイトのフィルタリング規制に続き、出会い系サイトに対しては厳格な年齢認証が導入されることになったわけである。

規制強化で出会い系とSNSが接近

 今回の規制は児童に出会い系サイトを利用させないために全利用者に免許証の提示または、クレジットカードの利用を強いるわけで、通常の利用者に対する負担も大きい。出会い系事業者から見れば利用者が大幅に落ち込むことが予想され、おそらく、規制逃れを模索する事業者が多数出てくると思われる。

 異性紹介事業に対する規制を逃れるため、事業者は「通常のSNSだけど、異性と出会いやすい」というサービスを考えるだろう。つまり、規制強化の結果として出会い系と通常のSNSの境界をぼかしたサービスが多数登場してくると考えられるのだ。

 同時に怖いのは規制を行う側の拡大解釈である。そもそも異性との出会いを期待してSNSを利用しているユーザーは多いだろう。ユーザーのプロフィール公開と相互メッセージ交換機能をもつSNSは潜在的に「出会い系サイト規制法」に抵触する可能性があるのだ。結果、普通のSNSで登録時にクレジットカードや免許証の登録が必須となったり、モバゲータウンで見られるような神経質なサービス制限やメッセージの削除が当たり前になる可能性がある。

 規制を受ける事業者の今後のもう1つの選択肢は「日本語化された海外のサービス」といういつものパターンだ。著作権法の解釈で日本にサーバを置けないサーチエンジンや、法的扱いが不明確なため、日本人利用者はいるが、宣伝や営業活動が公に行えないPayPal同様、出会い系サイトも海外設置が当たり前になるのかもしれない。

 伝統的に我が国の規制は、対象が曖昧で裁量の余地が大きいものが多い。児童保護のためにフィルタリングなどの規制が必要なことは確かなのだろうが、規制そのものが恣意的に運用されたり適用対象の過度な拡大にならないよう、これからも注目していく必要はありそうである。

(日本ソフトウェア投資 代表取締役社長 酒井裕司)

[著者略歴]

「大学在学中よりCADアプリケーションを作成し、ロータス株式会社にて1-2-3/Windows、ノーツなどの国際開発マネージメントを担当。その後、ベンチャー投資分野に転身し、JAFCO、イグナイトジャパンジェネラルパートナーとして国内、米国での投資活動に従事。現在は日本ソフトウェア投資代表取締役社長

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