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次世代データセンターソリューション セミナー レポート

噂のFusion-io ioDrive、その実力は? どう使いこなすべき?

2010/10/29

高速フラッシュメモリ製品「Fusion-io ioDrive」が、I/Oボトルネックに悩むアプリケーション/サービス運用担当者の間で大きな話題となっている。国内でも大規模Webサービス企業が採用するなど、利用事例が着実に増えつつある。このioDriveに関するセミナー、「次世代データセンターソリューションセミナー データベースユーザー必見! 検証結果が証明するI/Oボトルネック解消術とは」が2010年10月15日に東京・秋葉原で開催された。ここではioDriveの紹介に加え、さまざまな検証試験の結果が示された。ここでは、同セミナーの内容をレポートする。

インデックス

  • 基調講演「Fusion-ioが変革する次世代データセンター」
  • セッション1「次世代データセンターに最適なサーバの在り方とは」
  • セッション2「国内で実施されたFusion-io検証結果のご紹介」
  • セッション3「MySQL環境におけるFusion-io検証結果とDeNAにおける活用価値」

基調講演
「Fusion-ioが変革する次世代データセンター」

Fusion-io COO
ランス・スミス 氏

 Fusion-ioの「ioDrive」が昨今注目されている。一般的なSSDにも使われているNAND型フラッシュメモリをPCIe(PCI-Express)ボードに実装した製品だ。多数のフラッシュメモリモジュールを用いた並列的なアクセス管理やPCIeインターフェイスの活用によって、ハードディスク(HDD)とも一般のSSDとも異なる桁違いのパフォーマンスを実現している。デルとはOEMパートナーシップを結んでおり、「160GB SLC ioDrive」「640GB MLC ioDrive Duo」といった製品を提供している。

 ここ数十年で企業におけるデータ処理量は大きく増大した。その結果データセンターの規模や数は広がり続け、電力消費の面からも大きな問題となっている。コンピュータの性能向上に伴って、サーバを集約することで解決が図れるはずだったが、プロセッサが速くなったほどにはディスクのI/Oが速くなっていないため、アプリケーション性能はCPUではなくI/Oによって制約されてしまうというのがデータセンターでの課題だ。DRAMに比べてストレージはCPUからの時間的な距離が非常に遠く、これがメモリギャップと呼ばれる現象を引き起こしている。

 2010年は全世界で仮想サーバの数が物理サーバの数を超え、サーバ仮想化が本格化した年といえる。サーバ1台あたりの仮想マシン数はこの2年間に平均4台から8台に増加したとされる。ただし、仮想マシンによりCPUの利用率を上げるサーバ統合には課題もある。それぞれのワークロードにCPU/メモリ/ストレージが割り当てられていた状態から、1つのCPUに複数ワークロードをまとめると、コンテキスト・スイッチングによる遅延やメモリ集合化による帯域問題、DRAMのキャパシティ限界といった問題が生じる。さらに、ネットワークI/OやストレージI/Oの負荷が増大するという問題もある。サーバ統合はI/Oプロファイリングに独特の課題を提起する。

 それを解決するのが、ioDriveの実装だ。SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)の30倍という高速転送でレイテンシを抑制し、キャッシュメモリの拡張にも使える。仮想マシンの収容能力を格段に向上させる。SANストレージに置かれたデータのうち頻繁に使うものをioDriveに移し、CPUに近づけることでメモリギャップを緩和するのである。

 ioDriveは、スケールアウトでサーバ数が増加した環境におけるI/Oパフォーマンス劣化対策、スケールアップしたサーバ環境でのパフォーマンス向上の双方に展開可能だ。さらに、高密度化したデスクトップ仮想化環境での仮想マシンの同時起動対策にも有効である。Fusion-ioは、デルとのパートナーシップによって進化し続けるデータセンターの更なる効率化とスケーラビリティを実現する。

【講演資料】

Fusion-ioが変革する次世代データセンター

2010年10月開催の「次世代データセンターソリューションセミナー データベースユーザー必見! 検証結果が証明するI/Oボトルネック解消術とは」で好評を博したFusion-io, Inc.COO ランス スミス 氏の講演資料を公開。

講演資料のダウンロードページへ (TechTargetジャパン)

セッション1
「次世代データセンターに最適なサーバの在り方とは」

デル株式会社
ラージ・エンタープライズ・マーケティング
サーバ・ブランド・マネージャ
布谷恒和 氏

 デルは「企業の変革と成長を、ITの効率化により実現」する「Efficient Enterprise」戦略を提唱している。Efficient Workforce、Efficient Datacenter、Efficient Cloudの3つの分野に対して、デスクトップの効率化、データセンターの効率化、クラウドの効率化といったソリューションをエンド・ツー・エンドで提供するというものだ。これを実現するキーワードは「標準化」「シンプル化」「自動化」の3つだ。

 デルのIT部門では、一般的に20%程度といわれるIT投資全体における戦略的な投資の割合を50%に、売上高に対するIT投資比率を、一般的な製造業の目標値である2%を切る1.74%に、そして2年間で2億ドルのコスト削減という3つの目標を立て、取り組みを進めてきた。2008年から開始されたこの取り組みは、システムの標準化やシンプル化、そして自動化の導入などを経て、2010年末にはITにおける戦略的投資割合50%を達成する見込みという。デルは自身がITベンダーとして製品を提供する側であり、一般的な企業よりも新技術や新製品を導入しやすいという面もあるが、同様の取り組みを進めれば、一般的な企業でも4〜5年あれば同様の効果が得られるだろうという。そのために、デルはレガシー環境を取り除き、ITの効率化を具体的なロードマップと計測可能な数値目標とともに提供していく。

 効率化されたITのためには、プロジェクトごとのサイロ型システムから、標準化されたインフラの上にシステムごとのアプリケーションが載るという構造への移行が必要である。デルではブロック単位で拡張可能な「vPOD」により、仮想化技術によるレイヤごとのスケールアウトを実現する。その際、ベンダロックインになることはデルの望むところではない。適材適所のマルチベンダ環境にすることこそ効率を上げるという考えは当初から変わっていない。オープンで標準技術を利用すること、十分な性能かつ多彩な機能を提供すること、導入しやすい価格で提供することというともすれば背反することもある3つの条件のバランスをとりつつ製品を提供するのがデルの考え方である。

 データセンターやサーバルームでは、サーバ台数の増加によるスペースにかかるコスト、電力や熱の問題、管理コストの増大といった課題がある。ブレードサーバはそれらに対する強力な選択肢となっていることは間違いない。「デル ブレード PowerEdge Mシリーズ」では、さまざまなニーズに応えるべく豊富なラインナップを用意している。なかでも用途を多彩にするのが拡張PCIeスロットを2つ持つ「PowerEdge M610x」で、Fusion-ioの「ioDrive」を搭載できるのもこのモデルである。

 省電力は、デルが特に注力しているポイントの1つだ。2010年7月に行ったデルによる比較調査では、デルのブレードサーバは、シャーシ、ブレードともに、他社の製品と比較して消費電力の絶対値が明確に低かった。また、デルのブレードサーバのワット性能比は、A社より15%、B社より22%高かった。

 これを実現するために、デルはさまざまな工夫をしている。電源装置には最大94%の変換効率を実現する製品を採用。冷却ファンについても高効率なものを用いることにより、他社が10〜12個使わなければならないところを、9個で対応できるようにしている。電源装置は動作状況に応じてきめ細かな制御が可能な「ダイナミック・パワー・サプライ・エンゲージメント(DPSE)」機能を搭載。電源装置利用を「片寄せし」、不要な電源装置は休止させることで、効率の低下を防ぐことができる。また、リアルタイムな電力消費監視に基づく電力利用制限を実施することも可能だ。

 その他、追加料金なしで利用できるメモリ拡張機能「FlexMemブリッジ」の提供、洗練されたシステム管理機能の提供など、Efficient Enterpriseを実現する製品を提供している。これにより、デスクトップからデータセンターやクラウドまでのITの効率化を提案していく。

【ホワイトペーパー】

ブレードサーバの電力効率比較(2010年8月版)

最新ベンチマークレポート ― デル、HP、IBMのブレードサーバ&エンクロージャ の消費電力とワット性能比調査

ホワイトペーパーのダウンロードページへ (TechTargetジャパン)

【講演資料】

次世代データセンターに最適なサーバの在り方とは

2010年10月開催の「次世代データセンターソリューションセミナー データベースユーザー必見! 検証結果が証明するI/Oボトルネック解消術とは」で好評を博した講演資料を特別に公開。

講演資料のダウンロードページへ (TechTargetジャパン)

セッション2
「国内で実施されたFusion-io検証結果のご紹介」

デル株式会社
ラージ・エンタープライズ・マーケティング
データベース・ソリューション・
ブランド・マネージャ
一志達也 氏

 そもそもFusion-ioのような製品がなぜ必要かというと、CPUが20数年で200万倍速くなったのに対してハードディスクは20倍しか速くなっていないというのがその理由だ。ハードディスク装置が足かせになってCPU性能を使い切れなくなっており、そのための解決策としてSSDが登場した。さらに高速にアクセスできるのがFusion-ioである。I/Oパフォーマンスを改善すればCPUばかりが速くなってCPUを使い切れないという問題を打開できるため、高性能サーバの導入に躊躇する必要はなくなり、サーバの集約が進んで設置面積や電力消費を減らす効果も期待できる。

 まずFusion-io自体の純粋なI/O性能だが、Fusion-io社では「今あるSSDより2倍速い」と言っている。検証の結果、確かにかなり速い。ただし、SSDの傾向であるランダムI/Oには強いがシーケンシャルI/Oは苦手という点は同じである。データベースにおけるFusion-ioの利用方法は、何パターンか考えられる。1つは、いままでハードディスクに入れていたものを全部Fusion-ioに入れるという方法で、容量的に入りきるならば、もちろんそれが一番効果的だ。もう1つはハイブリッド構成で、これについては領域をどう分割するか十分な検討が必要となる。そして、キャッシュメモリとして使うという方法もある。データベースのチューニングは「キャッシュヒット率をいかに保つか」が勝負だが、インターネット系のシステムでは業務システムよりもこれが難しい。そのため、キャッシュメモリ領域を拡大するのは効果がある。

 具体的な検証内容としては、Oracleデータベースで使用した場合とSQL Serverで使用した場合が紹介された。Oracleの方は米国で検証したホワイトペーパーからの紹介だが、ハイブリッド構成でインデックスだけFusion-ioに移した場合、1000同時ユーザーで従来のストレージの5.38倍高速という結果になった。ちなみに、Oracle Database 11g R2には「Database Smart Flash Cash」というSSDをキャッシュメモリとして使う機能があり、Fusion-ioに限らずSSDをメモリとして使うことができる。この機能のよいところは、どのデータをFusion-ioに置くか考えなくていいという点だ。使いようによっては、この機能を使わない場合に比べて最大45倍速くなる。

 SQL Serverについては、一般的な構成(Dell PowerEdge R810 Intel Xeon E6540 2.0GHz 2CPU 64GB Memory)で実際に国内でベンチマークを行った内容が詳細に紹介された。すべてHDDで構成した環境とトランザクションログ領域のみをSSDで構成した環境、すべてSSDで構成した環境とを比較しているが、傾向としては多重度1の場合はFusion-ioはハードディスクの1.98倍と確かに約2倍速い。多重度が40になると1.29倍と、スループットの差が小さくなるが、これは多重度を上げるとCPUの方がボトルネックとなるためである。つまり、もっと高速なCPUにするかCPUの数を増やせば、スループットはさらに上がる。高性能なCPUならば、多重度40でも約2倍の差になりうるのである。約2倍というのはキャッシュメモリを64GBも割り当てた場合のことで、それを減らすとハードディスクへのアクセスが頻繁になるため、Fusion-ioとの差は5倍近くになる。

 では、Fusion-ioはどこに使うべきなのか。I/Oの使用頻度が最も高い領域を見極めて、そこをFusion-ioに移すのが最も効果的だ。もちろん簡単ではない。デルではコンサルティングなどのサービスも行っているので相談してみるのがいいだろう。

【講演資料】

国内で実施されたFusion-io検証結果のご紹介

2010年10月開催の「次世代データセンターソリューションセミナー データベースユーザー必見! 検証結果が証明するI/Oボトルネック解消術とは」で好評を博した講演資料を特別に公開。

講演資料のダウンロードページへ (TechTargetジャパン)

セッション3
「MySQL環境におけるFusion-io検証結果とDeNA(モバゲー)における活用価値」

株式会社ディー・エヌ・エー
システム統括本部IT基盤部
インフラ担当プリンシパルアーキテクト
MySQLエバンジェリスト
松信嘉範 氏

 松信氏は最近までサン・マイクロシステムズでMySQLのコンサルタントをしていたが、当時からFusion-ioについては注目していたという。今回は、ディー・エヌ・エー(DeNA)における活用価値という視点からMySQL環境におけるFusion-ioの検証を行った結果を紹介した。

 まず、データベースサーバにおいてSSDがなぜ重要かという点だが、ハードディスクをSSD化することによって、IOPSが桁違いに向上するということにつきる。ほとんどのデータベースアクセスはランダムI/Oだが、通常のSAS HDDでは1ドライブあたり200IOPS程度であり、CPUやメモリに比べると圧倒的に低速なためHDDがボトルネックになる。これを従来のSATA SSDに変えるだけで、数千IOPSとかなり向上するのだが、PCIeを用いたFusion-ioでは数万単位のIOPSとなる。つまり、HDDがボトルネックになっているDBサーバは、SSD化によってそれを解消できると考えられる。その結果、サーバ1台あたりが処理できるトラフィック/データ量が増え、サーバ台数の削減につなげられる。

 検証では、160GBのHDD(SAS 15000RPM)とSATA/30GB/SLCのSSD、そしてFusion-ioを比較している。基礎性能としてはランダムI/OはSSDが有利でシーケンシャルI/OはHDDが有利という結果であるが、実際の検証内容が詳細に解説された。その他、RAIDを組む場合の説明と検証についても紹介された。

 MySQLのベンチマークでは、PCIeのインターフェイス速度はSATA/SASよりもずっと高速ということを裏付ける結果が出ており、4本のHDDと比べても14倍も高速になる。ここまで優秀であればメモリに投資しなくてもいいのかという議論になるかもしれないが、それはバランスの問題である。もしすべてのデータがDRAMにキャッシュされていれば、Fusion-ioを大きく上回るスループットが得られる。つまり、十分容量の大きいDRAMとHDDの組み合わせは、小メモリとSSDという組み合わせに勝ることになる。ただし、DRAMに全データをキャッシュできるという場合は多くない。つまり、そこそこの容量のDRAMとFusion-ioという組み合わせがかなり有効だということだ。

 実際のMySQLの運用では、すべてのファイルをHDDに保存するのかFusion-ioに保存するのかという二択にはならない。性能のほか、価格などの兼ね合いからも、ファイルの一部をFusion-ioに置くことになる。その際、アクセスパターンを考えてファイルの保存場所を決めることが重要だ。ポイントは、シーケンシャルライト系のファイルをSSDに置く必要はないという点だ。例えばREDOログやバックアップファイルがこれに当たる。Doublewrite Bufferもシーケンシャルライト型のデータだ。その他、最新のMySQL5.5系での検証結果やCPUの種類による違い、高可用性への取り組みなども解説された。

 DeNAでの適用について、現在はまだ検証段階だが非常に魅力を感じているという。ただし、適用に向けては準備が必要だ。アプリケーション要件と価格/容量のバランスの見極めや運用面での調整の他、Fusion-ioの利用を想定したアプリケーションデザインも必要になってくるだろう。

松信氏の講演資料は非公開となっておりますが、一部は下記にて公開されておりますので、ご参照ください。

SSD Deployment Strategies for MySQL

関連リンク

  • デル
  • Fusion-io

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提供:デル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2010年11月12日

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