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@IT > 第3回Developer Days Japanレポート |
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Windows® on Itanium®
Itanium® Solutions Allianceは、Itaniumプロセッサ環境へアプリケーションの移行と新しいアプリケーションの開発を支援するための技術セミナー「Developer Days」を、世界各地で開催している。 日本地域委員会では、これまで2005年12月にLinux開発者向け、2006年3月にWindows開発者向けセミナーを行ったが、第3回セミナーが2006年10月19日にマンダリンオリエンタル東京で開催された。 今回は、特にミッションクリティカルシステムでの展開に焦点を当て、Windowsプラットフォームにおける開発者、システム・インテグレーター、ユーザーのIT部門を対象に行われた。また、併設ワークショップでは、障害解析ツール「Microsoft Support Professionals Toolkit for Windows」の実機を用いたハンズオン形式のセッションも開催された。 以下では当日行われたセッションの概要をリポートする。
現在、経済のデジタル化およびワークスタイルやライフスタイルのデジタル化が進み、ソフトウェア技術が大きく進化している。それとともに、サーバビジネスのトレンドとしては、メインフレームがローコストのシステム、つまりWindowsとインテルのアーキテクチャに置き替わっていくという方向性が見て取れる。その中でもItaniumベースのプラットフォームは非常に重要になり、成功を握る鍵となっている。また、ソフトウェア開発者にとっては、SOAの台頭という大きなブレークスルーが起こっていることが重要だろう。SOAでは、機能を細かいビルディングブロックとして自由に組み合わせることができる。
このような流れによりIT業界は変化したが、大きなプレッシャーにもさらされている。つまり、コスト削減やセキュリティ問題への対応、さらには技術をもっと積極的に使って新しいビジネスモデルを構築したり新しい法令に対応するようにと求められている。そのような状況のなか、新機能追加のために使われるのはIT予算の30%であり、70%はメンテナンスのために費やされているのが現状だ。新しい付加価値を生み出すためには、その比率を変える必要がある。 新しい付加価値を生み出すためには、社員力を強化するためのインフラ整備が必要だ。以下のような、具体的に強化すべき4つの分野が存在する。
1. 複雑さを解消し管理しやすくすること サーバ市場におけるWindowsの成長は顕著で、それはWindows Serverがすでに述べた強化すべき4つの分野のためのプラットフォームとして優れているからだ。昨年11月にリリースされたSQL Server 2005も大きな成功を収めているが、Itaniumはデータベースソリューションのスケーラビリティに大きく貢献している。Windows ServerおよびSQL Serverでは、将来にわたってItaniumをサポートしていく。さらに、開発ツールとして重要なVisual StudioもItaniumをサポートしており、新製品「Orcas」が2007年後半に発売となる。 コアアーキテクチャは、コードが再利用されないものから動的なアプリケーションへと移行している。アプリケーションはそれぞれ独立したいくつかのコンポーネントで構成されており、1つのコンポーネントを複数のソリューションで共通して利用できる。このため、ひとつのソリューションにおけるいくつかの機能を、複数のマシンに分散させることができるようになっている。Windows Serverではこのようなアーキテクチャをサポートし、システムのエンドツーエンドにおいて拡張性と柔軟性を提供できる。 SQL Server 2005では、拡張性およびTCOの削減、開発者の生産性、ビジネスインテリジェンスの統合に注力しており、特に重視しているのは拡張性である。アライアンスによって、SQL Server 2005 Enterprise Edition for Misson-Critical SystemとWindows Server 2003 Datacenter Editionを、パートナー企業のItaniumハードウェアとともにエンドツーエンドのソリューションとして提供する。ビジネスの成長のためにはSOAが必要だが、そのためのプラットフォームをこのトータルソリューションでサポートしていく。 同講演では、拡張性を向上するWindows Server Longhornの新機能の実例として、稼働を止めることなく動的にサーバの構成変更を行うデモが実施された。NECのNX7700iによる8CPUのシステムで、CPU負荷が100%になるような処理をさせている状態を継続したまま、CPUを4つ、メモリ8GBを搭載したユニット(セルボード)を2台装着する。新しいユニットの認識のためにしばらく時間をおいてタスクマネージャを再起動すると、稼働しているCPUが増え、CPU負荷が半分になっていることが表示された。Windows Server Longhornは、ミッションクリティカルシステムを実現するプラットフォームとしてさらに進化している。
Itanium Solutions Allianceは、参加企業がミッションクリティカルコンピューティングに向けたビジョンを共有しようという趣旨で設立されたワールドワイドのコンソーシアムである。参加企業8社とインテルで、2010年までに100億ドルの投資を予定している。現在1万以上のItanium対応アプリケーションが登場しており、IBMやSunのプロセッサからItaniumへの移行も加速している。
日本地域委員会では、日本向け独自プログラムをいくつか提供している。アライアンスの大きな活動は3つあるが、そのひとつである開発者向けイベントDeveloper Daysでは、今回初めてハンズオン形式のセッションを開催した。また、Solution Center Networkはインターネット上でソフトウェアを検証するものだが、日本では検証用の実機を貸し出している。さらに、Web上で対応製品のリストを公開するSolutions Catalogについては、印刷物として冊子を製作している。 その他、さまざまなイベントに参加しており、その一環として日本語での標語を一般公募するキャッチフレーズキャンペーンである。そこで採用となったのが、みずほ証券の塩澤繁氏の「ITでビジネスを変革、加速するItaniumソリューション」である。 今後も、ISVパートナー支援プログラム、Longhorn早期導入プログラム、技術ナレッジ提供プログラムといったJapan Windows on Itanium活動を行い、大規模データベース、データウエアハウスにおけるItaniumプラットフォームの需要喚起に力を入れていく。
あるユーザー企業からの要望として、次のようなことを言われた。 「いったんシステムが完成し稼働したら、SAPがそのコアプロセスに手をつけるのは5年に1度の頻度が好ましく、かつ実施は土曜日のみにしてほしい。だが、私のCEOは四半期ごとに最新機能を期待している」 これは笑い話のようなものだが、日常のジレンマである。 パッケージシステムというものについて、どのように考えるかをオーディオシステムで説明しよう。オーディオシステムを買う場合、ラジオのチューナーがついていてカセットテープを再生できてといった機能が気に入ったという理由で買う。しかし、そこに柔軟性はない。アンプを交換したいとかDVDを接続したいときには買い換えるしかない。これを、例えばオーディオ機器の背面に統一されたプラグソケットをつけて、さまざまな機能をそこに接続するような仕組みにすればどうだろう。これならば、DVDという新しい技術が登場したといった場面に対処でき、既存の機能は再利用できる。ここで重要なのは、インタフェースが標準化されていることと、用語が統一されて明確であることだ。これにより、誰でも機能を配置し直すことができる。
これをソフトウェアに置き換えたのが、SOAである。SOAのコンセプトは、それぞれのコンポーネントが具体的なサービスを提供し、SOAPとWSDL(Web Services Description Language)によって結びつけられ、再利用される。それは、サービスを簡単に置き換えたり追加できる柔軟性を持つということだ。SAPでは、コンポーネントとして3ヶ月に1度、新たな機能を拡張パッケージとしてリリースしていくが、そのプラットフォームとなるのがmySAP ERP 2005である。プラットフォームのコアには手をつけずに安定稼働させたまま、拡張パッケージの追加のみで新たな機能を利用できるようになる。プラットフォームとしてのコンピュータには高性能が必要であり、Itaniumデュアルコアとそれに続く製品群はそれに最も適している。 SAP製品においては、すでにほとんどのものがItanium対応である。また、64bit対応の機能も増え、32bitのみ対応という機能はいくつか残るのみとなっている。 コンピテンス・センターでは、SAP標準アプリケーションベンチマークを提供し、各ベンダがサイジングに利用している。Windows ServerとSQL Serverを利用した事例としては、SAP R/3の財務会計、管理会計、販売管理、購買・在庫管理のほかにSAP BW3.1などを導入して、年間で数千万件の伝票を処理する富士フイルムや、コニカミノルタホールディングスの例がある。
SQL Serverが本格的に64ビット対応としてリリースされたのは2005からである。そのSQL Server 2005を、HPのハイエンドItaniumサーバであるSuperdomeに搭載した際のベンチマークおよび検証を2年間にわたって徹底的に行ったので、その結果を紹介する。テストで使用したのは、HPのセル・ベースサーバ「Superdome」である。これは、ブレードのようなセル・ボードに4つのCPU(ソケット)とメモリを搭載したものを1単位とし、物理的にスケールアップやスケールダウンが可能なものである。 SQL Server 2005はさまざまな機能が強化されているが、その中でも運用管理者向けには次の表のようなものがある。
特に重要なのは、ダイナミックパラメータ機能である。SQL Server 2000までは、パラメータを変更すると多くのケースでサービスの再起動が必要であった。これは、Windowsに慣れた人には違和感がないが、ミッションクリティカルなシステムでは「ちょっとリブートさせてください」ということは不可能である。サービスを継続したまま機能を追加するダイナミックパラメータ機能はミッションクリティカルなシステムでは重要である。SQL Server 2005からは、ほとんどのパラメータが動的に変更可能、つまりリブート不要になっている。ほとんどというのは、全てを試していないという意味であり、リブートが必要な機能としてはIA32向けのサービスが1つあったが、IA64のサービスでは恐らくすべて可能だろう。
ミッションクリティカルなシステムで必要なサーバのRAS機能(信頼性・可用性・保守性向上のための機能)として、HP Integrityではさまざまな機能を搭載している。例えば、キャッシュ、メモリ、データ・パスのECC保護やメモリダブルチップスペア、CPUおよびメモリの動的縮退といったものだ。 また、HPのハイエンドサーバで採用されているのが、セル・アーキテクチャである。4CPU(ソケット)を1単位として、物理的にセルボードを追加することでスケールアップできる。また、前述したように、SQL Server 2005では動的にCPUやメモリの追加が可能で、システムが高負荷になった場合、サービスを継続しつつスケールアップすることができる。これは、トランザクションを稼動中にSQL ServerのCPU割り付けを8個から16個に変更するというデモで示された。実際の業務でこのようなことをするかどうかは疑問であるが、できるのとできないでは大きな違いがある。 また、今回の検証では、SQL Server 2000とSQL Server 2005のバージョンの違いによる性能比較も行っている。SQL Server 2000で作成したデータベースをSQL Server 2005へ単純移行したテストでは、インデックス等の変更はなく、処理時間は2000で平均11.06分だったものが8.03分へと短縮された。また、キャッシュありの環境では、10.03分が7.24分に短縮されている。今回のケースにおける時間短縮の要因の1つとして、SQL Server 2000はシーケンシャルに処理されていたクエリが、SQL Server 2005では並列処理で行われていることが挙げられる。 また、ソートやハッシュに利用するメモリ領域も拡大されているため、ディスク上のTempDBへのアクセスが減り処理時間が短縮される。さらにTPC-Cベンチマークでも64wayで1,231,433tpmCを記録しており、高いポテンシャルがあることが実証されている。
Windows OS上でミッションクリティカルシステムを安心して稼働できるようにするためは、万が一止まったときに、障害の原因を即座に究明して復旧するためのツールが必要だ。そこでマイクロソフトでは、1998年より国内外のシステムベンダやSIベンダ各社と毎年プロジェクトを組んで障害解析ツールを開発してきた。 第2回Developer Daysでも紹介したが、このプロジェクトの成果物は、プロジェクト参加社が自由にカスタマイズしたり再配布したりできるようにライセンス提供されている。また、下記の3種のツールについては、マイクロソフトのダウンロードセンターで無償公開されている。 User Mode Process Dumper(Userdump), Version 8.1 これらを総称して「Microsoft Support Professionals Toolkit for Windows, Version 8.1」と呼んでいる。現場の運用管理者にはこれらツールをどんどん活用してほしい。通常のプロダクトサポートは適用されないが、ツールに対する問題や要望などがあれば、リリースノートの表記に従い、マイクロソフト開発グループまで知らせてほしいとのこと。 今回のワークショップでは、Userdump、Dheapmon、Kanalyzerの3つのツールについて、1人1台のPC環境を用意し、使い方の実習を行った。
提供:Itanium® Solutions Alliance 企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT 編集部 掲載内容有効期限:2007年1月31日 |
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