RISCサーバ市場の掌握を目指すItanium陣営の勝算

2006/2/8

 インテルのItanium 2プロセッサを推進するベンダで構成される業界団体、「Itanium Solutions Alliance」が2月7日に記者会見を行い、2007年までに金額ベースで日本のRISCサーバ市場の5割を獲得すると宣言した。一部で浸透スピードが遅いとの指摘を受けてきたItanium 2だが、2005年時点ですでに同市場の25〜30%を確保しているという。

米インテルのゲルシンガー氏

 米インテルの上席副社長兼デジタル・エンタープライズ事業本部長でパトリック・ゲルシンガー氏は、「RISCサーバとメインフレームによる280億ドルの市場を切り崩すのがItanium 2の目的」とし、従来型の独自アーキテクチャによるメインフレームに代わる、オープンな次世代プラットフォームを提示していくと語った。

 そのゲルシンガー氏も賞賛するのが日本におけるItanium 2搭載サーバの出荷実績。IDCの調査によると、2005年第1〜3四半期の世界におけるItanium 2サーバ出荷金額の合計は約16億8000ドルで、そのうちの28%に当たる約501億円が日本市場だったという。

 さらに、同じIDCの調査では、2005年第3四半期において、Itanium 2の世界における出荷金額は、サン・マイクロシステムズのSPARCサーバの49%だったが、日本ではこの数字が160%に達し、大きくSPARCベースの製品を凌駕(りょうが)している状況にある。IBMのPowerプロセッサベースの製品と比較した場合でも、世界ではPowerの34%にしか達していないが、日本では117%。つまり出荷金額は、Powerベースのサーバ製品より、Itaniumベースの製品の方が大きい。

 同アライアンスの日本地域委員会議長を務めるNECの泓宏優氏は、「Itanium 2市場は日本が牽引(けんいん)している」とし、2005年通期で約600億円と見込まれるItanium 2サーバ出荷金額は、2007年には約750億円になるとの見通しを明らかにした。

日本市場で活動するItanium 2搭載サーバベンダが結束を示した

 この見通しを裏付けるかのように、日本市場で活動している同アライアンスのメンバー企業からは、積極的な発言が相次いだ。

 日本SGIでは、日本原子力研究開発機構における2048個のItanium 2プロセッサ導入など、科学技術計算や製造業のCAE分野で大規模納入が続き、2006年前半には1万プロセッサの累計出荷を達成する見通し。富士通はItanium 2搭載の「PRIMEQUEST」を約100システム出荷したという。日立ではERPや公共系の大規模データ検索などの商談で、2005年に前年比2.5倍の売り上げを達成した。NECでは2005年の1〜9月にItanium 2搭載サーバ150億円近くを売り上げ、2006年にはさらに売り上げの倍増を目指す。日本ユニシスは地方銀行など、大規模な金融オンラインシステムでのItanium 2製品の投入に力を入れていく。

 日本のサーバベンダが今年最も注目するのは、インテルが第2四半期に投入予定の新プロセッサ、「Montecito」(コードネーム)だ。デュアルコアや仮想化技術支援を特徴とするこの新プロセッサの登場に伴って、日本ヒューレット・パッカードは2006年中にほぼすべてのモデルをリフレッシュし、第2世代製品を展開するという。

(@IT 三木泉)

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Itanium Solutions Alliance

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