基幹システムの「その先へ」を追求する新Itanium発表
2006/7/20
米インテル副社長 トーマス・キルロイ氏 |
インテルは7月19日、Itaniumプロセッサファミリの最新版、「デュアルコア インテルItanium 2プロセッサー9000番台」を発表した。9000番台は6種の製品で構成されているが、すべて同日に出荷が開始された。
7月18日から19日にかけて、NEC、富士通、日立製作所は同プロセッサを搭載した新サーバ製品を発表。日本ヒューレット・パッカード(HP)や日本SGI、日本ユニシスなども対応製品を提供の予定。
Itaniumプロセッサファミリは、SPARCやPOWERなどのRISCプロセッサと競合するインテルのフラッグシップCPU製品シリーズ。企業の基幹システムやハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)の市場をターゲットとしている。
新製品は、製品名の通り2つの実行コアを備え、最上位製品では24Mバイトのレベル3キャッシュを搭載。デュアルコア化などにより、前世代と比較して消費電力を最大20%削減しながらも、パフォーマンスを最大2倍向上した。
米インテル副社長兼デジタル・エンタープライズ事業本部長 トーマス・キルロイ(Thomas Kilroy)氏は、前世代のItanium 2(1.60GHz/9MB L3キャッシュ)を搭載した「HP Integrity rx4640」と、新製品のItanium 2 9050を搭載したIntegrityの次期製品「HP rx6600」を比較したTPCCベンチマークで、後者が前者の2.11倍を記録したことを紹介した。
信頼性機能もItaniumプロセッサファミリでは不可欠なセールスポイント。前世代までの機能を継承しているほか、キャッシュエラー発生時にキャッシュラインを自動的に無効化し、プロセッサとサーバを保護する「インテルキャッシュ・セーフ・テクノロジー」を搭載した。さらに、サーバの仮想化をハードウェアで効率化する「インテル バーチャライゼーション・テクノロジー」(VT)を搭載している。
Itaniumプロセッサファミリは、これまで特に日本市場で突出した販売実績を残している。システム売上金額の比較では、2006年第1四半期においてItaniumはSPARC、POWERをともに上回ったという。
日本での成功の理由を、インテルの代表取締役共同社長 吉田和正氏は、「日本のシステムベンダがメインフレームの資産を投入して、システム全体として信頼性の高い製品を提供し、これがオープンサーバに対する信頼性の不安を払拭(ふっしょく)した。こうした日本のシステムベンダの戦略がこのプロセッサの性格によくマッチした」と説明した。
一方、世界市場で同じ数字を見ると、まだSPARCやPOWERの40%強に留まっている。しかしキルロイ氏は、「これまでItaniumはパフォーマンスが(2つのプロセッサより)劣っていても、ここまで伸びてきた」と反論する。
一方で同氏は、パフォーマンスだけでなく、日本のシステムベンダが実現してきたようなシステム全体としての信頼性や、ミッションクリティカルなアプリケーションにおけるItaniumプロセッサへの対応も、今後の普及の鍵を握ると話している。
キルロイ氏は、「すでに5世代のItaniumプロセッサを投入したが、インテルではさらに3世代を開発中だ。サーバシステムで現時点では50億ドルの売り上げを達成しているが、IDCは2010年までの間にItaniumプロセッサファミリで年平均成長率24%を予測している。従って2010年には120億ドルの市場機会が生まれることになる」との見通しを明らかにした。
(@IT 三木泉)
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インテルの発表資料
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