Itaniumは当初目標を上回る浸透、と推進団体が報告

2006/10/6

米インテル デジタル・エンタープライズ事業本部副社長兼サーバー・プラットフォーム事業部長 カーク・スカウゲン氏

 Itanium Solutions Alliance(ISA)は10月5日、同アライアンス発足後1年間の成果を報告する発表会を東京都内で実施した。ISAのチェアを務める米インテルのデジタル・エンタープライズ事業本部副社長兼サーバー・プラットフォーム事業部長カーク・スカウゲン(Kirk Skaugen)氏は、「この業界では大々的に発表され、その後消えてなくなるアライアンスもあるが、これは違う」と、ISAが順調に目的を達成しつつあることを強調した。

 同氏は、ISAがこれまで数千人の開発者に対してトレーニングを提供し、Itaniumプロセッサファミリをサポートするアプリケーションが過去1年で約5000から1万以上に倍増したほか、ISAのメンバーも発足当時は23社だったものが、100社以上に達したと話した。

 スカウゲン氏は、9月末に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたIntel Developer Forum(IDF)で、SPARC上のアプリケーションをコードに何の変更も加えず、米Transitiveのエミュレーション・ツールによって日立製作所のItaniumサーバで動作させるデモを実施、SPARCよりも優れたパフォーマンスを達成したと報告した。さらに「米オラクルは次世代のOracle Fusion MiddlewareとOracle DatabaseにおけるItanium対応を、HP-UXだけでなくLinuxとWindowsにも広げるとIDFで約束した」と報告した。

 「Itaniumプロセッサファミリは今後3世代にわたる開発が進んでいる。これはまだ始まりに過ぎない」(スカウゲン氏)

 ISA日本地域委員会の議長であるNECの泓(ふち)宏優氏は国内における同アライアンスの目標について、当初は2007年末までに国内でのItaniumサーバシステムの販売金額を、RISCサーバの5割に引き上げることを目指していたが、2006年上半期には46%に達したため、この目標を6割に引き上げると宣言した。

 泓氏は、日本地域委員会の活動内容と成果が世界的に注目されているとしたうえで、今後Itanium搭載サーバの実機貸し出しを行うこと、さらに独立系ソフトウェアベンダ(ISV)に加えてシステムインテグレータとの協業も進めていくことを誓った。注力分野としては、大規模データベース・システム利用のためのWindowsサーバの強化、Linuxベースのミッションクリティカル・システムの構築、マルチプロセッサによるハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)の推進、の3つを挙げた。

日本IBM、サン・マイクロシステムズを除く国内の主要システムベンダがこぞってItaniumを推進する

 各社からはItaniumプロセッサファミリによるビジネスの状況が報告された。日本SGIは海洋研究開発機構が同社サーバにより、デュアルコアItaniumを2560コア構成の並列計算機システムを構築したと報告。NECは2005年度までにItaniumサーバを累計3000台出荷した。日本ヒューレット・パッカードではPA-RISCシステムに対するItaniumシステムの比率が台数、売り上げともに75%に達し、あらゆる分野で浸透しつつあるとした。日本ユニシスは、岡三証券グループの基幹システムでメインフレームからItaniumへの移行が進められている事例紹介した。日立は2006年度のItaniumサーバの売り上げが前年度比2.5倍に達することを明らかにした。富士通はItaniumをベースとするPRIMEQUESTが、銀行や自動車会社の基幹システムの再構築などで次々に採用されていると報告した。

 ISA日本地域委員会は10月19日にItaniumとWindows環境をテーマとした技術セミナーを開催、さらに10月26日にはHPC分野のISVを対象としたセミナーを開催する。

(@IT 三木泉)

[関連リンク]
Itanium Solutions Alliance(日本語サイト)

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