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@IT[FYI] 企画:アットマーク・アイティ営業企画局
制作:アットマーク・アイティ編集局
掲載内容有効期限2003年3月31日

 
確実なシステム構築を可能にする
Microsoft Systems Architecture


〜検証済みの最適システムをベースにカスタマイズ〜

 柔軟性やコストパフォーマンスの高さから、IAサーバとWindowsサーバOSをベースとしたIA/Windowsシステムの導入が進んでいる。パーソナル・コンピュータから発展してきたこれらのIA/Windowsシステムは、一昔前まで信頼性や可用性(システム全体をダウンさせることなく、継続稼働させる能力)、拡張性といった点でメインフレームやRISC/UNIXサーバなどの後塵を拝していた。しかしIntelプロセッサの処理能力の飛躍的な向上や、信頼性や可用性を支援する各種デバイスおよびテクノロジの登場、WindowsサーバOSの高機能化と信頼性向上により、従来は困難とされたミッションクリティカル領域でもIA/Windowsによるシステム構築が可能になっている。

 インターネットがもたらした情報ネットワーク時代の到来は、企業や組織を取り巻く環境をいまなお急激に変化させ続けている。ビジネスを支える情報システムも変化に対応するためにより一層、柔軟で迅速な対応が求められる。さもなくば、ビジネスを支援するはずの情報システムが、場合によっては変化に取り残される原因=足かせになってしまう危険性があるからだ。この点IA/Windowsシステムでは、機能性やスケールなど、必要に応じてさまざまな製品が選択可能であり、システム性能の向上や規模の拡大などに柔軟に対応できる。

 しかし多数の製品を自由に組み合わせられるという長所は、逆から見れば、数え切れないほどの製品から、自社の目的に合致したものを選択しなければならないということでもある。もちろん技術的には、このようなフル・オーダーメイド方式でシステムを構築することは可能だ。しかしシステムを導入する側のユーザーは、必ずしもコンピュータの専門家ではない。自社の業務を分析して、情報システムに求める要件を洗い出すだけでも一苦労なのに、それをシステム化するのに最適なハードウェアからネットワーク構成、ミドルウェア構成までを選択するなど、現実離れした神業といってもよい。さらに、最近ではセキュリティに対する高い配慮が必要になってきており、専門家でないユーザーは手出しさえ難しくなってきている(図1)。

図1 ユーザーのジレンマ

 こうしたシステム導入のジレンマは、企画から設計、構築、展開、運用というすべての局面において、さまざまな問題を引き起こす可能性がある。このような問題点、あるいはユーザーが負わなければならないリスクをまとめると次のようになる(表1)。

サイ
クル
企画 設計 構築 展開 運用


システム全体を見通せないため、予算の概算を算出することが困難(予算の精度が低い)
ビジネス上必要な要件定義と、それを実現するために必要なシステム構成をすり合わせるために高度かつ多角的な専門知識が必要
もれなく、重複のないシステム仕様を決定することが困難
過去の実績がないハードウェア/ソフトウェアを組み合わせる場合、相互運用性を十分に検証する必要がある
またその場合は、設定内容、設定手順の正当性を一から確認する必要がある
テストの方法自体を確立する必要があるが、容易でない
パイロット・テストで障害が発生しても、原因を簡単に特定できない
パイロット・テストに成功しても、実稼働環境で問題が発生する可能性がある
十分に検証されたシステム管理手順やセキュリティポリシーがなければ、安定した運用の継続は困難


システム構築途中での予算の大幅な見直し
必要ハードウェア/ソフトウェアの購入もれ
ハードウェア/ソフトウェアの無駄な重複購入
相互運用上のトラブル発生により企画段階まで作業が戻る
設定内容、設定手順の間違い
必要十分なテストが実施できず、問題の発覚を次の展開工程に遅らせる危険がある
システム稼働予定日の延期、導入コストの増大
問題点の明確化、トラブル解決に予想以上の工数がかかる
システム障害やセキュリティ・トラブルなどの緊急事態に素早く適切に対処できない
表1 各フェーズにおける問題点とリスク

 このようにシステム導入は、あらゆる場面でリスクにさらされている。過去のシステム導入の事例を見ても、最初の計画段階では明らかでなかったリスクが作業の進ちょくとともに次々と顕在化し、最終的には当初見込みの何倍もの導入コストがかかったとか、期待どおりの情報システムを構築できなかったなどという失敗は後を絶たない。

 コストパフォーマンスの高いシステムを柔軟に構築できるというIA/Windowsシステムのメリットを生かしながら、システム構築のリスクをいかにして低減するか。この問いに対するマイクロソフトの答えが、今回ご紹介するMicrosoft Systems Architectureである。

リスクを低減し、確実なシステム導入を可能にするMSA

 Microsoft Systems Architecture(以下MSA)は、マイクロソフトとソリューション・ベンダが協力して構築したシステム設計のガイドラインである。これまでに述べたように、IA/Windowsシステム構築の最大の問題点は、選択可能なハードウェアやシステム・ソフトウェア(OSなど)、その上に乗るミドルウェアやアプリケーションなど、あらゆるレベルでコンポーネント化が進み、選択肢が多彩で自由度が高い代わりに、想定困難なリスクを回避しながら最適な組み合わせを見つけなければならないことだ。前述したとおり、現実には、ユーザーがこうした判断を下すのは不可能である。

 企業の情報システムは、目的や規模によってまちまちだが、人事や営業支援などの部門レベルで必要となるシステム、BtoCやEIP(Enterprise Information Portal)などのWebソリューション、ホスト連携やDWH(DataWare House)に代表されるエンタープライズ・インフラなど、基本のシナリオが決定すれば、ベースとなるシステムは案外と共通点が多いものだ。後はこのベース・システムをカスタマイズすることで、各企業独自のニーズに対応することができる。

 MSAは、このベース・システムのガイドラインを提供するものだ。可用性や信頼性、拡張性などを踏まえて構成され、入念に検証されたガイドラインに従ってベース・システムを選択し、必要なカスタマイズを加えることで、ユーザーはシステム導入時におけるリスクを最小限に抑え、確実にシステムを構築、運用できるようになる。

 MSAのガイドラインには大きく2つのレベルがある。1つはシステム設計ガイド(RAG:Reference Architecture Guide)と呼ばれるもので、マイクロソフトが中心となり、情報システムのターゲット・モデル(詳細は後述)ごとに、特定ベンダの製品に依存することなく、マクロソフトのテクノロジとツールを組み合わせて、最適なシステム・アーキテクチャを定義したものだ。そしてもう一方は、システム構築ガイド(PAG:Prescriptive Architecture Guide)と呼ばれるもので、こちらは前出のシステム設計ガイドのガイドラインに従って、ソリューション・ベンダなどが具体的なハードウェア/ソフトウェア製品を組み合わせてシステムのガイドラインを定義するものである。これらの関係を図にすると次のようになる(図2)。

ユーザー・システム

検証済システムをベースに
カスタマイズしてシステムを構築
システム構築ガイド
(PAG:Prescriptive Architecture Guide)

RAGに従って、具体的なハードウェア、ソフト
ウェアを使用したシステム構築手順を規定
システム設計ガイド
(RAG:Reference Architecture Guide)

特定ベンダの製品に依存しないシステムの
アーキテクチャを規定
図2 MSAが想定する情報システム・モデル

 情報システムのターゲット・モデルとして、MSAでは次の4種類を用意している(表2)。

MSAのプラットフォーム 内容 提供スケジュール
部門データセンター(DDC:Department Data Center) 人事や営業支援など、社内の部門レベルで必要となる基本システム 提供予定
インターネットデータセンター(IDC:Internet Data Center) ECシステムや大規模イントラネットなどをサポートするITインフラストラクチャ 提供中
エンタープライズデータセンター(EDC:Enterprise Data Center) ERPやBIなど、管理や運用性に優れた全社レベルのエンタープライズ・システム 提供予定
ホストデータセンター(HDC:Hosted Data Center) グローバル企業の大規模システムを構築するためのインフラストラクチャ 提供予定
表2 MSAの4つのターゲット・モデル

 このうち現時点で提供されているのは、ECシステムをサポートする「インターネットデータセンター(以下IDC)」である。これ以外のモデルについては、準備が整い次第、順次提供される予定だ。

 MSAでは、各モデルごとに、「システム設計ガイド」と「システム構築ガイド」がドキュメントの形で提供される。

十分な検証を経たベース・システムを提供する 「システム構築ガイド」

 原稿執筆の段階(2003年2月)では、NECのみがIDC向けの「システム構築ガイド」を提供している。NECは、マイクロソフトから提供されたIDC向けの「システム設計ガイド」に従って、自社のIAサーバやルータ/スイッチなどのネットワーク機器、ディスク・アレイなどを組み合わせて具体的なシステムの構成をまとめあげた。そして社内にMSA検証専用ラボ(写真1)を設置し、実際にその構成でテスト・システムを構築して、入念な動作テストを実施した。その結果まとめたのが、NECのIDC向け「システム構築ガイド」である。

写真1 NEC府中事業場に設置されたMSA検証専用ラボ

 つまりこの「システム構築ガイド」が規定するベース・システムは、実環境を構築し、各種の動作検証や運用上のポイントなど、実環境によって裏付けられたシステム構築・運用のノウハウが凝縮したデザイン・ガイドとなっている。この検証済みのシステムをベースとして、必要なカスタマイズを加えることで、見積もり精度が高く、確実なシステム構築が可能になるのだ。

導入担当者なら、ノドから手が出るほどの導入事例の詳細情報が満載

 システム導入を成功させるには、IT化が必要な業務と、業務内容の分析を確実に行うことは言うに及ばず、ハードウェアやOS、ネットワーク、ミドルウェア、アプリケーション、プログラム開発環境に至るまで、幅広い知識が必要である。しかしこれらにどれだけ精通したとしても、多くの組み合わせから構築されるシステムを稼働、運用したときに何が起こるかは、その段階にならなければ分からない部分がある。システムにかかる負荷は予想の範囲内だろうか? 例外的な処理も含めて、システムがすべての業務フローをカバーしているだろうか? システム導入担当者にとって最も不安なポイントはここだろう。

 完全に参考にできるというわけではないにせよ、こうしたシステム導入の不安や、システム構成のおおまかな正当性を検証する材料として、他社のシステム導入事例の情報が役に立つ。システム利用の目的や規模が自分のそれに近ければ、事例のハードウェア/ソフトウェア構成、ネットワーク構成を参考にすることで、相対的に自社システムの正当性を推し量ることが可能だからだ。

 しかし残念なことに導入事例記事は、業務の効率化やROIといった主にビジネス的な側面にスポットを当てたものが多く、システム構成などの詳細は開示されないのが一般的である。企業のビジネス・フローを反映する情報システムの構成は、企業機密に触れる部分も多く、また近年はセキュリティ上の危険を回避するために、社内システムの詳細な構成を開示することに難色を示す管理者も多いからだ。そのためシステム導入担当者は、事例記事に掲載された、十分な説明のないシステム構成図から、詳細なスペックを自分で想像しなければならない。もちろん、システム構成図に疑問が生じても、解消する手立てはない。導入担当者が本当に欲しいのは、ビジネスの話ではなく、事例の詳細なスペックなのだ。

 この意味で、MSAで提供される「システム構築ガイド」は、導入担当者が欲しい情報を凝縮したものである。このドキュメントには、システムを構成するサーバやネットワーク機器、OS、ミドルウェアまでの詳細なリストが記述されており、さらにそれらの設定方法や導入方法から、テスト方法、管理・監視のポイントといった運用方法に至るまでが詳細に記されているからだ。このドキュメントを詳細に検討すれば、自社のシステム構築を検討するうえで、具体的かつ実践的な情報として大いに参考になるだろう。

 幸いなことに、NECによって作成されたIDC向けの「システム構築ガイド」は、ユーザー登録をすることで、マイクロソフトのWebサイトから申し込みをすることができる。

<マイクロソフト社のMSAページ>
http://www.microsoft.com/japan/solutions/msa/

高信頼性システム向けに導入が進むIA/Windowsシステム

 最近では少なくなったとはいえ、「IA/Windowsシステムは、信頼性が低いので基幹業務やインターネット・ビジネスには向かない」という認識の声を聞く。こうした認識は、IA/Windowsシステムの歴史の浅さや、クライアントPCとの共通性(アプリケーションや周辺デバイスの互換性)に起因しているようだ。マイクロソフトから最初のサーバ向けOSである「Windows NT Server 3.1(英語版)」がリリースされたのが1993年 7月のことであり、その歴史は10年に満たない。IAサーバにしても、本格的にサーバ向けのチップセットが提供され始めたのは、Pentium Proが登場した1995年ごろからとなる。また、クライアントPC向けのアプリケーションが、Windowsサーバでもそのまま動作するというメリットが、IAサーバがクライアントPCの延長線上にあるような印象も与えてしまっているようだ。

 アイワイバンク銀行や損害保険ジャパン、カブドットコム証券などの名だたる企業が、新規システム導入やシステムの移行時にメインフレームやRISC/UNIXサーバと、IA/Windowsシステムとの比較検討を行い、IA/Windowsシステムの導入を決めていることからもすでに十分な評価を得ていることが分かるだろう。こうしたIA/Windowsシステム導入による成功事例は、マイクロソフトの導入事例(Case Studies)に多数掲載されている。各社のIA/Windowsシステムの導入動機など、参考になる意見も多いので、「システム構築ガイド」とともに参照することをおすすめする。

 
関連リンク

Microsoft Systems Architecture(MSA)

MSA概要

MSAビジネスメリット

MSAパートナー


Microsoft Systems Architecture: Internet Data Center

MSA:インターネットデータセンター(IDC)概要

システム設計ガイド(Reference Architechture Guide)

マイクロソフト カスタマー インフォメーション センター

Windows 2000 Advanced Server キャンペーン(IT Pro Special)

システム設計ガイド

第1章 はじめに

第2章 ネットワーク インフラの設計

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第5章 SQL Server データベースの設計

第6章 管理の設計

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第8章 Commerce Server の設計

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