[the Microsoft Conference 2002/fall開催]
「Windowsを企業の中核に」、MS阿多氏が必死の訴え
2002/11/6
マイクロソフトの代表取締役社長 阿多親市氏 |
マイクロソフトの代表取締役社長 阿多親市氏は、11月5〜7日に開催されている同社のプライベートイベント「the Microsoft Conference 2002/fall」で基調講演を行い、来年前半にも発売予定のWindows .NET Server 2003について、「企業の情報価値を高め、支えていきたい」と強くアピールした。講演では、.NET Serverについてのトピックスが中心で、エンタープライズ市場をさらに切り開こうという姿勢が感じられた。カンファレンスは11月19、20日に大阪でも開催される。
阿多氏は.NET Serverの開発を「ITインフラストラクチャの観点から行った」と説明する。ITインフラストラクチャを示すキーワードとして挙げたのは、“信頼できる”“生産性向上”、それに“つながる”。説明によると“信頼できる”はセキュリティを強化したことを指し、PKIやネットワーク認証システムのKerberosに対応したことをいう。ストレージ機能も.NET Serverでは強化されている。“生産性向上”ではActive Directoryの展開、管理を簡単にしたことを説明。“つながる”はActive Directoryをフォレスト間で認証できるようにしたことなどを紹介した。
デモでは64ビット版の.NET Serverを使い、データバックアップの新機能「ボリュームシャドウコピー」について説明。32ビット版と比べて高速に処理を行うことを示して、64ビットのメリットを強調した。さらに、UNIXに対するコストパフォーマンスやハードが豊富にそろっていることを強調。阿多氏は「導入企業に対して大きなベネフィットを提供できる」と述べた。
阿多氏はまた、エンタープライズ向け製品のロードマップを紹介。今年から来年にかけては.NET Serverのファミリをはじめ、Windows Media 9、Office 11などを投入。次の段階では「XML、ストリーミングデータの格納を可能にするSQL Serverの新製品(コード名「Yukon」)」(阿多氏)やVisual Studioの新製品(コード名「Whidbey」)を発売する考えを明らかにした。マイクロソフトはさらに、次世代のWindows環境として「Longhorn」(コード名)を準備している。
基調講演で阿多氏がコンシューマ向け製品で言及したのは、11月7日に発売されるタブレットPCのみ。時間の大部分をエンタープライズ市場への取り組みについての説明に費やした。マイクロソフトは同社のコンサルティングサービス「Microsoft Consulting Services」(MCS)が蓄積したコンサルティングのノウハウを、4社のパートナー企業に対して提供する「Microsoft コンサルティングパートナー制度」を、11月5日に開始したことも発表した。
エンタープライズ市場でチャレンジャーの立場にいるマイクロソフトは、コンシューマ市場同様に“巨人”になれるのか。阿多氏は講演の最後に再度、「Windowsを企業システムの中核に据えてもらえるようお願いしたい」と聴衆に訴えた。エンタープライズでも“巨人”になるという、マイクソフトの必死の思いを感じ取った聴衆も多かっただろう。
(垣内郁栄)
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