[The Microsoft Conference 2002/Spring開催]
マイクロソフトの示す統合モデルとは?
2002/5/15
マイクロソフトは5月14日まで2日間、都内でビジネスカンファレンス「The Microsoft Conference(MSC) 2002/Spring」を開催した。5月13日、基調公演を行った同社 代表取締役社長 阿多親市氏は、エンタープライズへのコミットを改めて表明し、サーバ3製品を発表した。
マイクロソフトは1999年の.NET戦略発表以来、急速にエンタープライズへのシフトを見せている。先日来日した米マイクロソフト シニアバイスプレジデント兼CFO(最高財務責任者)のジョン・コナーズ(John Connors)氏も、「今後5年間の最大の注力分野」と述べるなど、実際にも研究開発などに積極投資を行っている。
基調講演で「つながるシステム」を繰り返した阿多社長 |
この日登壇した阿多氏はまず、エンタープライズに求められている要件として、統合、安定した基盤、柔軟性、信頼性などを並べた。.NETでは、それらの要件を満たした基盤の上で「つながる仕組みを実現する」と阿多氏。システム管理の自動化などが重要となることに触れ、「開発ツールやサーバ製品はこの思想を盛り込んでいる。あらゆるシステムやネットワーク、デバイスが有機的につながるシステムが、マイクロソフトの提唱するエンタープライズシステムだ」とした。そして、3月に出荷開始となった「VisualStudio .NET」など、すでに着々と実現しつつあることをアピールした。
“統合”は、同社に限らずどのベンダも強調するキーワードだが、マイクロソフトでは、Webポータル、EAI、PCなどデバイス環境管理などの面で可能にし、BtoB、BtoC、BtoE(企業対従業員)を実現するという。同社は、BizTalk Serverを中心(ハブ)に会計などの業務システムと接続した企業システムを、さらにはパートナーやサプライヤなどと接続する“ハブ&スポーク”モデルを提唱しており、このモデルでXMLを用いたWebサービスを接続技術として用いた図を描いている。
特徴の1つが低コスト。例えば、「Windowsデータセンター プログラム」を利用してユニシスと共同でSAP導入を行ったミノルタの事例では、サーバ台数の削減、コストを50%に削減、処理速度の倍速化などにより、トータルで4倍のコストパフォーマンスアップを実現したという。 また、パフォーマンスに関しても、「Webサービスにおいてはレスポンスが大切。VB .NETで作成したアプリケーションは高付加に耐えられる」として、受注システムと在庫確認システムをWebサービスで接続し、毎秒約360件の納期処理を行うデモを行った。
阿多氏は最後に、「つながるエンタープライズシステムは次の進化を生むIT土壌」と述べ、クライアント側の「Office XP」、サーバ製品群、開発ツールなどにおいて、.NET戦略が軌道に乗って進行していることを強調した。
■.NET Frameworkをサポートするサーバ製品を発表
同社がこの日発表した製品は、「Microsoft BizTalk Server 2002 Standard Edition」および同Partner Edition、「Microsoft BizTalk Accelerator for RosettaNet v2.0」「Microsoft Commerce Server 2002」。
BizTalk Server 2002関連2製品は、今年2月に発表した同Enterprise Editionに次ぐもので、Standard Editionは中小規模企業向け、Partner Editionは小規模企業向けで、ラインナップの拡充となる。
BizTalk Accelerator for RosettaNet v2.0は、BizTalk Server 2002の追加モジュールで、基幹業務システムのRosettaNetへの接続が実現する。特徴は、RosettaNetのv1.1とv2.0を同時にサポートしている点。別々にサーバを立てる必要がなくなるほか、すべてのPIP(Partner Interface Process)にも対応している。
Commerce Server 2002はBtoC向けサーバ製品。BtoCは昨年、日本の市場規模が対前年度比80%増の1兆4840億円市場となるなど、引き続き成長分野だ。また、マーケティングサイトの急増など、引き続きBtoCサイトが求められているという。管理認証や他システムとの接続、モバイル対応や多言語・多通貨対応など、必要な機能をセットにし、.NET Frameworkに完全対応させた。これにより、VS.NETおよびASP.NET、.NET Passportや.NET Alertもサポートしているという。また、BizTalk Serverとの連携機能も強化したという。
阿多氏によると、BizTalk Serverのビジネスは好調で、2001年度は世界で890社が導入したという。「これは、ティブコソフトウェアやウェブメソッド、ビトリア・テクノロジー、シービヨンド・テクノロジーという競合4社の導入実績の合計を上回る」と阿多氏、BtoBの阻害要因となっている新規投資や相互接続性などをクリアすると強調した。
(編集局 末岡洋子)
[関連リンク]
マイクロソフトの発表資料(BizTalk
Server 2002 Standard Editionなど)
マイクロソフトの発表資料(BizTalk
Accelerator for RosettaNet v2.0)
マイクロソフトの発表資料(Commerce
Server 2002)
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