データセンターの消費電力を70%減!? 実例が証明するCMT技術の威力 |
前回の「高い処理能力とエコの両立そんな革新的なサーバがあった! グリーンIT時代を支える大本命技術『CMT』」では、サンのUltraSPARCプロセッサに搭載されたCMT技術がグリーンITにどう貢献するかを解説した。これは理屈では正しいとしても、果たして現実にどこまで効果を発揮するのだろうか。今回は実例を通じて、CMT技術のメリットを検証する。
CMTサーバへの移行で サンはサーバ数を半数以下に |
CMTサーバの導入効果は、まずサン自身のデータセンターで実証された。2006年にサンは、ニューアークとサニーベールにあったデータセンターをサンタクララに統合・移設したが、この際、統合前に合計2,177台あったサーバは1,000台に、738台あったストレージは255台に削減され、20万2000平方フィートだった設置スペースは8万平方フィートと、約40%程度にまで縮小されている。これに伴い消費電力は2,200KWから560KWへと劇的に低減し、構築費用も1,000万ドルほどの節約になっている。にもかかわらず、演算性能は450%上昇というパフォーマンスの向上が実現し、ストレージ容量も224%向上している。
また、コロラドのデータセンターでもCMTサーバへの移行を行った。こちらは、使用開始から3年が経過し、大きなスペースを占有しているサーバを、サイズが半分で処理能力が2倍になる当時の最新モデルSun Fire T2000サーバに置き換えるというものだ。これにより、設置スペースはラック11本から1本へ、1台あたりの消費電力は3200Wから400Wへと削減でき、617,000KWの電力削減と4万ドルの電気料金の節約を実現した。
これら自社の事例で培ったノウハウを生かし、WebホスティングをビジネスとするJoyent社のデータセンターへもCMTサーバを導入した。この事例では、CMTサーバに入れ替えたうえ、さらにメリットを出すために仮想化も適用した。成果としては、4ラックあった従来のIAサーバがSun Fire T1000のラック1本になり、一方で性能はCPU数が156から1152へ、メモリが208GBから288GBへと向上している。このマイグレーションにより、Joyent社ではデータセンターの1年間の消費電力が70%削減でき、その分のコストを新システムの導入などの企業価値向上のために利用することができるようになったという。
図1 Joyent社の事例では一年間に消費電力を70%削減できた(クリックで拡大します) |
データセンターで消費される電力は、2000年から2005年の間に倍増すると試算されており、一部のアナリストは、ITインフラにかかるエネルギー料金が2010年までにハードウェアのコストを上回ると予想している。
このような状況から、サンでは環境への配慮の取り組みの一環として、2007年8月に「エコ・イノベーション・イニシアチブ」を発表した。「データセンターの経済効率とエネルギー効率を最大60%高める」とするこのイニシアチブは、環境に優しいエコ・キットや仮想化ソリューションを新たに導入して性能の向上、エネルギー消費と二酸化炭素排出量の削減が可能となるような製品を市場に提供するというもので、従来のように多方面のコンサルタントに協力を要請する必要がないというのが特徴だ。
製品開発については、「2008年までに、2003年に生産された製品と比較してエネルギー消費量を1/10、発熱量を1/2に抑えながら30倍のパフォーマンスを実現する新製品を導入する」という具体的な数値目標を掲げている。今回取り上げているCMTサーバも、この方針に沿って開発された製品だ。
CMTサーバへの移行・統合を支える仮想化技術と バイナリ互換性、そしてさまざまな移行支援サービス |
以上のような事例が示すとおり、最新のCMTサーバに入れ替えることで、TCOは大きく削減できる。事例ではTCOの削減はCMTサーバの導入だけでなく、サーバの仮想化技術を適用することで、さらなるTCO削減効果をあげている。
サンでは、Solarisコンテナ、LDoms(Logical Domains/論理ドメイン)といった仮想化技術を提供しているが、これらはCMTサーバへの統合に最適な仮想化技術である。
Solarisコンテナは、Solaris 10 OS上に仮想OS環境を作成する機能であり、SPARC/x86どちらのサーバでも使用可能である。OSカーネルがひとつであるためオーバーヘッドが非常に少ないことが特徴だ。また、LDomsは、CMTサーバに特有の機能であり、仮想環境ごとに異なるOSカーネルが動作するので、バージョンの異なるOSを1台のサーバ上で使用したい場合はこちらがお奨めだ。どちらの技術も、Solaris 10を使用していれば追加コストなしに利用できる。
これらの仮想化技術により、同一種類のサーバ集約はもちろん、種類の異なる業務の統合を行うことも可能である。実際、上記のJoyent社の事例は、Solarisコンテナを使用した統合事例である。
業界随一のスループット性能を誇るCMTサーバとこれら仮想化技術の組み合わせにより、システムの更なる効率化が実現し、最適な統合プラットフォームが構築可能となる。
しかし、サーバを入れ替える場合はアプリケーションの移行に伴う動作検証やチューニングといったことに不安を持たれるのが普通だろう。サンでは、そのような不安を払拭するため、CMTサーバと仮想化技術を組み合わせて、システムのさらなる効率化を実現するための、最適な統合プラットフォームを構築するインテグレーションやサポートのサービスを、「プロフェッショナル・サービス」として各種取りそろえている。これらの移行支援サービスにより移行と統合が容易になるので、安心していただきたい。
また、Solarisの旧バージョンからのアプリケーションの移行においては、 Solarisのバイナリ互換性が力を発揮する。Solarisは10年以上にわたり高いバ イナリ互換性を保っているため、旧バージョンのSolarisで動作していたアプリ ケーションのほとんどは、バイナリそのものをコピーするだけで最新バージョン のSolarisでも動作する。つまり、リコンパイルせずに迅速に最新サーバへ移行することができるということだ。
もちろん、ユーザーのアプリケーションのコーディングによってはそのまま動作しない場合もあるが、それについての移行支援サービスもあり、手厚いサポートを提供する。例えば、古いSolaris 8/9のアプリケーションを新しいSolaris 10で動かすのではなく、8/9のままで動かすSolaris 8 Containers/Solaris 9 Containersの移行支援サービスといったものもその一部だ。
このような技術とサービスによって、最新のCMTサーバへの移行・統合を迅速に低リスクで行うことができる。
CMTサーバへの移行で得られる効果を 一目で分かる形で提供する無償アセスメント |
移行支援サービスは、サンの旧サーバから新サーバへの筐体の移行だけでなく、他社のプラットフォームからの移行(マイグレーション)についても対応しており、CMTサーバを導入することでTCOの削減が実現する。しかし検討する際には、漠然とした内容ではなく具体的な数字でどの程度のメリットが出るのかが分かるほうが便利だ。
そこでサンは、CMTサーバを導入した場合にどの程度の効果が得られるのかを簡単に調べることができる無償のサービスを提供している。それが、データセンターの現状把握と評価を目的とする「システム・アセスメント」サービスだ。これにより、現在使用しているサーバをCMTをはじめとしたサンの最新サーバに置き換えることによるメリットを算出し、コスト効果などを具体的な数字で見ていただくことができる(図2)。
図2 システム・アセスメントでは、このように詳細なレポートを提供する |
システム・アセスメントではまず、ヒアリングシートや打ち合わせによるインタビューなどにより、現状のシステム構成を提示いただく。提供していただくのは使用中のサーバの機種や台数といった情報で、それらを元に現状のハードウェア性能から最新のサンのサーバに移行した場合の大まかなシステム構成と、以下の項目の効果を提示する。
- ハードウェア価格
- 保守料
- 消費電力
- 二酸化炭素消費量減量
- 占有面積
消費電力や二酸化炭素消費量の面で大きなメリットが出ることが、例を見ていただくと分かるだろう。CMTサーバがECOサーバである所以だ。通常、データ受領後約2週間で結果を提出する。今のシステムを最新のCMTサーバに置き換えたらどうなるかということを、一目瞭然の形で提示できる無償のシステム・アセスメントを、一度利用してみてはいかがだろうか。
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提供:サン・マイクロシステムズ株式会社
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2008年12月5日
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実際に「システム・アセスメント」サービスでシステムの評価を行ってもらった場合、どのような項目が報告されるのか。具体的なサンプルを紹介する。 |
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