近年、IaaSの利用は先進IT企業から一般企業へ、そしてその用途も開発・テスト環境から本番環境へと、その裾野を急速に広げつつある。同時に、クラウドサービスを提供するベンダーの数も増え、かつてのような「AWS一択」という状況は変わりつつある。一体どうすれば、自社のニーズに即したIaaSを選んで、うまく使いこなすことができるのか?
2015年2月5日、ニフティ主催のライブWebセミナー「ここでしか言えない聞けない“ほろ苦”大人のIaaS選び」が開催された。近年、IaaSの利用は先進IT企業から一般企業へ、そしてその用途も開発・テスト環境から本番環境へと、その裾野を急速に広げつつある。同時に、クラウドサービスを提供するベンダーの数も増え、かつてのような「AWS一択」という状況は変わりつつある。
とはいえ、せっかく多様な選択肢が用意されているにもかかわらず、自社でどうIaaSを選んで使いこなせばいいのか、確固たる方針が示せないばかりに、「周りがAWSを使っているから、取りあえず自社でもAWSを……」という企業が少なくない。では一体どうすれば、自社のニーズに即したIaaSを選んで、うまく使いこなすことができるのか? 本セミナーでは、クラウドについて高い見識を持つ個性的な面々が、ビール片手に本音全開で語り合った。
本稿では、日本のIaaS市場の現状を中心に、セミナーの中身をダイジェストでお届けするが、IaaS選びにおける重要なポイントなど、セミナーの詳細は録画された動画で確認してほしい。
オンデマンドセミナー「ここでしか言えない 聞けない ”ほろ苦”大人のIaaS選び」の視聴はこちらから
※2015年2月9日(月)〜5月7日(木)
※視聴の際に、個人情報の入力をお願いしております。
内野 まずは、今日のIaaS市場の状況について皆さまは、どう見ていますか?
長谷川 私たちは早くからIaaSの活用を始めましたけど、周囲の企業の方々を見回してみると、「まだまだこれから」なところがまだ結構多いなという印象があります。
向平 逆に私は、だいぶ皆さん詳しくなってきたなあという印象を持っていますね。いろんなところでニフティクラウドを紹介する機会があるのですが、「クラウドのここが良い、あそこが良い」と話しても、お客さまからは「もう、そういう話はいいから、具体的な使い方を教えてほしい」という声をいただくことが多くなりました。
五月女 私たちが直接話すお客さまは、皆さんお詳しいですね。「AWSではこうやったらうまくいくのに、なぜニフティクラウドでは同じことができないの?」とか、「AWSではこれができなかったんだけど、ニフティクラウドではできる?」といった、具体的な質問を寄せられることが多くなっています。
内野 良くも悪くも、AWSがベンチマークになっているわけですね。ちなみに、IaaSというと「セルフサービスで使うのが基本」というイメージが強くて、それに対して「もっと手厚くサポートしてほしい」という声もあるようですが。
長谷川 僕は昔、海外製品を販売していたんですけど、そのときの経験から「海外製品はサポート品質が悪い」という印象が強いんです。でも、AWSのユーザーとしての立場からいうと、有償サポートの品質はとても良いですね。サポートセンターに問い合わせのメールを送ると、担当者の名前入りですぐに返事が返ってきますよ。
向平 一方、日本のベンダーはニフティクラウドも含めて、サポートは基本的に無償ですよね。その分、サービス価格にサポートコストを転嫁しているわけです。まあ有償が良いか、無償が良いかは良し悪しだと思います。無償サポートにも、誰でも気軽に問い合わせできるというメリットがありますし。
内野 とはいえ、何でもかんでも電話すればめんどうを見てくれるとなると、セルフサービスではなくなってしまいます。
吉田 日本においては、セルフサービスで自分たちでやるという方向性と、パートナーのSIerに任せて面倒を見てもらうという2つの方向性があると思います。確かに、自分たちでいろいろ調べてIaaSを使いこなせれば理想的ですが、一般企業ではそうはいかないケースが多いでしょう。ですから、要件定義から実際のIaaSの導入・運用まで、パートナー企業がサポートするというビジネスモデルが一般的になってきましたし、そういうスキルやノウハウを持つ企業が随分増えてきました。
内野 そういった国内IaaS市場の現況を踏まえ、ニフティクラウドをはじめとする国産クラウドサービスの今日の状況をどのように見ていますか? どのサービスもAWSに追随しようと頑張っている中、互いに差別化を図るのも難しいように思うのですが。
五月女 AWSも、初めて触った人はIPアドレスやファイアウオールの扱い方に戸惑うことが多いようですけど、長谷川さんはどうでした?
長谷川 まあ、こういうものなのかと思ってましたね(笑)。だってクラウドに移行することは、これまでのものを捨てて、新しい旅に出るということですから、昔と比べてどうこう言ってもしょうがないと思いますけどね。
内野 でも、オンプレミスからクラウドに移行すると、インフラがブラックボックスになってしまって、中身が見えなくなるのが怖いという人が、特に情報システム部門には多いと聞きます。
長谷川 私はむしろ、中身は見えない方がいいと思います。だって、中が見えたところでクラウドベンダーを凌ぐぐらいのウルトラチューニングができる人なんて、どれぐらいいますか? それより、ユーザー企業の立場からすると、「この機能はいつ実現するんですか?」といった話の方がよっぽど重要でしょう。
五月女 一方で、私たちに寄せられる声は逆に、中身が知りたいという声も多いんです。従ってニフティクラウドでは、守秘義務契約を結んでいただいたお客さまに対しては、内部の仕様をある程度公開しています。もちろん、他のお客さまの情報を絶対に守れる範囲に限定していますけど。
吉田 確かに、トラブル発生時を考えると、中身が見えた方が安心感が強い。
長谷川 そもそもオンプレミスで自分たちで運用している環境の稼働率をちゃんと測って、クラウドと正確に比較しているところなんてあるのかなあ。
吉田 逆に、クラウドに対してある種の幻想のようなものを持っている人もいると思いますよ。クラウドベンダーの運用のプロに任せるんだから、自社運用より必ず品質が上がるに違いないと。ところが、IaaSが提供するのはあくまでもインフラだけですから、その上に載るミドルウエアやアプリケーションの運用は、あくまでも自分たちの責任でやらないといけません。とはいえ、実際に稼働率をちゃんと測って比較したとすれば、クラウドに移行した方が品質が上がる企業の方が、現実的には多いかと思いますけど。
向平 でもやっぱり、オンプレミスで長年やってきたお客さまの多くは、「自分たちは中身を知り尽くしているのだから、自分たちでやるのが一番」だと思い込む傾向が強いように思いますね。ですから私たちの場合、そういう方々に対してはニフティクラウドの中身の話を詳しくして、「ああ、これなら安心だ」と納得して導入していただくことが多いですね。さらに、ニフティクラウドは日本の商習慣に対応した決済方法を備えているので、日本企業のIaaS導入のハードルを下げています。
五月女 ニフティクラウドのエンジニアはAWSが好きな人が多いんですよ。一方で、日ごろから顧客企業の話をよく聞いているので、日本企業ならではの要望もよく知っています。AWSと同等の機能を持ちながら、日本の商習慣に対応した数々の配慮を盛り込んでいる点が、ニフティの特徴だと思っています。
内野 では、実際に複数のIaaSを比較検討して、自社に最適なサービスを選ぶためには、どういった点に気を付けるべきでしょうか? よく、各サービスの機能の有無を○、△、×で比較した表を作ると思いますが、最近ではもうどの項目に○が付いてしまって、結局比較にならないという声もよく聞きます。
吉田 全てに○が付くということは、一昔前と比べて各IaaSサービスの機能や性能の水準が上がって、決定的な欠点があるサービスがなくなったということですよね。これは、業界全体の水準が上がったということで、むしろ歓迎すべきことだと思います。
でも、重要なのは――。
このようにIaaS選びというと、各サービスのスペック、費用を横並びに比較した星取表をにらみながら考えること、といったイメージが強い。だが星取表の中からは、決して答えは見えてこない。コストやSLAなどの数値比べに陥ってしまうと、いつまでたってもIaaSを有効利用することはできない。では、何を基準に選べばいいのか。
自社のスキルレベルや予算規模、日本の商習慣に最適なサービスかどうかという判断基準も話に出てきたが、その前に明確にしておかなければならないことがある。「いつでも始められ、いつでもやめられる」というクラウドのメリットにこそ、IaaS選びにおける重要なヒントが隠されているのだが……。詳細は以下から参照してほしい。
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※2015年2月9日(月)〜5月7日(木)
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提供:ニフティ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年3月31日