ニフティは、外出先などからインターネット越しに家庭内のデジタル家電などにアクセスして操作を行える「スマートサーブ」の機能を強化した。
ニフティは2014年4月3日、外出先などからインターネット越しに家庭内のデジタル家電やセンサー類にアクセスして操作を行える「スマートサーブ」の機能を強化し、複数端末からの同時接続をサポートした。最大10台の端末から自宅ネットワークへの同時接続が可能になる。スマートサーブの利用料金は、初期費用が5000円、月額基本料は300円(いずれも税抜き)となっている。
一般に「レイヤー2 VPNでクラウドに接続する」といった場合、その主語はWebサービスなどを提供する企業であり、個人であったとしても技術者が趣味の開発や勉強のために使うケースが大半だ。しかしニフティでは、「一般の家庭のホームネットワークとクラウドをシームレスにつなぐ」というコンセプトに基づいて、「パーソナルL2クラウド」という新しいプラットフォームを構築し、家庭向けサービスの基盤として活用してもらうことを狙っているという。
この数年で、インターネット接続機能を備えたデジタル家電や、スマートメーターおよびセンサー類、HEMS(Home Energy Management System:住宅エネルギー管理システム)を活用した住宅エネルギー管理などのサービスが普及し始めている。パーソナルL2クラウドはこうした動きを踏まえ、ホームネットワークをクラウドまで“延長”させ、簡単かつ安全に接続するための基盤だという。
同社はパーソナルL2クラウドにVPNで接続するための専用機器として、「サービスアダプター」を独自に開発。このアダプターを介して、ホームネットワークに接続されているパソコンはもちろん、テレビや監視カメラ、その他の機器が、L2VPNでニフティのクラウドとフラットに接続する。クラウド側からは各種APIを利用して家庭内の機器にアクセス、制御する仕組みだ。
特徴は、サービスやデバイスごとに個別の機器を用意することなく、複雑な設定なしに接続できることだ。「難しいことは全てクラウド側でやってしまう」(同社 クラウド本部 スマートプラットフォーム事業部 スマートプラットフォームソリューション部 部長 竹内勝之氏)という。
単に外から家庭内の機器にアクセスできさえすればいい、という要件であれば、UPnPやポートフォワーディングといった技術が既に存在する。しかしこの場合、「誰からでも見える状態になってしまう。セキュリティの面から、プロバイダーとしてはあまり推奨できない」(竹内氏)。パーソナルL2クラウドでは、認証や暗号化、家庭内ネットワークのゾーニングといった対策で安全を確保しながら、ホームネットワーク内の接続構成が複雑になることで引き起こされる「多段NATのためうまく機器に接続できない」といった状況も生まず、シームレスな接続を実現するという。
ニフティではこの仕組みをベースに、クラウド型のストレージサービス「ニフティクラウド シンプルファイルサーバー」を提供しているが、あくまで「キャリアフリー、ISPフリー、メーカーフリー」と表現し、自社のみに閉じたものにするつもりはないという。
例えば、ホームセキュリティサービスを提供する企業がパーソナルL2クラウドを介して監視を行ったり、家電メーカーがリモート保守やファームウェアアップデートをプッシュ型で行ったりと、さまざまな用途が考えられる。同社では広くパートナーを募って「今までできなかったことをできるようにしたい」(竹内氏)という。
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