「ITエンジニアの未来ラボ」で先日結成された「学生リポーター隊」。彼らはITテクノロジの今と未来をもっと深く知るために、日本マイクロソフトのエンジニア向けイベント、「de:code 2015」への参加を決定した。だが当日は、果たしてどんな内容が用意されているのだろうか? リポーター隊はイベント準備真っただ中の担当者を直撃取材。de:codeの見どころを聞いた。
近年、製品と技術の両面で次々とドラスティックな戦略を打ち出し、多くの話題を提供しているマイクロソフト。同社の最新の技術動向や注力分野について、日本のエンジニアに紹介するイベント「de:code 2015」が、5月26、27日に東京都港区のザ・プリンス パークタワー東京で開催される。
「de:code」は、マイクロソフトが日本で独自に開催しているイベントであり、今年が2回目の開催となる(昨年開催された「de:code 2014」の内容については、リポート記事を参照)。
この1年の間にも、「Microsoft Visual Studio」(以下、Visual Studio)や「.NET」といった、特にエンジニアには気になる分野で数多くの動きがあった。また、年内には「Microsoft Windows 10」のリリースも予定されており、今後の市場を占う上でも「de:code 2015」で示される、マイクロソフトの方向性に関心があるという人は多いのではないだろうか。
今回、「未来ラボ学生リポーター隊」の3人が、日本マイクロソフトでイベント企画を進めている担当者に、今年の「de:code 2015」の見どころを取材した。果たして、どのようなセッションが予定されているのだろうか。
早稲田大学 基幹理工学部 4年生の高橋卓巳さん、慶應義塾大学 環境情報学部 4年生の鈴木啓太さん、東京女子大学 数理科学科 4年生の山本祥子さん、3名のリポーターがそれぞれの視点で、日本マイクロソフト デベロッパーエクスペリエンス&エバンジェリズム統括本部のメンバーに取材。現在、企画準備の真っただ中にあるという「de:code 2015」の概要を聞き出した。
アップルやグーグルをはじめ、特に米国のIT系、インターネット系企業の多くは、その技術や製品のエコシステムに参画しているエンジニアに向けたイベントを定期的に開催している。米マイクロソフトが開催しているものでは、「Build」というイベントが特に開発者に向けたものになる。
今回、すでに開設されているde:codeの特設サイトでは「TechEd+//build」という文字を見ることができる。「TechEd」は、日本で2010年まで定期的に開催されていたマイクロソフトのイベントの一つであり、開発者だけではなく、「ITプロ」全般を対象とした幅広いテーマとセッションが特長となっていた。
「TechEd+//build」という表現から分かるように、初回となる前回のde:codeが、特にアプリケーション、ソフトウエア、サービスの開発を行っている開発者を対象とした内容だったのに対し、今回の「de:code 2015」では、開発者にとってはもちろんのこと、システムの運用管理などを行っている「ITプロ」にとっても価値のあるセッション構成になるよう検討しているという。
イベント全体の方向性を示すキーノートスピーチ(基調講演)には、マイクロソフト本社から、Microsoft Azure担当のコーポレートバイスプレジデントを務めるジェイソン・ザンダー氏と、クライアント&デバイスエバンジェリズムチームを統括するジョルジオ・サルド氏の2名がスピーカーとして登壇することが決まった。
バックエンドの「クラウド」と、フロントエンドの「デバイス」「センサー」。これらを組み合わせることで可能となる「IoT」。「ビッグデータ」「BI」といったデータ活用スタイル。iOSやAndroidアプリの開発。OSS(オープンソースソフトウエア)の活用。それらの開発手法、管理手法などがマイクロソフトの技術によって、どのように変わっていくのかなどが示される予定だ。
また、近年の同社のオープン化、クロスプラットフォーム化に向けた動きが、マイクロソフトの技術にどのような影響を与えるのかについても、最新のMicrosoft Windows(以下、Windows)、Microsoft Azure(以下、Azure)、Visual Studio、Microsoft Office(以下、Office)といった製品との関係の中で語られる見込みだ。
今年の「de:code」では、2日間の開催期間中に89の技術セッションが予定されている。同社ではセッション内容の設計に当たって、まずは自社が関わっている技術要素を全て書き出した最新の「テクノロジーマップ」を作成したという。
「理想的には、セッションで全ての紹介をカバーしたいのですが、製品数だけでも100を超えますので、結果的に300以上のセッションを実施しなければなりません。セッション数には限りがありますし、参加する人にとっても、われわれが今、一番注力している分野が分かりにくくなってしまいます。そこで、まずはコアとなるメッセージを決め、作成したテクノロジーマップの中から、どの技術をメインに据えるか洗い出していくという作業を進めました」(日本マイクロソフト担当者)
テーマの絞り込みを経て、今年のde:codeではセッション全体が大きく「7つ」のトラックに分類したという。
リポーター隊はそれぞれの視点から、これらの概要を詳しく聞いた。
「アーキテクチャ設計」は、主にシステムアーキテクトや運用設計を行う人向けのトラックだ。特に近年の「クラウド」の潮流にも対応可能なアーキテクチャ設計、技術の選択方法、アーキテクト自身が持つべき視点などに関する6つのセッションが予定されている。
「Windows&デバイス」は、今夏発売予定の「Windows 10」を中心として、PC、タブレット、スマートフォン、そしてIoT(Raspberry Pi含む)といった多様な端末への展開がどのようなものになるのか。アプリ開発はどう変わるのか。共通基盤としてのWindowsが備える新たな機能やサービスモデルは何かについて、16のセッションを通じて紹介される。
「Windows 10は注目ですね。PC、モバイル、タブレットという多様なデバイスに同じように載るOSとして、ハードウエア抽象化の思想やUIについて、どのようなコンセプトが存在するのか各セッションから知りたいと思いました」(高橋卓巳さん)
「開発プラットフォーム&ツール」は、今回のde:codeにおいても「花形」のトラックといえよう。「クラウドファースト&モバイルファースト」をコアメッセージとし、特に近年の「クロスプラットフォーム対応」「オープンソースへのコミット」という特長的な動きを反映して、「23」という最多のセッション数が予定されている。
オープンソース化された「.NET Core 5」を用いたWeb開発について、Windowsに限らず、LinuxやMacプラットフォーム上でのクロスプラットフォーム開発を想定したセッションも用意される予定だ。
「以前のイベントでは、こうした視点はありませんでした。マイクロソフト自身がオープンソース、クロスプラットフォームに本格的に取り組んでいる状況を反映し、今後はこうしたセッションも扱うことになっていくと思います」(日本マイクロソフト担当者)
「大学ではJavaやC、Pythonといった言語を使っておりVisual Studioについても、普段実際に使っているので親近感があります。より新しいものでどういったことができるのか、興味があります」(山本祥子さん)
「今回のde:codeでは、企業によるXamarinでのクロスプラットフォーム対応の事例が紹介されるかもしれないという話を聞きました。Xamarin学生アンバサダーとしては、それにも期待です」(高橋卓巳さん)
「クラウド&データセンタープラットフォーム」は、「Azure」と「Microsoft Windows Server」(以下、Windows Server)において、その設計や運用の実際、今後の実装が予定されている新機能や最新の技術動向を解説するトラックとなる。
次期Windows Serverをベースとしたプラットフォームで実現されるSDN(Software Defined Network)やSDS(Software Defined Storage)の姿がどのようなものなのかについて、特に「ハイブリッドクラウド」を前提とした内容のセッションが多く設けられるという。
「システム管理と運用」については、10のセッションが予定されている。近年、仮想化やクラウドといったテクノロジの普及により、企業のシステム基盤は複雑さを増している。それを効率的に運用監視する自動化の視点に加え、東日本大震災以降関心が高まっている「ディザスターリカバリ」対策といった観点から、クラウド時代の企業インフラを管理する方法論について解説する。
また、それに即した企業内Windowsクライアントの新たな管理スキームや、CI(継続的インテグレーション)、DevOpsといった開発運用プロセスについても、このトラックで取り扱うという。
「DevOpsも注目ですね。開発から運用までを一連の流れとして捉えるといっても、スタートアップか大企業か、SIerかサービス事業者かといった違いで、その事情はさまざまだと思います。それをマイクロソフトはどう考えているのか。より細かいテーマですとDockerに対してはどう考えているのか。そういったところが気になっています」(高橋卓巳さん)
「データプラットフォーム&BI」は、マイクロソフトのデータベースシステムである「Microsoft SQL Server」および「Azure SQL Database」といった技術を中心に、Azure上で提供されている多様なデータプラットフォームの詳細、IoTによるビッグデータ活用の方法論などが紹介される。機械学習プラットフォームとして注目を集めている「Azure ML」についても、このトラックで扱われる。全部で10のセッションが設けられる予定だ。
「Azure MLのセッションは面白そうですね。僕の研究室では、BMI(Brain Machine Interface)の研究をしており、大量のデータ解析を行うのですが、その際に、すでに研究室にあるものだけではなく、他のツールを使った機械学習なども試してみたいと常々思っていました」(鈴木啓太さん)
「プロダクティビティー&ビジネスソリューション」では、主に「Microsoft Office」のクラウド版である「Office 365」および、顧客情報管理プラットフォーム「Microsoft Dynamics CRM Online」を中心としたセッションが6つ設けられる。
開発者にとって興味深いのは、オンラインで公開されている「Office 365 API」を使い、独自の業務アプリ開発や他システムとの連携を実現するための具体的な方法を解説するセッションだ。クラウドサービスの活用による業務効率の向上、ワークスタイル変革という視点だけではなく、オンラインの「Office」エンジンを利用した新たなビジネスモデルを検討する意味でも注目したいトラックである。
「Office 365 APIのセッションは、ぜひ聞いてみたいですね。OfficeのWordやExcelって、普段私たちが普通に使っているソフトですよね。私を含め、ほとんどの人は、あのソフトを開発という視点では使っていないと思います。そのエンジンを使って、開発者にはどんなことができるのか。きっと私たちがこれまで知らなかったOfficeの使い方が聞けるのではないかと楽しみです」(山本祥子さん)
現在も各セッションの内容については検討と交渉が続けられており、今後変更がある可能性がある。しかしながら、各トラックの概要から、今回の「de:code 2015」でマイクロソフトが日本のエンジニアに対して、どのような提案をしていこうとしているのか、今後どのような技術を推し進めようとしているのかは見えてきたのではないだろうか。
「de:code 2015」のセッション詳細については、決定次第、特設サイト上で随時公開される。マイクロソフトの技術動向を知りたいエンジニアはもとより、かつて「TechEd」などに参加した経験があり、近年のマイクロソフトの急速な「変化」にキャッチアップしたいと考えているITプロにとっても、興味深いイベントとなりそうだ。気になった方は常に、その最新情報をチェックしてほしい。
すでに参加登録はスタートしている。4月28日までに申し込みを行えば、早期割引価格の6万8000円(税別。4月29日以降は通常価格の8万円)で参加が可能だ。
なお「未来ラボ学生リポーター隊」の3人には、「de:code 2015」のさまざまなセッションや催しを見学して、感じたことをリポートしてもらい、その様子はイベント開催後のリポート記事として掲載する予定だ。こちらもお楽しみに。
アンケートにご回答いただいた方の中から、抽選で5名様に来たる5月26日(火)〜27日(水)に開催されるde:code 2015にご招待いたします!
【応募期間】2015年4月15日(水)〜2015年4月28日(火)
※応募受付は終了いたしました
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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年5月15日