サーバプラットフォームの変化は運用管理を変化させる。だが、サーバ管理者は既存のノウハウや知見を生かせずに負荷ばかり増えてしまう――。そんな中、登場したMicrosoftの新しいWindowsの管理ツール「Windows Admin Center」は、従来通りの運用管理機能を提供しつつ、新しい技術/サービスを活用する機能も搭載。デル テクノロジーズの「PowerEdge」サーバおよび同社が提供するシステム管理ソリューション「OpenManage」を組み合わせれば、ハードウェアからソフトウェアまで統合的な運用管理を実現できる。
既存システムの老朽化やサポート終了などを迎えたサーバ管理者にとって、最も懸念されるのは「運用管理の変化」だ。ノウハウや知見が蓄積されてきたものから、全く新しい仕組みに切り替わると、これまでのような安定性やパフォーマンスを維持することが難しくなるのは当然。組織や経営者にとっても、新しいスキルを獲得するための教育や人材獲得のためのコストは無視できない問題だ。
特に昨今は、ビジネス環境の急激な変化も相まって、新しい技術を積極的に採り入れていくことが求められる。Microsoft Azureのような先進的なクラウドサービスを活用し、ビジネスを進化させようという動きも活発だ。もちろん、適材適所の選択で、オンプレミスシステムを選択した方がよいと判断し、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)を選ぶ組織も増えている。さらに、アプリケーションの要件から、従来通りのサーバ環境へ更改するという選択肢もある。
いずれにせよ、OSを含めて新しい環境へ切り替えるのであれば、運用管理の変化にまつわる課題は残される。大きな組織で予算も人員も潤沢であれば、新しくモダンな仕組みにチャレンジするのもよいだろう。しかし、限られた人員で小規模な情報システム部門しか持たない企業は少なくない。中小規模の企業であれば、いわゆる「1人情シス」の状態かもしれない。新しい技術を学び、運用管理手法を切り替えるというのは非常に“ハードルが高い”と言わざるを得ない。
そうした運用管理手法に課題を持つ管理者にお勧めしたいのが、Microsoftが提供する新たなWindowsの管理ツール「Windows Admin Center(WAC)」だ。WACは、ローカルのWindows ServerやWindows 10にインストールして、複数のWindows Server、Windows 10をWebブラウザからリモート管理できるHTML5ベースのツールだ。シンプルで統合された、安全性の高い管理環境を提供し、従来型のWindows Serverの環境からWindows ServerベースのHCI 「Azure Stack HCI」、およびMicrosoftのクラウドサービス「Azure」と幅広く対応する。
「特に“1人情シス”にとって、管理の迅速性を上げるためにも使い勝手は非常に重要です。WACは使いやすさも優れており、もしWindows環境の管理に不安があっても、GUIの画面から容易に管理作業を行えるように設計されています。システムの状態や状況もダッシュボード画面からひと目で把握できる」と、デル テクノロジーズ インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括ソリューション本部 ビジネス開発マネージャの津村賢哉氏は述べる。
その上でセキュリティや仮想化環境、ストレージ、ネットワークなどの新しい管理機能やMicrosoft Azureなどの管理/セキュリティソリューションとの連携機能なども盛り込まれている。拡張性にも優れ、標準にはない将来的なツール/ソリューションを開発する機能も用意されており、独自ツールを構築するためのSDKも提供されている。
本稿では、WACの優れた機能の1つとして「バックアップ」を紹介したい。バックアップは設計が複雑で、難しい管理作業の1つとされてきた。設計に不備などがあり、データは無事に保管されているものの、リストアできなかったというトラブルを経験した方もいるかもしれない。WACを活用することで、簡単に「Azure Backup」をバックアップ環境として活用し、高度なリストアまでを実現できるようになる。
Azure Backupは、オンプレミス/クラウドのデータや仮想マシン、アプリケーションのバックアップ保護を、コスト効率が良く、可用性、信頼性の高いAzureストレージをバックアップ領域として使用するクラウドベースのバックアップおよび復元サービスだ。
詳細については、以下のデルが作成した『Windows Admin Centerを使ったAzure Backup設定ガイド』をダウンロードして参照していただきたい。
Windows Admin Centerでシンプルに始める、Azureへのバックアップ
この設定ガイドでは、WACの構築方法、Windows Serverとの接続、Azure Backupの設定までが詳細に説明されている。読めば分かるように、複雑なバックアップ設計は不要で、ほぼクリック操作だけで設定が完了するようになっている。Azure Backupは利用料金も低額で、従来型のバックアップシステムと比べても遜色ないコストで利用できる。WACによって運用負荷が下げられれば、トータルコストの抑制にもつながる。
津村氏によれば、「Azure Backupは、リストア先をオンプレミスでも、Microsoft Azureでも選択的に利用できるため、BCP(事業継続計画)対応としても効果的です。クラウドを活用したディザスタリカバリー/BCP環境を容易に構築できるとあって、興味を持つユーザーは非常に多いですね。将来的にクラウド活用を推進したい企業にとって、WACで簡単に入門できるというのも大きなメリットです」と説明する。
また、大規模な組織で「Azure Security Center」を活用してセキュリティ運用を行っている場合でも、WACは大きなメリットがある。Azure Security Centerは、ハイブリッドクラウドのアプリケーション、ストレージ、仮想マシン、その他のリソースをセキュリティ脅威から保護する、クラウドベースのセキュリティ管理サービス。Microsoft Azureのクラウドリソースだけでなく、他社クラウドやオンプレミスを含め、統合的なセキュリティ管理を実現する。
例えば、WACを介してオンプレミスサーバをAzure Security Centerに接続すれば、WAC内でセキュリティに関する推奨事項やアラートの概要などを統合的に確認できるようになる。これは逆に言えば、世界トップクラスのセキュリティレベルを誇るMicrosoft Azureのセキュリティ技術を、オンプレミスシステムにも適用できるという意味でもある。データセンター内のセキュリティ対策に懸念を持つ企業であれば、ぜひ検討してほしい構成だ。
WACには、もう一つ大きな役割がある。それは、Windows ServerベースのHCI「Azure Stack HCI」の運用を簡単にしてくれるという点だ。Azure Stack HCIは、WACを利用すれば、HCI全体の状態を簡単に把握することができ、仮想マシンの作成やストレージボリュームの作成、拡張など、基本的なオペレーションも直観的にGUIベースで操作することができる。そして、WACを利用してAzure Stack HCIの設定が可能になる機能の強化などについても、先ごろ開催されたMicrosoft Ignite 2019において、発表されている。
「Azure Stack HCIは、Windows Serverの標準機能だけで実現できることもあり、最近お問い合わせが増えてきております。セミナーなどでは、このWACを利用したAzure Stack HCIの運用のデモンストレーションを行うたびに、多くのお客さまから簡単に使えそうということで非常に高い評価をいただきます」(津村氏)
サーバ管理という観点では、ハードウェアをないがしろにすることはできない。しかし、WACだけでは、電源、ファンも含めた個々の物理コンポーネントの監視や管理をすることは不可能だ。そこではDell EMCのシステム管理ソリューション「Dell EMC OpenManage」のコンポーネントの一つである「Dell EMC OpenManage Integration with Microsoft Windows Admin Center」(以下、OMIMSWAC)が活躍する。
OMIMSWACは、OSレイヤーでは認識できないハードウェア情報やその状態を収集し、WAC上で管理できるツールだ。このツールは、デル テクノロジーズのPowerEdgeサーバおよびデル テクノロジーズのAzure Stack HCIで利用することができる。
デル テクノロジーズ インフラストラクチャ・ソリューションズ事業本部 エンタープライズ テクノロジストの南部憲夫は、「通常、システム障害時にはハードウェアとソフトウェアの切り分けが必要になるが、このツールを利用して頂くことでWAC上にて問題の認識がしやすくなり、結果的に私たちがお客さまのシステムを迅速にサポートできる手助けにもなる」と説明する。
システムの急激な変化は、管理負荷の肥大化やトラブルの原因となる。既存の管理ノウハウを生かしつつ、緩やかに仮想化/クラウドへと足を伸ばし、ハイブリッドクラウド環境を視野に入れることができるソリューションとしても、WACに注目したいところだ。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2020年1月17日