Azure仮想マシンの新規作成や管理、新サービス「Azure Arc」にも対応した「Windows Admin Center 1910」がリリースMicrosoft Azure最新機能フォローアップ(93)

2019年11月4日(米国時間)、HTML5ベースのサーバ管理アプリの最新バージョン「Windows Admin Center 1910」が正式リリースされました。新バージョンでは、Azure仮想マシンの直接的な管理やハイブリッド構成が大幅に強化されています。

» 2019年11月11日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
「Microsoft Azure最新機能フォローアップ」のインデックス

Microsoft Azure最新機能フォローアップ

Windows Admin Center 1910がGAリリースに

 Microsoftは米国フロリダ州オーランドで開催したカンファレンス「Microsoft Ignite 2019」で、HTML5ベースのサーバ管理アプリの最新バージョン「Windows Admin Center 1910」のリリースを発表しました。

 Windows Admin Center 1910は、半期に一度のGA(Generally Available:一般提供)リリース版であり、旧バージョン(1904.x)は新しいGAリリースの30日後にサポートされなくなります。そのため、旧バージョンを利用中の場合は、30日以内にWindows Admin Center 1910にアップグレードする必要があります。

 Windows Admin Centerは「Windows 10」や「Windows Server」(Windows Serverはゲートウェイとして)にインストールしてサーバをリモート管理する、Webブラウザから利用可能なHTML5ベースの管理アプリです。

 Windows Serverの標準的な管理ツールと同等の管理機能を利用できる他、PowerShell Remotingやリモートデスクトップ接続によるシェルやコンソールへのリモートアクセスも、Webブラウザから利用できます。「Microsoft Azure」のサービスとの連携やハイブリッド環境の管理に対応していることも特徴です。

 Windows Admin Center 1910では、ユーザーからのフィードバックに基づき、多くの機能改善や機能追加が行われています。

 コア機能としては、管理用接続をWinRM over HTTPS(TCPポート5986)のみに限定する機能、Azureアカウントの切り替え機能、インターネットアクセスレベルの設定(フルインターネットアクセス、Azureのみ、インターネットアクセスなし)、標準ツールとしてのパフォーマンスモニター(プレビュー)の搭載、パケットモニタリングツールの搭載(現状、Windows Server SACバージョンのみサポート)、その他の標準ツールの機能改善が行われています(画面1画面2)。

画面1 画面1 Windows Admin Center 1910のバージョン情報
画面2 画面2 「パフォーマンスモニター」と同等の機能を提供する「Performance Monitor(プレビュー)」

管理対象としてAzure仮想マシン(Windows)に対応

 Windows Admin Center 1910のトップレベルの「リソースの追加」ページには、新たに「Azure VM」が追加され、既存のAzure IaaS(Infrastructure as a Service)上のWindows仮想マシンを追加してWindows Admin Centerから管理したり、Windows Admin Centerから直接Windows仮想マシンを新規作成して管理対象として追加したりできるようになりました(画面3)。

画面3 画面3 Windows Admin CenterにAzure IaaS上のWindows仮想マシンを追加、または新規作成(新規作成はプレビュー)して管理対象として追加できる

AzureハイブリッドサービスにAzure Arc for Serversが追加

 「Azureハイブリッドサービス」は、前バージョンのWindows Admin Center 1904.xから追加された新しいツールであり、Windows Admin Centerから利用可能なAzureサービスを探したり、セットアップ済みサービスのハブとして機能したりします。Windows Admin Center 1910では、「Azure Security Center」や「Azure Arc」など、新しいAzureサービスへの対応が行われています(画面4)。

画面4 画面4 Azureハイブリッドサービスでは、発表されたばかりの新サービス「Azure Arc for Servers」のセットアップが可能に

 Azure Arcは、Microsoft Ignite 2019で発表されたAzureの新しいサービスです。このサービスは、Azureがサービスとして提供する管理機能とセキュリティ機能、その他のサービス(現在は、SQL Databaseなどのデータサービスをプレビュー公開)をオンプレミス、マルチクラウド、クラウド対応のエッジデバイスに展開し、Azureの管理機能をさまざまなインフラストラクチャに拡張します。

 Windows Admin Center 1910では、「Azure Arc for Servers」(日本語環境での表示名は「サーバー用Azure Arc」)がサポートされ、オンプレミスのWindows Server 2012 R2以降のWindows Server、Ubuntu 16.04/18.04のサーバからインベントリを取得し、Azure Policyを使用したサーバの管理や、Azure RBACを使用した役割ベースのアクセス制御を可能にします。


筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2019-2020)SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

4AI by @IT - AIを作り、動かし、守り、生かす
Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。