クラウドを活用してビジネスを加速したいとはいっても、そう簡単にクラウドへ移行できるわけではない。既存システムの利用状況、移行対象システムの仕分け、利用ルール、移行後の業務と要員体制、またコストを含む導入効果など、事前に確認・検討すべきことが多々あるからだ。クラウドを効果的に活用するためには、これらの事前準備や移行を共に推進してくれるパートナーが重要になる。
急速に変化し続けるビジネス環境に遅れることなく、新しい領域にチャレンジしてビジネスを加速する。近年の企業には、これまでにないほどの迅速性、柔軟性が求められている。その活動を支えるIT環境も同様に、迅速で柔軟である必要がある。そうした特性を得るため、多くの企業が取り組んでいるのがクラウドだ。
特にパブリッククラウドサービスは、インフラの運用管理を事業者に任せることができる点で、IT人材不足に悩む企業にとっても大きな助けとなる。人的リソースを、業務改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)のためのIT活用に集中できるようになるからだ。
しかし、いざ“クラウド化”を目指すといっても、一足飛びに移行できるわけではない。既存システムの利用状況、移行対象システムの仕分け、利用ルール、移行後の業務と要員体制、コストを含む導入効果など、事前に確認、検討すべき項目が多々あるからだ。ただクラウドを“利用”するのではなく、ビジネスを進めていく上で大きな効果を得るために“活用”したいのであれば、こうした準備や移行を共に推進してくれるパートナーが重要になる。
本稿では、Windowsシステムに慣れ親しんできた組織やITの継続性を重視する組織などに人気の高いMicrosoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」を例に、どのような事前準備や検討が必要なのか、どのようなサポートサービスが必要なのかを解説する。
業種・業態、規模によらず、既に何らかの形でパブリッククラウドサービスを利用している企業や組織は少なくないだろう。しかし、大抵は“利用”にとどまっており、“活用”にまでは至っていないところが多いのも事実だ。
例えば、「Microsoft Office 365」は非常に人気の高いSaaS(Software as a Service)だが、ただ“Officeアプリケーションを使っている”というだけで、クラウドのメリットを十分に享受できているといえるのだろうか。また、従来のサーバをIaaS(Infrastructure as a Service)に載せ替えたというだけでも、やはり“活用”とはいえないだろう。
「クラウドのメリットを最大限享受するためには、従来型の基幹システムをIaaSへ単純に載せ替えるのではなく、可能な限りPaaS(Platform as a Service)やSaaSを活用するなど、アプリケーションの構造も含めて見直していく必要があります。またクラウド活用に合わせて組織の体制やミッションを変革し、運用保守業務をアウトソーシングすることで、付加価値の高い業務へリソースを大幅にシフトすることに成功した企業もあります。一足飛びには行きませんが、将来像を描き、そこに向けたステップを一つずつ実現し、クラウドの機能を活用しきってこそ、メリットを最大限享受できるのではないでしょうか」と、日鉄ソリューションズ ITインフラソリューション事業本部 営業本部 クラウドプラットフォームマーケティング部 マルチクラウド推進グループの山田浩之氏は指摘する。
日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)は、2007年からクラウド事業を展開しており、自社でもクラウドサービスを提供するなど、クラウドに関する多くの知見とノウハウを蓄積している。また、NSSOLはMicrosoftのAzureにおける上位パートナー(Gold Cloud Platform)の1社でもあり、Microsoft Azure(以下、Azure)に関連する豊富なソリューション/サービスを提供している。
山田氏によれば、パブリッククラウドは登場当時から比べるとセキュリティ強化も含めサービスの充実度が日々上がってきている一方、企業のクラウド利用に関する意識的障壁は下がってきており、今では多くの企業のニーズを受け入れられるようになっているという。特にMicrosoftのクラウドサービスはDynamics 365/Microsoft 365などのSaaSから、PaaS/IaaS層のAzureまで包括的に提供されていることから、エンタープライズレベルで求められるセキュリティやシステム間連携などの面においても企業が享受できるメリットは大きいとする。
急速に発展するクラウドの技術/サービスを追いかけ、取り込んでいくことを、ユーザー企業だけで実践するのは困難だ。特に、既存のシステムをクラウド化しようという場合は、システム全体を含めたデザインや手段、運用方法、組織体制、コスト、効果など、さまざまな要素を検討しなければならない。
上述したように、既に何らかのパブリッククラウドサービスを利用している組織は少なくない。しかし、その実態としては、業務部門や研究部門が独自に先行利用しているだけで、情報システム部門による全社的な統制やセキュリティ対策、ルール策定が追い付いていないというケースは多い。経営者によるトップダウンでクラウド活用を推進しているものの、現場が使いこなせずストレスに感じてしまうケースも珍しくないという。
クラウド移行前の事前調査、検討、効果検証──何がクラウド化できるのか、どうすればよいのか、どれだけビジネスに貢献できるのか、ということをしっかりと可視化し、全社的な取り組みとして視点を合わせることが重要になるのだ。
これらをユーザー企業だけで検討するのは困難であるため、NSSOLのような知見とノウハウのあるパートナーが欠かせないのである。NSSOLは2019年10月、Azureへの移行効果を可視化するアセスメントサービスの提供を開始している。
同社のアセスメントサービスには、大きく3つの要素が含まれる。1つ目は情報システム部門への支援となる、クラウドを活用するためのポリシーやガイドラインの策定だ。
「ただ参考書を読んで、ルールやガイドラインを作るのは難しいものです。自社には何が必要なのか、どうするのが望ましいのか、どんな使い方が合っているのか、実際のAzure環境を試したり、ディスカッションしたりしながら理解を深めていただきます。組織によりセキュリティ、アジリティなど重視するポイントが異なりますので、本格的なクラウド活用には、個々の組織に最適な使い方を定めることが重要なのです」と、日鉄ソリューションズ ITインフラソリューション事業本部 ITサービスエンジニアリング事業部 技術企画部 クラウドテクノロジーグループ エキスパートの加治屋剛氏は述べる。
2つ目は既存環境の調査や将来像の検討の中で、クラウド移行後の効果を可視化すること。Azureには「ITアセットドック」「Azure Migrate」「MAP Tool」などの移行アセスメントをサポートするツールが用意されており、スピーディーに高い精度でクラウド移行後の状況を試算することができる。
物理/仮想を問わず、環境全体をシステム間の依存関係までも含めて可視化したいのであれば、ITアセットドックを中心とした詳細な調査を実施し、「Microsoft Power BI」などのデータ視覚化BI(Business Intelligence)ツールを活用して、移行後のコストや依存関係などをレポート化できる。Active Directory配下の環境を一覧化したいのであれば、MAP Toolを活用することで素早くリストを作成することができる。アセスメントパターンも、ニーズに合わせて複数用意しているというわけだ。
この結果を見ながら、Azureへ移行する/プライベートクラウドへ移行する/既存環境のまま残す/廃止するなど、最終的な決断を下す。だが、スピードやコストに加えて、セキュリティやBCP対策、メンテナンス性、ソフトウェアライセンス要件などさまざまな要因を考慮しながら仕分けていくのはなかなか難しい。ここでNSSOLの経験とアドバイスが生かされることだろう。
3つ目は、組織や人の改革だ。アセスメントで将来像が見えてきたら、次は移行後の運用体制や管理体制も考え直さなければならない。例えばサーバ運用保守業務のように、なくなることがあらかじめ分かっていることもあるが、実は必要なのにリソースが足りていないものに気が付くこともある。移行後にどのような業務が発生するのか、どのような人材が必要なのかについても、できるだけ早い段階で認識して準備することが望ましい。
「クラウド活用には、その目的を定義して、ゴールを明確にすることが不可欠です。当社のサービスでは、ハンズオンやトライアルなどを通じて、構築から運用に至るまでを実感し、知見を得ていただけるようにしています。また、私たちはアセスメントだけではなく、ITデザインやガイドラインなどのクラウド活用設計、PoC(概念実証)、移行、構築、運用保守に至るまで幅広いサービスメニューを用意し、総合的なAzure活用をサポートする体制を整えています」(加治屋氏)
NSSOLは、長年にわたって多種多様な業種・業態のシステム構築・運用を手掛けてきた実績がある。Microsoft製品にも造詣が深く、アプリケーション開発の経験も多い。
Microsoftの業種特化パートナープログラム「MPN for Industry」にも製造/流通/金融の3分野で参加し、PLM(Product Lifecycle Management)、ERP(Enterprise Resources Planning)、HPC基盤、データ分析基盤やコミュニケーションプラットフォームなどのさまざまなソリューションを、Azureを含むMicrosoftのクラウドサービス上で構築してきた。
「当社のお客さまの要望も非常に多種多様です。IT企画から参画してほしいという企業や、IT人材の不足に悩む企業、大規模なサーバ環境の運用を任せたいという組織もあり、さまざまな環境で経験を積んできました。また、自社クラウドの運営で得たノウハウも活躍することでしょう。インフラだけでなく、アプリケーションまでトータルに、ビジネスに直結するようなサービスを提供したいと考えています」(山田氏)
NSSOLでは、ユーザー企業とできるだけ長く関係を保ち、相手のビジネスやITについても深く理解しようと努めている。そうすることで、的確で効果的な戦略や企画を立案しやすくなるというのだ。そうしたNSSOLの姿勢を高く評価し、長くつき合いのあるユーザー企業も少なくないとのことだ。
Azureをはじめとしたパブリッククラウドは、急速に変化、進化していくITである。この流れに追い付き、最新技術を採り入れ、ビジネスも進化させていきたいのであれば、NSSOLのような強力なパートナーを得ることが重要になるだろう。
まずは、自社のITやビジネスがクラウドに向いているのかどうか、クラウド化によってどのように変化するのか、NSSOLのAzure移行アセスメントサービスを活用し、確かめてみてはいかがだろうか。
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2020年2月7日