第2回 Internet StandardsとRFC:詳説 TCP/IPプロトコル(6/6 ページ)
インターネットの標準的なプロトコルは「Internet Standards」と呼ばれ、 ISOC(Internet Society)が管理している。
インターネットの技術の発展に伴って、その技術についてのRFCも改訂されていく。急激な発展を見せるインターネットにおいては、その技術の移り変わりも速く、関連するRFCもそのつど変わることに注意が必要である。その例として、ダイヤルアップ ネットワークなどでよく聞くであろう、PPP(Point to Point Protocol)について、そのRFCの遷移を追ってみよう。
まずSTD1「Internet Official Protocol Standards」でPPPを調べると、Internet Standardプロトコルとして認められており、STD51が割り当てられていることが分かる。STD51は、2つのRFC、RFC1661「The Point-to-Point Protocol (PPP).」とRFC1662「PPP in HDLC-like Framing.」からなっている。これらについてRFCの索引rfc-index.txtを調べると、RFC1661はRFC1548を廃止しているが、RFC2153によって更新されており、RFC1662はRFC1549を廃止していることが分かる。同じように、RFC1548、2153、1549を調べていくと、図「PPPに関するRFCの遷移」のように遷移していることがわかる。
この図から、PPPは最初のRFC1134が1989年11月に発行されて以来、1999年1月までの約10年間、ほぼ毎年発行された、15のRFCによって、改訂や新たな仕様の追加が行われたことが分かる。その結果、現在は8つのRFC(1570、1661、1662、1962、1994、2153、2284、2484)が有効である。
このようにRFCは改訂され続けているため、TCP/IPの技術者はその知識が時代遅れにならないように、常に最新のRFCに関心を寄せておく必要がある。
PPPに関するRFCの遷移
PPPはRFC1134から約十年の間に、仕様の改訂、派生、統合を繰り返し、全部で15のRFCが発行され、現在ではそのうちの8つのRFCが有効となっている。PPPのSTD番号51は、RFC1661とRFC1662に割り当てられている。図は上から下へ、RFCの発行順(時間順)に並んでいる。濃い青の矢印は、古いRFCが新しいRFCで「置き換えられた(古いほうは破棄される)」ことを示し、オレンジ色の矢印は、RFCが「更新」されたことを示す。更新の場合は、両方のRFCの内容を調べる必要がある。
参考リンク | ||||
ISOC(Internet Society) | ISOCのホームページ | |||
IAB(Internet Architecture Board) | IABのホームページ | |||
IETF(Internet Engineering Task Force) | IETFのホームページ | |||
IRTF(Internet Research Task Force) | IRTFのホームページ | |||
IANA(Internet Assigned Numbers Authority) | IANAのホームページ | |||
RFC Editor | RFC編集者のサイト | |||
Internet-Drafts | RFCのInternet-Draftsが置かれているページ | |||
HyperRFC - Hyper-linked RFC | ソニーコンピュータサイエンス研究所提供のRFC情報ページ | |||
RFC のページ | 日本語に訳されたRFC情報など | |||
RFCJ -- RFC ならびに Internet Draft の日本語化文書集積/提供のページ | 日本語化されたRFC情報への総合リンク ページ |
今回のまとめ
- インターネットのプロトコルは、IETFが発行するRFC(Request for Comments)というドキュメントで仕様が決定、公開されている。
- RFCは最初にInternet Draftとして提案され、Proposed Standard(標準化提案)、Draft Standard(標準草案)、Standard(標準)という段階を経て、標準プロトコルとして認定される。
- RFCには、一連のRFC番号が付けられているが、新しい版が発行されると、古い番号のRFCはObsolete(廃止)またはUpdate(更新)される。Obsoleteされている場合は、新しい方のRFCだけを参照しなければならない。Updateの場合は両方のRFCを参照する必要がある。
- 各RFCには、RFC番号のほか、カテゴリ情報(Standards Track、Informational、ほか)、サブシリーズ(STD、FYI、BCP)番号という情報も含まれる。RFC番号は新しいRFCが出ると更新されるが、サブシリーズ番号は、ずっと同じ番号が使われる。
- ネットワーク プロトコルの情報を調べるには、まず最新のSTD1を入手してネットワーク プロトコル名と該当RFC番号(とSTD番号)を調べ、それに基づいて目的のRFCを入手する。
- RFCの配布、複製は自由であり、国内外の多数のサイトにコピーが置かれている。そこには各RFCファイルのほか、rfc-index.txt、std-index.txt、fyi-index.txt、bcp-index.txtなどのような、RFCの内容をRFC番号やサブシリーズ番号などに沿って分類した索引ファイルなども置かれている。
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