IPスプーフィング(IP Spoofing)とは、送信元のIPアドレスを偽装し、通信を行う攻撃手法のことである。偽装することにより、WebサイトなどのIPアドレス制限を突破したり、またDoS攻撃などを行う際、攻撃元の特定を困難にしたりすることができる。
TCPにおいては、偽装対象となるIPアドレスを持つコンピュータと攻撃対象の通信におけるシーケンス番号(パケットの順序などを識別するために用いる)を予測する必要があるため、実際には本攻撃手法は困難である。仮にシーケンス番号を推測できた場合、Source Routingオプションを用いてIPパケットの経路を意図的に示すことで、送信元IPアドレスを偽装しつつも攻撃元へパケットを届けることができる。
UDPにおいては、シーケンス番号が存在しないため、攻撃自体は困難ではない。
IPスプーフィング攻撃への対策としては、下記などが挙げられる。
- Source Routingオプションの付いたパケットの破棄
- 外部から入る、送信元が自ネットワークと同じアドレスを持つパケットの破棄
- 外部へ出ていく、送信先が自ネットワークと同じアドレスを持つパケットの破棄
ただし、上記の対策では先述したDoSの根本的な対策とはならないことに注意しなければならない。エンドポイントにおいてIPレベルでの根本的なDoS対策は困難である。
エンドポイントにおける対策として、攻撃に特徴のあるDoS攻撃であればIDSなどを使用することで緩和できる。SYN flood攻撃に対しては、SYN Cookieを使うことでサーバのリソース消費量を抑えることが期待される。また、ISPレベルであればIngress Filteringを使用し、送信元IPアドレスの偽装を検出し、遮断することも可能である。
IPスプーフィングを使ったDoS攻撃の対策として、これらのエンドポイントにおける対策に加え、ISPなどが提供するDoS対策サービスを利用するといいだろう。
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■更新履歴
【2004/1/1】初版公開。
【2018/10/15】最新情報に合わせて内容を書き直しました(セキュリティ・キャンプ実施協議会 著)。
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