第2回 WSSのインストールとSharePointサイト・ツアー:SharePointアーキテクチャ入門(2/5 ページ)
WSSを実際にインストールし、構築された初期サイトを探検しながら、SharePointを構成する要素と機能を具体的に確認しよう。
WSSサーバの必要条件
WSSをインストールするために必要なコンピュータの条件は次のとおり。
項目 | 内容 | |
---|---|---|
ハードウェア | ||
CPU | Intel Pentium III(互換プロセッサ)かそれ以上 | |
メモリ | 512Mbytes以上 | |
ディスク | 550Mbytes以上(GroupBoard用としてさらに50Mbytesが必要) | |
ソフトウェア | ||
OS | Windows Server 2003 | |
アプリケーション・サーバ | ASP.NET | |
Webサーバ | IIS 6.0(共通コンポーネント、SMTPサービス、WWWサービスが必要) | |
データベース | SQL Server 2000(最新Service Packを適用)/MSDE 2000 | |
ネットワーク | Windowsドメインに参加 | |
WSSインストールに必要な環境 |
必要構成についてさらに詳細に知りたければ、マイクロソフトの以下のページを参照のこと。
インストール前の基礎知識
ハードウェア的には特に注意すべき点はないが、表から分かるとおり、WSSをインストールするにはWindows Server 2003が必須である。またWSSをインストールする前準備がいくつか必要である。
■基本的にはWindowsドメイン環境が必要
WSSを利用するには、基本的にWindowsドメイン環境が前提になる。具体的には、WSSをインストールするサーバは、Windows NT 4.0またはWindows 2000、Windows Server 2003のいずれかで構成されるWindowsドメインのメンバー・サーバにしておく必要がある(ドメイン・コントローラ自身にWSSをインストールすることも可能)。
前出のマイクロソフトのページを見ると、「WSSを複数サーバ構成で使う場合のみドメインが必要」と表記されているが、試しにワークグループ・ネットワーク環境でWSSをインストールしてみたところ、インストール直後に行われるMSDEの初期設定でセキュリティ・エラーが発生した。データベース・システムをMSDEからSQL Server 2000に変更することで利用可能になったが、基本的にWSSはドメイン環境で利用するものと考えた方がよいだろう。
■コンテンツの検索機能を利用するにはSQL Server 2000が必要
WSSにはデータベースとしてMSDEが同梱されており、WSSをインストールすると、MSDEが自動的に“SHAREPOINT”というインスタンス名でインストールされて利用可能になる。このMSDEでも基本的なWSSの機能を使うことは可能だが、テスト運用から本格運用に移行するときには、実質的にSQL Server 2000への移行が必要になるだろう。MSDEにはデータベースのサイズ制限があるし、何よりMSDEではコンテンツの検索機能が使えない。検索機能は、SharePointサイト上のコンテンツが拡充してきたらどうしても欲しくなる機能である。
■クライアント環境の準備
WSS/SPSはWebアプリケーションなので、クライアント側にはWebブラウザがあれば利用可能だ。ただしWSS/SPSでは、Webパーツのドラッグ&ドロップやマウスの右ボタンクリックによるコンテキスト・メニューのドロップダウン表示など、DHTML(Dynamic HTML)などを活用して、通常のWebページでは利用できない機能を実現している。このためWSS/SPSサイトの表示機能や操作機能をフルに使うには、ブラウザ環境としてInternet Explorer(IE) 5.5xまたはIE 6.0が必要である。
右クリックメニューの例
SharePointでは、Webアプリケーションでありながらも、マウスの右クリックでポップアップ・メニューを表示できるものもある。画面はスケジュール管理リストのWebパーツにおいて、日付上でマウスを右クリックしたところ。メニューから新規スケジュールの追加などが行える。
(1)マウスの右クリックでポップアップされたメニュー。
Webパーツのドラッグ&ドロップの利用やドロップダウン・メニュー表示をあきらめれば、IE 5.01+SP3でも利用できる。これらに加え、パーツの展開・折りたたみ表示をあきらめれば、Windows版のNetscape 6.2以降でもよい。
Macintosh版やUNIX版のNetscape 6.2、Macintosh版IE 5.2でもWSS/SPSサイトにアクセス可能だが、表示機能や操作機能は強く制限される。具体的な制限項目はOSによって異なる。
これらをまとめると以下のようになる。
Webブラウザ | OS | 主な機能制限(利用できない機能) |
---|---|---|
IE 5.5x/6.0 | Windows | なし |
IE 5.01 SP3 | Windows | Webパーツのドラッグ&ドロップ/ドロップダウン・メニュー表示 |
Netscape 6.2以上 | Windows | Webパーツのドラッグ&ドロップ/ドロップダウン・メニュー表示/パーツの展開・折りたたみ表示 |
Netscape 6.2 | UNIX | WSSデータの参照は可能だが、表示や操作などが大きく制限される |
Netscape 6.2 | Macintosh | WSSデータの参照は可能だが、表示や操作などが大きく制限される |
Internet Explorer 5.2 | Macintosh | WSSデータの参照は可能だが、表示や操作などが大きく制限される |
WSSで利用できるブラウザ・バージョンと機能制限 |
上表はSharePointテクノロジ2003 SDKから転載したもので、実際にテストした結果ではない。またGroupBoardの動作対象環境にはNetscapeは入っていないことを触れておく。
なおWSS/SPSはWebアプリケーションだが、Office 2003はWSS/SPSとの連携機能が強化されており、Office 2003アプリケーションの作業ウィンドウからSharePointで管理される文書のプロパティを編集したり、Office 2003のコンポーネントを利用して複数レコードのデータをExcelライクなワークシートで一括編集したりできる。これらの詳細については、次の関連記事を参照されたい。
■Live Communications Server 2003との連携
WSSを運用するドメインでLive Communications Server 2003が稼働しており、クライアント側でWindows Messenger 5が利用できるなら、WSS/SPSサイトで各メンバーがオンラインかどうかをリアルタイムに確認したり、WSS/SPSサイトからインスタント・メッセージを送信したりできるようになる。ただし今回はLive Communications Serverとの連携についてはこれ以上は触れない。
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