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PM最大の武器、コミュニケーションスキルプロジェクトマネジメントスキル 実践養成講座(7)(1/2 ページ)

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成功プロジェクトの共通点とPMBOKの改訂

 前回(「第6回 プロジェクトは人が動かす」)では、組織(人的資源)マネジメントを解説した。PMBOKを勉強することも大事であるが、それだけではプロジェクトは動かない。

 うまくいっているプロジェクトに多く見られる共通点は、プロジェクトのメンバーや関係者がそれぞれ課題やリスクの発見に努め、その解決に向けて尽力している点である。いい換えれば、自発的に行動するという特性である。自分の周囲で進行しているプロジェクトはどうだろうか。

 各自が自分の担当領域に固執し、作業はプロジェクトマネージャや上司からの指示待ちという状態になっていないだろうか。このような状態に陥ると担当者間で作業の漏れや重複などを引き起こす一因となる。プロジェクトマネージャとして、メンバーが自発的に行動できるよう配慮することを忘れないようにしたい。

 今回の解説の前に、当連載でも紹介しているPMBOKの内容に大きな変更があったので、そのことに触れておく。

 発行元のPMIではPMBOKをより最新のプロジェクト事情に適合した方法論とするため4年に1度内容を見直し改訂版を発行することにしている。前回の改訂は2000年で、当連載で紹介しているPMBOKの内容はその「PMBOK2000」に基づいている。

 前回の改訂から4年目に当たる2004年秋に「PMBOK 3rdEdition」(PMBOK第3版)が発表された。気になる内容だが、9つの知識エリア自体に変更はないが、知識エリアを構成するプロセスがこれまでの39プロセスから44プロセス(新規7:削除2)へ増加するなど大きく変更された。また、PMP試験については来年の秋ごろから今回のPMBOK 3rd Editionに対応した試験内容になる予定とのことで、PMP取得に向けて準備を進めている方/考えている方は、受験時期により、どちらのバージョンで勉強するかを考える必要がある。

 なお、当連載で今回以降紹介するPMBOKの内容については、これまでの連載と整合性を保つため、これまで同様PMBOK2000をベースとすることをご了承いただきたい。

 さて、今回はコミュニケーションマネジメントについて解説する。「コミュニケーションが大事」とはよくいわれることである。しかしながら具体的に何をすればよいか分からない、あるいは、人と話すことが得意ではないという読者の方もいるかもしれない。

 しかし、そんな方でも円滑なコミュニケーションは十分に可能である。難しく考える必要はない。要は「適切な相手に」「適切な情報を」「適切なタイミングで」「適切な手段」で伝えることである。誰かに何かを伝える際にはこの4つの観点を押さえることが円滑なコミュニケーションに向けた第一歩といえる。

 では、まずPMBOKにおけるコミュニケーションマネジメントの定義を確認して実際のプロジェクトにおける勘所を解説することにしよう。

コミュニケーションマネジメントとは

 PMBOKには、「コミュニケーションマネジメントは、プロジェクト情報の生成、収集、配布、保管、廃棄をタイムリーかつ確実に行うために必要なプロセス」とある(表1)。

プロセス 主要成果物 説明
コミュニケーション計画 ・コミュニケーションマネジメント計画書 誰が、誰に、いつ、どのような情報をどのような手段で提供するかを決定する。例えば、会議体や個人スケジュール、プロジェクトの連絡事項の通知方法、議事録の作成者と配布・回覧方法の定義など。
情報配布 ・プロジェクト記録
・プロジェクト報告書
・プレゼンテーション
必要とされる情報を適切な手段で適切なタイミングで関係者に実際に提供するプロセス。ちなみにプロジェクト記録とは、連絡文書、議事録などのプロジェクト文書を指す。
実績報告 ・実績(進ちょく)報告書
・変更要求
プロジェクトの目標達成に向けて、どのように資源が使われており、どの程度達成されているかを関係者に知らせるための情報を収集し配布すること。
完了手続き ・プロジェクトの公式記録
・プロジェクトの終了
プロジェクト、または、フェイズの目標達成、あるいは中断や中止による終了時に行う作業を指す。
表1 PMBOK(2000Edition)におけるコミュニケーションマネジメント

 このようにPMBOKで定義されているコミュニケーションマネジメントは、円滑なコミュニケーションを図るためにプロジェクト運営上必要な「組織としての仕組みとルールづくり」、例えば会議体の定義、議事録の配布方法(手段と配布先)の定義など、プロジェクト内でのコミュニケーションインフラ/プロセスをいかに定義するかという観点で解説されている。

 しかし円滑なプロジェクト運営のためにはこれだけでは十分でない。加えてわれわれ個々人に求められるコミュニケーションスキルが必要とされる。この個々人のコミュニケーションスキルは、プロジェクトに特化したものというよりむしろ、一般的なビジネススキル、ヒューマンスキルとして考えられており、その詳細はPMBOKで解説されるものではないが、円滑なプロジェクト運営のためには組織としてのコミュニケーションインフラと同様か、それ以上に重要な意味を持つことはご理解いただけることであろう。

 実際のところ、プロジェクト現場で発生する問題は個々人のコミュニケーションのまずさに起因していることも多い。従って、プロジェクトでの個々人におけるコミュニケーションの勘所を以下に紹介する。

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