dk-milterを導入してみよう
ここからは実際にDomainKeysを導入する方法について説明する。dk-milterは、sendmail MTAと同様のライセンスでオープンソースとして公開されており、送信側での電子署名、受信側の認証の両方に利用できる。
dk-milterはsendmail MTAのプラグインとして動作するメールフィルタで、オープンソース版sendmail 8.13.0以降か商用版Sendmail 3.1.6以降で動作する。dk-milterのバージョンは原稿執筆時点(2005年12月14日)で0.3.2である。以下のURLからダウンロード可能である。同時にsendmail MTAの最新版もダウンロードしておこう。
dk-milterのビルド
sendmail MTAのソースとdk-milterのソースをダウンロードして適当なディレクトリに展開する。site.config.m4.sampleをコピーしてdevtools/Site/site.config.m4を作成し、
APPENDDEF(`confENVDEF', `-DMILTER')
を追加する。そのほか必要に応じてオプションを追加/削除したうえで、ソースのTOPディレクトリで「./Build」を実行してから、さらにroot権限で「./Build install」を実施する。これでmilterに対応したsendmail MTAがインストールできる。
次にlibmilterをコンパイルおよびインストールする。まずlibmilterディレクトリに移動して「./Build」を実施し、コンパイルに成功したらroot権限で「./Build install」を実施する。
そしてdk-milterのソースディレクトリのTOPにおいて「./Build」を実行してから、さらにroot権限で「./Build install」を実施する。以上でdk-filterが利用可能になる。
なお、すでにOS付属のlibmilterなどが存在し、そのlibmilter.aを作成したコンパイラとdk-filterをコンパイルするgccのバージョンが異なるとコンパイルに失敗する場合がある。その場合はdk-filter/Makefile.m4を編集し、新たに作成したlibmilter.aファイルを直接指定すると回避できる。
DomainKeys用の鍵の作成と公開
鍵の作成はOpenSSLのツールを利用する。dk-milterのソースに含まれるINSTALLに手順の簡単な説明があるので一読しておくことをお勧めする。一連の作業を実施する「gentxt.csh」というコマンドが「(dk-milterのソースのTOPディレクトリ)/dk-filter」以下にあり、これを用いて、秘密鍵、公開鍵、およびDNSに登録するTXTレコードのサンプルを簡単に作成できる。
ここではセレクタを「k1」に、DomainKeysで認証可能にする送信ドメインを「sm-ex.co.jp」とする。
# cd dk-filter # ./gentxt.csh k1 sm-ex.co.jp k1._domainkey IN TXT "g=; k=rsa; t=y; p=MFwwDQYJKoZIhvc NAQEBBQADSwAwSAJBANm1IZUEICVj7 N1KEQVxOgpGWDB2NkWxkvgVBEWZ9WYOB8VK9mntghacav OILo8KkshxGmCh6SOyLlQqmrMCzpkCAwEAAQ==" ; ----- DomainKey test for sm-ex.co.jp
実行すると、秘密鍵をk1.privateに、公開鍵をk1.publicにそれぞれ出力する。また、コマンドの結果としてDNSのzoneファイルにそのまま記述可能なTXTレコードのサンプルが出力されるので、これをDNS上に公開する。
デフォルトでは鍵長512bitの鍵が作成される。必要に応じてgentxt.cshの32行あたりを編集し鍵長を調整するといいだろう。
サイトポリシーの公開
DomainKeysでは公開鍵のほかにドメインポリシーを公開できる。ドメインポリシーには、認証結果を受信者にどのように扱ってほしいかを記述する。ドメインポリシーは送信ドメインに「_domainkey」を追加したFQDNに対するTXTレコードとして公開する。例えば、
_domainkey.sm-ex.co.jp.TXT "t=y; o=~"
となる。「t=y」は試験的な運用であることを示している。「o=」は電子署名の実施について表示するもので、値が「-」の場合はすべてのメールに署名を実施する。また「~」の場合は署名してあるものもないものもあるという意味になる。
ドメインポリシーはDomainKeysの認証に失敗した場合にのみ参照すべきとされている。また、参照時に値が得られなかった場合はデフォルト値「~」と判断するように定義されている。ほかにもタグが存在するが詳しくはドラフトを参照してほしい。
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