プロとしてのバックアップ/リカバリ基礎知識:Oracleバックアップ/リカバリ講座(1)(4/4 ページ)
本記事では、Oracleデータベースのバックアップ/リストア/リカバリについて、そのアーキテクチャ、代表的なバックアップ手法、論理/物理バックアップ、RMANといった全般的な内容を解説していく。(編集部)
バックアップ方法を決定する
バックアップを取得するには、必要なファイルのみをOSのコマンドなどでコピーする方法やツールを使用する方法など、さまざまな方法があります。具体的には、バックアップ対象をすべてコピーする「フルバックアップ」や、フルバックアップ取得以降に変更されたすべてのデータをバックアップする「差分バックアップ」、そして前回のフルバックアップもしくは差分バックアップ以降に変更されたデータのみをバックアップする「増分バックアップ」があります。Oracleが持つ差分バックアップ、増分バックアップの機能は今後の連載で詳しく説明しますので、今回はその概要にとどめておきます。
図4では、それぞれのバックアップ方法における、バックアップ対象データと実際に変更されたデータとの関係をまとめています。
バックアップの保持期間と取得先媒体を決定する
バックアップを取得してもそのバックアップが壊れてしまったら、データを守ることはできなくなります。そのため、万が一に備えて、バックアップの複製を作成します。このバックアップの複製は、同じバックアップを複数用意する方法と、過去のバックアップも保存し世代管理する方法があります。もちろん両方を同時に行うことで2重、3重の障害に備えることも可能です。ただし、世代管理を行った場合、一世代前のバックアップをリストアするとその時点にしか復旧できないこともあるので、要件を確認しておく必要があります。
また、バックアップを複数保持することになった場合、バックアップを保持する媒体の検討も必要です。個人のパソコンにあるデータであれば、別のハードディスク、USBメモリなどで取得することも可能です。しかし、企業システムのデータは非常に膨大なものとなるため、バックアップの取得先についても検討が必要です。ディスク(ストレージ)の機能によって別ディスクにバックアップしたり、遠隔地にバックアップしたりすることも可能です。また、コストを考慮するとLTOなどのテープ媒体に取得することもあります。
取得先を決定するうえで注意すべき点は、万一の障害発生時に、バックアップしたファイルも同時に障害にならないように、バックアップしたファイルの取得先を選択することです。せっかく複数のバックアップを取得していても、これらがデータと同じディスク上にあったのでは、まったく意味がありません。データとバックアップの両方を失うことがないように、バックアップ要件に従い、取得先を決定します。
今回はバックアップの持つ役割とその重要性、そしてバックアップ計画の立て方について説明しました。今回は一般的なバックアップについての説明でしたが、次回からはOracleのバックアップ、リストア、リカバリについて説明していきます。(次回に続く)
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