プロとしてのバックアップ/リカバリ基礎知識:Oracleバックアップ/リカバリ講座(1)(3/4 ページ)
本記事では、Oracleデータベースのバックアップ/リストア/リカバリについて、そのアーキテクチャ、代表的なバックアップ手法、論理/物理バックアップ、RMANといった全般的な内容を解説していく。(編集部)
バックアップ対象を決定する
多くの企業システムでは、「万一の障害発生時でも、短時間で復旧可能であること」が求められます。そのため、データのバックアップ以外に復旧時間を短くするためにさまざまな手法を利用しています。ここでも、個人で利用するデータを例に挙げて考えてみましょう。
例えば、Word、Excelなどで作成したファイルをバックアップすることを考えてみます(現在のMicrosoft Officeでは自動バックアップ機能がありますが、ここでは利用していないものとします)。すでに、別媒体にファイルがバックアップ済みの状態で、ハードディスクに障害が発生した場合、OSやMicrosoft Officeがファイルとは別のハードディスクにインストールしてあれば、バックアップしておいたファイルをリストアすることでバックアップ時点の状態でファイルを使用することができます。
しかし、OS、Microsoft Officeも含めたハードディスク全体の障害であった場合、当然ファイルだけをリストアしても使用することはできません。ハードディスクの復旧後にOS、Microsoft Officeをインストールし、ファイルをリストアすることで初めてそれらのファイルを使用することが可能になります。
図2は、この2つのバックアップ、リストア、リカバリにおける、復旧までの大まかな経過時間を比較したものです。バックアップ時間はかかってしまいますが、復旧までの経過時間をできるだけ短縮したいということであれば、ファイルだけでなく、OS、Microsoft Officeを含めたバックアップを取得することも検討する必要があります。
いつバックアップを取得するのかを決定する
先ほども説明したように、個人で利用しているパソコンのデータの場合、利用していないときであればいつでもバックアップを取得することが可能です。しかし、企業システムで利用しているデータベースでは、そう簡単にはいきません。そのため、まずは以下のような点について、検討する必要があります。
- データベースを停止することができるか
- バックアップを取得するための許容時間はどれくらいか
夜間など、データベース自体を停止できる時間があるシステムであれば、個人のパソコンと同様に、データベースを停止してバックアップを取得することができます。しかし、近年では夜間もデータベースを停止できないシステムが多くなってきています。このような場合には、データベースが提供する方法/ユーティリティなどを使用し、データベースを停止せずにバックアップを取得する方法を検討します。Oracleにもデータベース稼働中にバックアップを取得する方法がいくつか用意されています。これらのバックアップ方法については、今後の連載で説明していきます。
2つ目は、バックアップ方法によって時間は変わってきますが、大量データが対象の場合、許容時間に収まらないこともあります。その場合、図3のようにバックアップ対象を分割し、複数回で1つのバックアップを取得することも検討します。
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