なぜかパスキーの認証や共有に失敗する場合の対策や回避策:Tech TIPS
パスキーの利用が促される機会が増えてきた一方で、パスキーの認証や共有(同期)でトラブルが生じることも。Windows OSやスマホ、Google Chromeを中心に、パスキーのトラブルとその対策/回避策について説明する。
対象:Windows 10/11、Googleパスワードマネージャー、リモートデスクトップ接続(mstsc.exe)
Google Chrome(以下、Chrome)などでGoogleアカウントにログインすると、「パスキー」の利用を促されたことはないだろうか(パスキーについては、Tech Basics/Keyword「最近よく聞く『パスキー』の仕組みと設定方法」参照)。このように長らく利用されてきたパスワードから、「パスキー」で認証することが普及し始めている。大多数のPCやスマホ(デバイス)では、既にパスキーの生成や認証が可能になっている。そして複数のデバイス間で、パスキーの同期(共有)ができるようになってきた。
その一方で、「パスキーの認証になぜか失敗する」「同期されているはずのパスキーが別のデバイスで見つからない」といったトラブルに遭遇したこともあるのではないだろうか? 筆者にもそういう経験がある(中にはまだ解決できていないものもある)。
そこで本Tech TIPSでは、筆者が遭遇したトラブルも含めて、パスキー認証/生成/同期で生じやすいトラブルや制限と、その対策/回避策を紹介する。基本的にWindows OS、iPhone(iOS)、Androidスマートフォン(スマホ)、Chromeを中心に説明したい。
解決策が見つかったり、新たなトラブルが発覚したりしたら、随時更新していく予定だ。
ChromeとGoogleパスワードマネージャーでパスキーが共有できない
Chromeでは、「Googleパスワードマネージャー」を使ってパスキーの共有(同期)ができる。例えば、Windows PCのChromeで、とあるWebサイトの認証でパスキーを登録すると、Googleパスワードマネージャーを介して、同じGoogleアカウントでログインしている別のPCやAndroidスマホのChromeでも、同じパスキーで認証できる。
しかし、状況によっては、共有しているはずのパスキーが選択肢に表示されないことがある。幾つかのパターンを紹介しよう。
●Google Chromeのバージョンが古く、パスキーに対応していない
結論からいえば、OSにしろChromeにしろ、なるべく最新版にアップデートしておくのが理想だ。特にパスキーの共有については、執筆時点では現在進行形で実装されている状態なので、バージョンを上げると解決する可能性がある。
最低限のバージョンについて、Googleアカウントでの要件を紹介しよう。Googleアカウントにパスキーでサインインするには、OS/Chromeごとに以下のバージョン以降を利用している必要がある。
- Windows OS: Windows 10/Windows 11
- iPhone/iPad: iOS 16/iPad OS 16以降
- Android: Android OSバージョン9以降
- Chrome: バージョン109以降
その他のサービスでのパスキー認証では、また別の要件が必要な可能性もある。またパスキーを共有する場合は、もっと新しいバージョンが必要なことも考えられるので注意してほしい。
Chromeのアップデート手順については、Google Chrome完全ガイド「Google Chromeを手動で最新版にアップデートする」を参照していただきたい。
●Windows PCではTPMが非搭載だとパスキーを共有できない
Googleパスワードマネージャーを使ってパスキーを保存する場合、Windows PCではTPM(トラステッドプラットフォームモジュール)の搭載が必要となる。TPMが搭載されていない、あるいはWindows OSからTPMが認識されない状態だと、パスキーの認証を選択したとき、Googleパスワードマネージャーが候補として表示されない。TPMが必須ではないWindows 10では特に注意したいポイントだ。
TPMが「オン」(有効)になっているかどうかは、「Windowsセキュリティ」アプリの「セキュリティプロセッサの詳細」という画面で確認できる。それには「設定」アプリで「TPM」と検索すると表示される候補のうち、「セキュリティプロセッサ」をクリックする。
TPMが搭載されていなかった場合は、対象PCをTPM搭載PCにリプレースしたり、PCではなくスマートフォンにパスキーを保存して共有したり、といった抜本的な対策が必要になってしまう。
●パスキーの共有が無効になっている
Chromeで同期を有効にすると、パスキーはパスワードとともに、デフォルトで他のデバイスと同期(共有)されるように設定される。しかし、何らかの事情でパスワードの同期を手動で「オフ」にしていた場合、パスキーも同期されない。以下のように「オン」になっていることを再確認しておこう。
●iPhoneはGoogleパスワードマネージャーでのパスキー共有ができない
Windows OSやAndroidスマホ、LinuxのChrome、ChromeOSでは、既にGoogleパスワードマネージャーによるパスキーの同期(共有)に対応している。
一方、iPhone/iPad(iOS)版ChromeのGoogleパスワードマネージャーについては、まだパスキーの同期機能が実装されておらず、利用できない。つまり、Windows OSやAndroidでGoogleパスワードマネージャーに保存したパスキーを、iOSに同期して認証に使うことができない。
これは執筆時点で開発中とのことなので、実装されるまで待つか、ひとまずパスキー共有を別の手段で代替する必要がある。
■関連リンク
- Chrome でパスキーを管理する(Google Chromeヘルプ)
- パスキーを使用したMicrosoftアカウントのサインイン(Microsoftサポート)
- パスワードの代わりにパスキーでGoogleアカウントにログインする(Google Chromeヘルプ)
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