PLCでケーブルだらけのLANにさようなら:5分でネットがわかるシリーズ(8)(4/5 ページ)
昨年末、待望の実用化がスタートした電気線インターネット。コンセントを用いて、屋内にLANが構築できる仕組みをみてみよう。
4. PLCが抱える問題点
何かと話題のPLCですが、問題点もいろいろ指摘されています。ここではPLCが抱える問題点を挙げて、具体的に見ていきましょう。
●問題点1 アマチュア無線家が危惧(きぐ)する漏えい電波
PLCの問題点と聞いて、最初に頭に浮かぶのは、アマチュア無線家たちのPLCに対する非常に強い危機感と反対運動でしょう。2006年12月7日にはアマチュア無線家などが高速PLCの事業認可取り消しを求め、PLC行政訴訟のサイトで訴状を公開しています。参照先では、訴状や原告側のニュース映像が閲覧できます。
アマチュア無線家たちは何を問題にしているのでしょうか? 簡単にまとめてみると……、
PLCが利用する帯域(2〜30MHz)とアマチュア無線家が利用しているHF帯(1.9〜28MHz)がかぶり、短波通信に支障が出る可能性がある
この問題はアマチュア無線家だけでなく、短波帯を利用する航空無線、防災無線、短波ラジオ、電波天文学など、幅広く影響が出る可能性があります。現在はまだまだPLCを導入している家庭や企業は少ないためもあり、本格的な被害は報告されていません。
本当にPLCの漏えい電波によって短波帯域に影響を与えるのでしょうか? PLC推進グループは、「漏えいする電波は問題を起こすほど強力ではない、問題となる周波数の漏えい電波を出さないように処理している」と主張し、反対派は「電力線にシールド処理(電波が漏れない処理)がされていないので、漏えい電波がたくさん流れて問題が起こる」と主張しています。
確実にいえることは、すべての周波数ユーザーが納得していない状態で、総務省が2MHzから30MHzの帯域使用を許可したために、問題がどんどん大きくなっていることは間違いがないようです。
●問題その2 PLC自体の問題点も!!
漏えい電波の帯域問題は、PLCと社会的な仕組みの対立でしたが、PLC自身にもいくつかの問題点があります。
- 1階と2階では使えない!?
現在発売されているPLCモデムは同一分電盤上でしか利用ができません。分電盤とは各部屋に電気を分ける装置です。漏えい遮断器やアンペアブレーカーがくっついている装置といった方が分かりやすいかもしれませんね。
1つの家庭に1つの分電盤を利用していれば問題はないのですが、1つの家庭で2つ以上の分電盤を利用しているとPLCは利用できない可能性があります。
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