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なぜiPhoneは日本で使えないの?5分でネットがわかるシリーズ(9)(4/5 ページ)

日本では使えないというAppleの携帯電話「iPhone」。日本と各国の携帯電話の通信規格とそのなぞについて解明してみましょう

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次世代携帯電話 3Gの秘密とは?

 現在日本の携帯電話の規格は第2世代から第3世代(3G=3rd Generation)へ移行している真っ最中です。ここでは第3世代の通信規格について見ていきましょう。

 1〜2世代の通信規格はメーカーや各国・地域の規格団体が、それぞれ決めていました。しかし、携帯電話を使い始めたころと違い、ユーザー数も増え使われる地域も増えたため、通信規格は世界規模で策定する必要が出てきました。そこで、通信関連の規格を調整・決定をしている、国際連合の専門機関の1つである「国際電気通信連合」(ITU=International Telecommunication Union)が第3世代携帯電話の通信規格を決定しました。この規格は「IMT-2000」(International Mobile Telecommunication 2000:参照:@IT System Insider用語解説のIMT-2000)と呼ばれています。

 規格統一を目指した「IMT-2000」ですが、規格の策定時に日本とヨーロッパからは「W-CDMA方式(参照:@IT System Insider用語解説のW-CDMA)」、アメリカからは「cdma2000方式(参照:@IT System Insider用語解説のcdma2000)」が提案され、対立をしてしまいます。さらにほかの規格も出てきて乱立し、1つの規格とするどころか、W-CDMA、cdma2000を含む5つの規格を認めてしまいます。

 W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式は、NTTドコモ、Ericsson、Nokiaなどが開発した通信規格です。そのため「日欧式」と呼ばれることもあります。1つの周波数を複数の利用者が効率よく利用でき、歩行時384 kbit(s)/s、高速移動時144kbps、静止時2Mbpsのデータ伝送能力があります。日本ではNTTドコモが「FOMA(参照:@IT System Insider用語解説のFOMA)」として、ソフトバンクモバイル「SoftBank 3G」(ボーダフォン時代は「Vodafone 3G」)としてサービスを提供しています。

 cdma2000方式は、アメリカのQUALCOMM社が開発した規格です。歩行時384kbps、高速移動時144kbps、静止時2Mbpsのデータ伝送能力があり、動画と音声はリアルタイムで配信ができます。2.5世代の「cdmaOne」で使われた設備や機器を利用することができ、コスト的に安く上げることができるのが特徴です。日本ではauが「CDMA 1X」という名称でcdmaOneを利用したサービスを提供しています。

CDMAって何?

 第3世代携帯電話の規格、W-CDMA、cdma2000も「CDMA」(Code Division Multiple Access:符号分割多重接続:(参照:@IT Insider's Computer Dictionary のCDMA)という通信規格を利用しています。CDMAにはDS方式とFH方式と2つの種類がありますが、ここでは携帯電話に利用しているDS方式(DS-CDMA)について解説をします。

 CDMAの特徴はデジタルの信号にPN系列という符号を付ける点です。分割されたデータにオリジナルの符号を付け、受信時にその符号を基にデータを取り出すのです。利点としては1つの帯域により、多くのデータを乗せることができます(アナログ方式の8〜10倍、TDMAの4〜5倍のデータを多く載せることができるといわれている)。またノイズに強く、データの隠匿性が高い(盗聴されにくい)といった点も挙げられます。

図3 CDMAの仕組み
図3 CDMAの仕組み

iPhoneが対応している「EDGE方式」って何?

 日本では第3世代への移行を推進していますが、欧米などはなかなか慎重なようです。なぜなら、携帯電話の基地局を第3世代に変更するのには莫大な資金が掛かるためです。さらに、GPRS方式、EDGE方式とGSM形式を発展させた通信規格を生み出し、なるべく設備投資にお金を掛けない方向で動いています。

 特に「EDGE方式」はiPhoneが対応している規格の一種なので、最近注目を集めました。このEDGEは384kbpsのデータ転送が可能で「Enhanced Data rates for GSM」(=GSM拡張データレート)という名のとおり、GSM規格を拡張したものです。GSMの基地局をベースに拡張できるので、コストを低く抑えることができ、そこそこ通信速度を上げることができるのが魅力です。

方式名 利用国
cdmaOne方式 日本、アメリカ、韓国、カナダ
W-CDMA 方式
(DS-CDMA)
日本、ヨーロッパ、韓国
cdma2000方式(MS-CDMA) 日本、アメリカ、韓国、香港
表3:第2.5世代携帯電話(2.5G)+第3世代携帯電話の代表的な規格形式

 駆け足で携帯電話の規格について紹介しました。たくさんの規格が出てきて、クラクラしてきますね。では、今後の規格はどうなるか? ちょっと考えてみましょう。

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