3分 - サーバを“即座に調達”することも可能になる
サーバ仮想化ソフトウェアは、サーバのCPU、メモリ、ネットワークといったコンピューティング資源を複数の仮想サーバに分割し、割り当てる役割を果たす「資源管理ソフトウェア」だと表現することもできます。それぞれの仮想サーバを構成するOSやアプリケーションは、1台の物理サーバを複数の仮想サーバで分け合っているという意識がまったくありません。これまでと同じように物理サーバを独占して使っていると思い込んでいます。ここにサーバ仮想化ソフトウェアの意味があります。それぞれのOSやアプリケーションを「だまして」、専用の物理サーバを使っていると思い込ませながら、実際にはそれぞれの物理サーバを複数の仮想サーバに共用させることができるのです。
サーバの仮想化は、本稼働システムだけでなく、業務システムのプログラム開発作業でも役立ちます。開発作業にもコンピュータが必要ですが、仮想化をうまく生かすことで、ハードウェアの調達費用を大きく減らすことができます。また、ここでは説明の優先度の問題からあまり触れられないのが残念ですが、デスクトップPCのOSとアプリケーションを仮想マシンとしてサーバ機の上で動作させるという利用方法もあります。これをユーザーが何らかの端末からネットワーク経由で遠隔操作するような仕組みが構築できます。この場合、ユーザーが直接使う端末は非力なもので大丈夫ですし、最新のOSに対応する必要もありません。社員の入社や退社に応じたPC環境の準備や廃棄も、迅速かつ効率的に行うことができます。
新しい仮想サーバを作り出す作業は、数分から十数分で済みます。新しい業務アプリケーションを立ち上げたいと思ったときに、まずサーバ機の購入で稟議書を書き、承認を得てから調達して、納入・設定が終了するまでに、通常では1カ月かそれ以上のロスタイムが発生しているのと比較すると、大幅なスピードアップになります。これが、仮想化のもたらす第2の重要なメリットです。
実は、1台の物理コンピュータの資源を論理的に分割し、複数のコンピューティング環境を提供するという仮想化技術は、メインフレームコンピュータやUNIXシステムでは長く提供されてきました。これらは一般的に高価なコンピュータであるため、効率的な利用が求められ、その手法の1つとして仮想化技術が提供されてきたのです。
これに対し、最近注目されているのはPCサーバ(インテルやAMDの「x86」と総称されるCPUを搭載したサーバ)における仮想化です。PCサーバは、1台当たりの価格で見れば、比較的安価です。しかし、すでに述べたように台数が多くなりがちです。大企業では、社内に何台のPCサーバが存在するのかを正確に把握できないというところもあるほどです。増えすぎたサーバの台数を減らすという点で、PCサーバの仮想化は大きな意義があります。サーバの台数を減らすことは、サーバを設置するためのスペースやサーバが消費する電力、空調コストなどの削減にもつながります。
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5分で絶対に分かるサーバ仮想化
3分 - サーバを“即座に調達”することも可能になる
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