厚生労働省は7月22日、2008年版の労働経済白書を発表した。「働く人々の意識と仕事に対する満足感」について分析しており、1990年代以降の企業の就業制度や賃金制度が要因となって、労働者の満足感が長期的に低下しているとした。
「仕事の満足度の推移」についての調査結果では、1990年代には「雇用の安定」「仕事のやりがい」「休暇の取りやすさ」「収入の増加」のすべての項目で悪化。ただし、近年は景気の回復に伴って「雇用の安定」に対する満足感は改善している。「収入の増加」や「仕事のやりがい」に対する満足感の改善は、「雇用の安定」に比べると小さく、「休暇の取りやすさ」に対する満足感は悪化している。
白書では、1990年代以降の就業制度や賃金制度に言及。正規以外の従業員が増加しているが、そのなかで正規の従業員として就職したいと思っている者も多く、満足感が低くなっていると分析している。
また、「1990年代には企業の経営環境が厳しかったことから、企業の対応は人件費抑制的な視点に傾きがち」であったと白書は指摘しており、新卒者の計画採用や適切な配置、育成に向けた努力を怠っていたと主張。働く人の意欲の発揮に向けて、正規雇用に向けた支援の充実と、就業形態間の均衡処遇の推進が求められるとした。
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