ZFSはどう活用できるか:Solaris ZFS集中講座(3)(2/3 ページ)
Solaris ZFSは新世代のファイルシステムだ。アプリケーションのOSとしてOpenSolarisを使わない人でもNASあるいはiSCSIストレージを簡単に構築できる。本連載では、Solaris ZFSの基本的なコンセプトやアーキテクチャから、その機能や実用・応用例を解説する
2. ZFSを使用したデータサービス
ZFSは、実質上容量が無制限のファイルシステムであるというだけでなく、管理、運用コストを削減するスナップショット、クローン、レプリケーションなどの機能が充実しています。
従って、ZFSは、ローカルで使うファイルシステムよりむしろ、規模の大きい統合ストレージサービス(NFS、CIFS、iSCSI、HTTP、WebDav、FTPなど)のファイルシステムとして実力を発揮します。将来は、いま話題のクラウド技術におけるストレージサービスのコンポーネントとして期待されています。
共有ストレージとしてZFSを利用する場合、ZFSには3つの便利なプロパティが用意されています。
プロパティ名 | 共有サービス | |
---|---|---|
sharenfs | NFSサービス | |
shareiscsi | iSCSIサービス | |
sharesmb | CIFSサービス | |
表 共有ストレージプロパティ |
Solaris 10 OSには、デフォルトでNFSサーバとiSCSIターゲットのパッケージがインストールされていますので、ZFSをベースにNFSやiSCSIのサービスを提供する場合は、それぞれのファイル共有サービスに対するプロパティをonにするだけで、SMF(Service Management Facility)と連携してサービスを提供することが可能です。
特にNFSサービスの場合は、プロパティと連動してSMFのNFSに関連したサービスインスタンスが自動起動し、さらに従来 UFSで設定していた/etc/dfs/dfstabの設定も必要なくサービスを提供できます。
NFSサービスを開始するコマンド例
# zfs set sharenfs=on tank/nfs-share
iSCSIのサービスを提供する場合は、ファイルシステム作成時に -VオプションでZFSのemulated volumeによるブロック型デバイス(/dev/zvol ディレクトリ)を作成してから、iSCSIのプロパティをonにしてサービスを提供します。
iSCSIのVolume用に100GBytesを作成してサービスを開始するコマンド例
# zfs create -V 100g tank/iscsi-vol
# zfs set shareiscsi=on tank/iscsi-vol
ZFSのファイル共有サービスの一例として、仮想化サーバソフトウェアの仮想OSイメージを ZFS上に保存する場合、スナップショットによる仮想OSのバックアップ、クローンによる複製も簡単に作成することが可能になります。ZFSの仕様では、2の64乗個まで複製を含めたファイルシステムを作成できますので、複製に関する制限を気にする必要もありません。
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