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シスコはなぜFlip Videoを手に入れたのかビデオがITの将来を左右する

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 6月初めにシスコシステムズが米国で開催した「Cisco Partner Summit 2009」では、同社会長兼CEOのジョン・チェンバース(John Chambers)氏、CTOのパドマスリ・ワリアー(Padmasree Warrior)氏が、ビデオカメラ「Flip Video」を開発・販売する米Pure Digital Technologies買収の背景を説明した。

 「これはコンシューマ関連の買収かといえば、もちろんそうだ。ではエンタープライズ関連の買収か? そうだ。サービスプロバイダ関連の買収か? そうだ。ではこれはスタンドアロンの製品か? 決してそうではない」とチェンバース氏は話した。


Flip UltraHD。側面からポップアップするUSBポートでPCと接続できる

 Flip Videoはすでに200万台以上販売されたという人気のビデオカメラ。だれでもすぐに使えることがコンセプトだ。「UltraHD」という機種の動画解像度は1280×720pのみ。ズームはあるがデジタル2倍どまりだ。設定は日時のほか、操作音と撮影インジケータLEDのオン/オフ選択のみといういさぎよさ。USBポートでPCに接続し、専用アプリケーションのFlipShareでYouTubeやMySpaceに簡単にアップロードできる。PC接続時にバッテリの充電もできるが、乾電池も使える。200ドル以下というFlip Videoの価格の低さは、ソニーなどの既存コンシューマ・エレクトロニクス企業が米国でエントリ型ビデオカメラの強化を図るきっかけになった。

 チェンバース氏は、Linksys、Scientific Atlantaに続くPure Digitalの買収で、同社のいう「コネクテッドライフ」(つながる生活)でナンバーワンの企業になることを目指すという。Flip Videoは単体で売るだけでなく、ケーブルTVのセットトップボックスと組み合わせるなどにより、離れて暮らす家族などが、PCを使わずに気軽にビデオレターを交換するような環境を実現することも考えられる。こうなるとサービスプロバイダを対象としたビジネスとしても成立する可能性がある。

 Pure Digitalはシスコのコンシューマビジネス事業部門に統合され、Flip Videoはシスコのコンシューマ事業を支える製品ラインの1つになる。しかしチェンバース氏は、コンシューマ、エンタープライズといった分け方が、今後は意味を失ってくるだろうと話した。

 「われわれは以前、コンシューマ製品はエンタープライズ製品は別物だと考えていた。だが、コンシューマ製品とエンタープライズ製品の境界線は、将来完全にぼやけることになるだろう。皆さんの家庭での生活や移動中の環境は、どんな働き方をしているかと非常に密接につながっていくはずだ」


シスコCTOのパドマスリ・ワリアー氏

 ワリアー氏はこれを、ビデオが生活シーンと職場の双方を、今後大きく変えていくといういいかたで説明する。

 「ビデオはエンタープライズ分野、コネクテッドライフの双方で、まさにゲームチェンジを実現する。ビデオは視聴やコミュニケーションの道具としてだけでなく、コミュニティのなかで共有するために利用されていく。インタラクティブ・エンターテイメント、ビデオチャットなどでの使い方が、今後数年で大きく進化する。例えば(シスコ社内の)ビデオブログがある。ジョン(・チェンバース会長兼CEO)はFlip Videoを使ってメッセージを伝えている。ブログを書くより、ビデオで見せるほうが彼にとっては楽だからだ。通常のブログと同じように、見た人はコメントをつけられる」

 ビジネスでもプライベートでも、ビデオがより多く使われるためには簡単にできるという要素が不可欠だとウォリアー氏はいう。

 「Flip Videoがとても魅力的な理由は、非常に使いやすいからだ。私の8才の姪も使える。手にとって録画し、USBでPCにつなげればいい。設定するのにエキスパートは必要ない。ビデオに関していえば、アプリケーションは非常に簡単でなければならない」

 シスコは、高精細テレビ会議システムのTelePresence、SaaSという形でPCユーザーによるビデオ会議を実現するWebExを提供している。これにユーザーが生成するビデオコンテンツをまとめる仕組みを加え、ビデオの利用方法を網羅することになる。


ビデオはコラボレーションにおけるキラーアプリケーションだという

 これは、シスコの3つ事業の柱の1つであるコラボレーションとも密接にかかわってくる。同社のいうコラボレーションはユニファイドコミュニケーション、WebEx、TelePresence、コンシューマ分野で見られるソーシャルネットワーキング的なサービスの機能をまとめ、プラットフォームとして提供することだ。この新たなコラボレーションの世界では、ビデオが意思を伝えるための最も重要なツールになるのだという。

 「ビデオがすべての将来につながる。データでも音声でもなく、ビデオがネットワークを流れるデータの90%を占めるようにになる。これが意味するのは、あらゆるITとコミュニケーションが将来はビデオに基づくようになるということだ。すなわち、ビデオのアーキテクチャにおける勝者が、あらゆるITを主導していくことになるだろう」(チェンバース氏)

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