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第1回 Windows 7の概要Windows 7新時代(3/4 ページ)

次期クライアントOS「Windows 7」の新コーナーがスタート。Vistaの後継となる新OSの実力やいかに。今回はWindows 7の概要について解説する。

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新しいユーザー・インターフェイス

 Windows Vistaで導入されたWindows Aeroユーザー・インターフェイスはさらに強化され、より使いやすくなっている。その主な機能強化項目を次に示しておく。詳細は次回以降で解説する。

項目 概要
強化されたタスク・バー タスク・バーのデザインと操作性が向上
ジャンプ・リスト 最近使ったファイルやよく使うコマンドなどをメニューやタスク・バー上のアイコンから呼び出せる
ウィンドウのスナップ ウィンドウのタイトル・バーをドラッグして画面上端に置くと最大化、左右端に置くと左右半分のサイズに配置され、ウィンドウの上(下)側の枠を画面の上下端に置くと、縦方向だけ最大化されるなど、リサイズや配置が容易になった
Aero プレビュー マウスをタスク・バーの右端に持っていくと、デスクトップ全体が透け、ガジェットなどが容易に見渡せる
Aero シェイク ウィンドウのタイトル・バーをドラッグして振ると、最大化する機能
新デザインのガジェット デスクトップ上の任意の位置に、任意のサイズで配置可能
マルチタッチ・ジェスチャ マルチタッチをサポートしたノートPCやモバイル・デバイスにおいて、指二本でウィンドウの拡大や縮小、スクロールなどの指示を行える機能
画面の拡大/縮小 [Windowsキー]+[+]/[−]キーによる、画面の拡大/縮小(ズーム・ツールの起動)
外部画面切り替え [Windowsキー]+[P]キーによる、プロジェクタ出力用第2画面のオン/オフ
手書き入力の強化 数式にも対応した手書き入力機能
ホーム・グループ 家庭内にあるPCやデバイスなどを統合する「ホーム・グループ」が導入された。同じホーム・グループに属するデバイスはシームレスにアクセスできる
Device Stage デバイスを統合管理するための機能。汎用のアイコンではなく、実際に接続されているデバイスそのものを反映したようなアイコンが表示され、分かりやすくなる
Windows Live メールやメッセンジャー、DVDムービー・メーカー、Writer(ブログ向けエディタ)などのアプリケーションは、Windows Live Essentialというオンライン・サービスを利用し、将来の機能拡張や柔軟性を確保
Internet Explorer 8 Webブラウザは、セキュリティや機能を強化したInternet Explorer 8を搭載
Windows 7のユーザー・インターフェイス面における主な改善/強化点

強化されたシステム機能

 システム関係の主な強化ポイントは次の通りである。Windows Vistaで導入/強化された点については触れていないので、必要なら関連記事やWindows Server 2008の記事を参照していただきたい。なおWindows 7はWindows Server 2008 R2と共通のコンポーネントを利用しているため、ここに挙げた機能はWindows Server 2008 R2でもそのまま利用できるものもあるし、Windows Server 2008 R2と組み合わせなければ利用できない機能もある。本連載では、主にWindows 7の側から見た場合の機能やその設定方法について解説する。サーバ側で必要な設定の方法については、Windows Server 2008 R2の連載で詳しく取り上げることにする。

項目 概要
UAC ユーザー・アカウント制御(UAC)機能の設定やポップアップ制御が柔軟になり、Windows VistaよりもUACの許可ダイアログを出す頻度が低下した。従来はUACの許可ダイアログが出ているとほかの操作が一切できなかったが、それを緩和し、ほかの操作も可能なように設定できる
アクション・センター ユーザーに対する通知アイコンなどを集約し、システム・トレイやタスク・バーの内容を整理して、多数のアイコンやメッセージ表示で混乱することがなくなった。必要最小限の項目のみが表示される
システムの復元 システムの復元において、どのプログラムが影響を受けるかなどが表示される。以前は復元ポイントとその名前が提示されるだけだったが、Windows 7では、プログラムの追加と削除やドライバのインストール履歴などと照合し、どのプログラムやドライバが復元されるか(削除されるか)などが提示される
システムの復元とバックアップの組み合わせ バックアップ・ツールでシステムを外部ストレージにバックアップした場合、バックアップ先に含まれる復元ポイントを利用することも可能。従来は現在ディスク上に保存されている復元ポイントしか利用できなかったが、バックアップ機能と組み合わせれば、より過去の復元ポイントに戻せるようになる
システム回復オプション システムを復旧する際に利用するシステム回復オプション機能が自動的にシステムにインストールされるので、起動時のブート・メニューからすぐに呼び出せる。Vistaの場合はインストールDVDを使ってシステムを起動する必要があった
リソース・モニタ タスク・マネージャから呼び出すリソース・モニタの機能が強化され、より詳細な情報が得られるようになった
Windows XP Mode 仮想化環境を使ってWindows XP SP3を実行させる機能。互換性の問題などから、Windows 7上で実行できない古いアプリケーションなどを動作させるために利用する。Windows 7でも過去のアプリケーションとの互換性は十分確保しているが、変更されたAPIの仕様などの影響により、どうしてもWindows 7上で実行できない場合に利用する
VHDネイティブ・サポート 物理ディスクだけでなく、VHDファイル(仮想PC環境で利用する仮想ディスク・ファイル)を直接マウントできる
VHDブート VHDファイル上にWindows 7(およびWindows Server 2008 R2)をインストールし、そこからシステムをブートできる。ディスク上にパーティションを切ったり、新しいディスクを用意したりすることなく、複数のWindows 7やWindows Server 2008 R2をインストールして利用できる。実験環境などにも向く
BitLocker ドライブ全体を暗号化してセキュリティを確保するための機能。Windows 7ではインストール時にサイズ100Mbytesのブート用パーティションが自動的に確保されるため、これを使って、Windows OSのシステム・パーティション全体を暗号化できる。従来はシステム・パーティションを暗号化するには特別なインストール手順が必要であった
BitLocker To Go USBメモリのようなリムーバブル・メモリのデータを暗号化して、安全に持ち運べるようにする機能。従来はUSBメモリのデータを暗号化できなかったので、USBメモリを紛失したり盗難にあったりすると情報が漏えいする可能性があった。BitLocker To GoではUSBメモリ全体を暗号化して、パスワードを入力しないとアクセスできないようにしている
Windows 7の主要な機能強化点

システム管理機能の強化

 Windows Vistaと比較して、強化/追加されたシステム管理機能としては、次のようなものがある。

項目 概要
問題ステップ記録ツール トラブル・シューティングやヘルプ・デスクなどのために、ユーザーの操作履歴や画面の表示状態などを記録する機能。ユーザーが操作したマウスやボタン、キー入力の履歴などが表示されたウィンドウと共に記録される。記録はWebブラウザなどで開いて確認できるので、トラブル・シューティングに役立つ
信頼性モニタ 信頼性モニタはWindowsの問題レポート機能(エラーなどが発生した場合に、解決策を報告/問い合わせる機能)と統合され、トラブル発生時に適切な解決方法の検索や提示ができるようになった。またWMIインターフェイスも装備され、さまざまなシステム管理ツールと連携できるようになった
AppLocker 特定のアプリケーションの実行を禁止する機能。例えばゲームや特定の(パス名を持つ)プログラムを禁止したり、指定したバージョンのプログラムの実行を禁止したりできる。これにより、許可されてないアプリケーションが実行されないようにしたり、特定のバージョン(以降)のプログラムだけが実行できるようにしたりできる
監査機能の拡張 以前は特定のオブジェクトへのアクセスを監査するにはスクリプトなどを利用する必要があった。Windows 7ではオブジェクトの監査機能強化され、グループ・ポリシーを使って、より細かい監査ができるようになっている。「Technet -- Advanced Security Audit Policy Settings[英語]」参照
PowerShell 2.0 PowerShellのバージョンが上がり、2.0となった。新しい構文やコマンドレット、リモート管理機能、開発環境(ISE:Integrated Scripting Environment)の追加などが行われた
RSATツール Windows Server 2008 R2を管理するためのRSAT(Remote Server Administration Tools)が追加された
システム管理機能の主要な強化点

ネットワーク/IT管理者向け機能の強化

 ネットワーク関連およびIT管理者向けの機能強化点としては次のようなものがある。

項目 概要
BranchCache 支店内でデータをキャッシュして、ネットワーク回線の総トラフィックを抑制する機能。例えば本社と支店がWAN回線で結ばれているとき、各クライアントが個別に本社のサーバにアクセスすると回線帯域が飽和する可能性がある。BranchCacheの機能を利用すると、最初の1台がアクセスする場合はWAN回線を経由するが、その結果はローカルPCにキャッシュされ、残りのクライアントはそのキャッシュされたデータへアクセスする。これにより、WAN回線のトラフィックが激減する
DirectAccess IPv6を使ってインターネット経由で安全にサーバへアクセスする機能。Windows Server 2008 R2で構築したDirectAccess用のサーバをインターネットに向けて設置しておくと、VPNを使わずに、Windows 7から安全にサーバへアクセスできるようになる。一般的には社内ではLAN、インターネットではVPNと使い分け、操作する必要があるが、DirectAccess環境では自動的に環境が判断され、Windows 7のユーザーは何も意識しなくても、安全に社内のサーバへアクセスできるようになる。従来のVPNを置き換えるソリューション
拡張されたグループ・ポリシー基本設定 ネットワーク・ドライブのマップやローカル・ユーザー・アカウントのパスワードやグループのメンバーシップ、タスクのスケジュールなど、通常ではグループ・ポリシーでは制御できないような項目へもアクセスできるようにした
VPN 再接続 VPN接続が切断されたとき、自動的に再接続する
複数のアクティブなファイアウォール・プロファイル ネットワークの接続状況に応じて、2つ以上のファイアウォールが同時にアクティブになる。例えば出先のインターネット上でVPNを利用している場合、インターネット向けはパブリック・プロファイル、VPN向けはドメイン・プロファイルがそれぞれアクティブになる。従来はどれか1つしかアクティブにならなかった
ネットワーク/IT管理者向け主要な強化点

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