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第1回 Windows 7の概要Windows 7新時代(4/4 ページ)

次期クライアントOS「Windows 7」の新コーナーがスタート。Vistaの後継となる新OSの実力やいかに。今回はWindows 7の概要について解説する。

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Column:機能を限定して価格を抑えたStarterエディション

 ここでWindows 7のStarterエディションについて触れておこう。

 Windows 7 Starterエディションは、低価格ネットブックなどで利用するために、機能を限定して価格を抑えたWindows 7のエディションである。基本的にはOEMのみで提供され、ネットブックPCベンダがあらかじめ出荷時にインストールした状態で販売されることになる。開発当初は、価格を安くする代わりに、同時に起動できるプログラムを3つまでに制限するという仕様が検討されたが、その後のユーザーやベンダなどからの要求により、この制限は撤廃された。だが上位のエディションと比べると、かなり機能が限定され、例えばAeroテーマが利用できないなどの制約が付けられている。具体的には次のような機能が利用「できない」という制限がある。

  • Aero Glass(Aeroテーマ)
    Aeroテーマとは、例えばウィンドウ枠の透明表示や、Flip 3Dのような3D形式のウィンドウ選択機能、タスクバー・サムネイル(実行中のアプリケーション・ウィンドウの縮小表示)、Aeroプレビュー(デスクトップ上の全ウィンドウを透明表示させ、デスクトップやガジェット、ウィンドウなどを見つけやすくする機能)など、最もWindows 7らしいユーザー・インターフェイス機能である。これを実現するためには3D描画をサポートしたグラフィックス機能が必要だが、安価なネットブックにはこのような高機能な(つまり高価な)チップは搭載されていないことも多いので、Aeroテーマが利用できなくても特に問題にはならないだろう。Starterエディションでは、上位エディションでいうところの「Windowsベーシック」に相当するテーマのみが利用できる。
     
  • 背景や色などのカスタマイズ機能
    背景(デスクトップ)の色などをカスタマイズすることはできない。
     
  • 64bitサポート
    Starterエディションは32bit版(x86版)しか提供されていない。
     
  • ユーザー切り替え
    ログオフせずにユーザーを切り替える機能はサポートされない。別のユーザー・アカウントで使用したい場合は、いったんログオフしてから、ほかのユーザー名でログオンする。なお、リモート・デスクトップも利用できないので、外部から接続して操作することはできない(リモート・アシスタンスは利用可能)。
     
  • DVD再生
    DVDの再生機能は提供されない。
     
  • Windows Media Center
    Windows Media Centerは提供されていないので、Windows Media Centerを使って録画済みの映像を見ることはできない(Windows Media Playerは利用可能)。
     
  • リモート・メディア・ストリーミング・サービス
    ほかのコンピュータに対して、マルチメディア・データなどを(Windows Media Playerの)リモート・メディア・ストリーミング・サービスで提供することはできない。
     
  • ドメイン参加機能
    Active Directoryドメインに参加することはできない。
     
  • Windows XP Mode
    Windows XP Professionalを仮想環境下で実行させるWindows XP Modeは利用できない。

 これ以外の仕様、例えば最大利用可能メモリ・サイズやディスク・サイズ、CPUのタイプ、コア数、画面解像度などに制限があるかどうかは、公式な情報として公開されていないので不明である(ちなみに手許のHyper-V仮想環境にインストールして実験したところ、メモリは最大2Gbytesまでしか認識しなかった)。

 以下は、Windows 7 Starterエディションのデスクトップ画面である。メニュー項目なども少なくなっていることが分かるだろう。


Windows 7 Starterエディションの画面
上位エディションのWindows 7と比較すると、メニュー項目も少ない。
  (1)◇デスクトップの背景は常にこの画像になる。壁紙の変更もできない。
  (2)Starterエディションの初期メニュー。上位エディションと比べると、Windows DVDメーカーやWindows Media Centerなどがない。[Windows Anytime Upgrade]はStarterエディションから上位のエディションに変更するための商品情報サイトの呼び出しメニュー。

 デスクトップ上で右クリックして表示されるメニューには、上位エディションにある[個人設定]という項目が存在しない。ユーザーが設定可能なデザイン関連の項目としては、画面解像度の変更とアイコンなどの色の変更程度しかない。


Starterエディションにおけるデザインの変更機能
配色の変更しかできない。壁紙を貼ることもできないので、少々デスクトップが殺風景である。なお残念ながら、Internet Explorerで画像を選択して右クリックし、[背景に設定]メニューを実行しても、壁紙を貼ることはできない。
  (1)画面関係で設定できる項目はこれだけ。
  (2)デフォルトは「Windows 7 ベーシック」。Windows Aeroは選べない。

 ユーザーはデスクトップの背景を変更することすらできない(写真や画像ファイルを背景に指定できない)。

 このように、デザインの変更などは厳しく制限されているが、それ以外の機能は上位のエディションと変わらない。アプリケーションなどもインストールして利用できる。


 今回はWindows 7の概要とエディション構成、システム要件について簡単に見てきた。次回からはWindows 7の各機能について、より深く掘り下げて見ていく。第2回はWindows 7のユーザー・インターフェイスに焦点を当てる。


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