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「エンジニアとしてのこだわり」と「仕事の評価」の関係仕事を楽しめ! エンジニアの不死身力(3)(1/2 ページ)

あなたはエンジニアの仕事を楽しんでいますか? この連載では、仕事を「つらいもの」から「楽しいもの」に変えるためのヒントを考えていきます。

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 最近、お付き合いが始まった工務店の社長から、Webサイトの相談を受けました。

 「以前、ある方にWebサイトを作ってもらいました。わたしたちが施工した家の画像が動き、見た目はきれいで格好いいんです。でも、きれいなだけで、望んでいたイメージと合わないんですよね。自分で作っていたころは、訪問していただいた方からの問い合わせが数件あったんですが、新しくしてから問い合わせがゼロになってしまいました。せっかく高いお金を出して作ってもらったのに……残念です」

 せっかく新しいWebサイトを作ってもらったのに、社長がイメージしていたものとはずいぶんと異なっていたようです。

 Webサイトに限らず、皆さんがこだわりを持って作ったシステムが顧客から評価され、「また、○○さんにお願いしたい」という言葉を聞くことができたら、うれしいですよね。きっと仕事のやる気にもつながっていくのではないかと思います。

 評価や信頼……これは、楽しんで仕事をするうえで、とても大切なポイントです。

 ですが、こだわりが評価を下げる原因になっているとしたらどうでしょうか。こだわっていることで評価を落としてしまったとしたら、仕事のやる気にも影響を及ぼしそうです。

 今回は、顧客から評価されるエンジニアになるための「こだわり」と「評価」について考えたいと思います。

なぜ、顧客から評価を得ることができなかったのか

 先ほどの工務店の社長の事例を、もう少し具体的にお話ししましょう。

 社長は以前、Webサイト作成ソフトを使って、自分でWebサイトを作っていました。けれども、更新が大変という不満を持っていて、「更新が簡単なブログ型にしたい」と考えていたそうです。そこで、知り合いからWebサイトを制作している人を紹介してもらったのだそうです。

 これを機会に、温かみのあるWebサイトにしたかった、と社長はいいます。そして、いままで以上に売り上げにつながる仕組みを作りたかったそうです。けれども、出来上がったのは、ただ美しいだけの、訪れた人から何の反応も得られないWebサイトだったのです。

 制作をお願いした人は、「わたしに任せてください」といい、ヒアリングをあまりしなかったそうです。社長が見せてくれたその人の名刺には、「デザイナー」という肩書きが書かれていました。画像編集に関する本を出版されているほどの人だったそうです。

致命的なミス

 ここまでの話で、あなたはどのように思われたでしょうか。顧客からの評価を得るためには何が必要だったのでしょうか。

  • そのデザイナーは、もっとヒアリングしていれば、このような評価にはならなかったはずだ
  • 社長は、もっと詳細に仕様を提示する必要があったのではないか

 このような意見が多いのではないかと思います。確かに、もっとヒアリングしていれば良かったのでしょうし、社長も、もっと詳細に仕様を提示する必要があったのかもしれません。

 これらはとても大切なことです。しかし、筆者が社長から話を聞きながら感じたのは、「Webサイトを作る方が、自分のこだわりで作ってしまったのではないか」ということでした。「わたしに任せてください」という言葉が、それをよく表しています。

 社長がWebサイトに求めていたのは「温かさ」と「売り上げにつながること」でした。けれども、デザイナーがこだわったのは「美しさ」だったのでしょう。デザイナーであれば、デザインや美しさにこだわるのは当然のことですが、顧客が本当に望んでいるものを提供できないのなら、意味がありません。これは、致命的なミスといっていいでしょう。

 顧客が望んでいるものと、制作者のこだわり。このギャップが、評価につながらなかったのでしょう。才能がある人こそ、陥りやすいミスかもしれません。

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