文章ベタが生む「開発現場のすれ違い」を撲滅する:文章コミュニケーション・リファクタリング!(1)(1/2 ページ)
「文章下手」が原因で、コミュニケーション不全に陥ったことはないだろうか? 言葉足らずで相手の誤解を招いたり、指示がまったく伝わっていなかったり……開発現場を改善するための「文章コミュニケーション」方法を紹介。
こんな話を聞いたことはないでしょうか。
「開発チームのミスが原因で、顧客に余計な作業を依頼することになりました。作業依頼を送ったところ、『言い訳ばかりの会社など信頼できない。プロジェクトから外せ』と顧客の経営陣が激怒。文書を読み返してみたら、中身はほとんどミスの言い訳で、依頼事項は最後に数行あっただけでした。営業の責任者が出向いて頭を下げ、ようやく収まったんです」
「作業の指示を、開発グループのメンバー全員にメールだけで伝えました。誰からも質問が来なかったので理解されたものと安心していたところ、コードがバグだらけに。複雑な内容をあいまいな文章だけで伝えたため、メンバーの受け止め方がそれぞれ異なってしまったのです」
どちらも、文章が原因で生じた問題です。このようなことは、誰でも一度や二度は経験があるのではないでしょうか。そのたびに、「文章って難しい」と痛感することでしょう。
文章が原因で、問題が起きることはままある
エンジニアにとって、文章はコミュニケーションの重要な手段です。社外内を問わず、エンジニアはさまざまな場面で文章によるコミュニケーションを行います。
『SEのための誰にでも伝わる文章術』では、提案書や要件定義書、テスト仕様書やユーザーマニュアルなど、“成果物”として作成する文書をテーマに取り上げました。ですが、エンジニアが書かなければならない文章は、対顧客の文書以外にもたくさんあります。
開発現場においても、文章でコミュニケーションする機会はたくさん存在します。
- メール
- 報告書
- 社内向けの提案、依頼やおわびなどのビジネス文書
特に、メールは最もよく使うツールではないでしょうか。静かなオフィスでカタカタとプログラミングしながら、チームメンバーとメールでやりとりする――ほんの簡単なやりとりでも、口頭ではなくメールで行う現場は多いかと思います。
問題が起きるならリファクタリングしましょう
事務的な文章・文書は、顧客に提出する文書よりは分量が少なく内容も単純で、一見すると簡単そうに思えます。しかし、そこに“わな”があります。エンジニアが仕事をする現場では、文章・文書によるコミュニケーション不全がなんと多く生じることでしょうか!
本連載では、仕事で使う文章・文書が原因で生じる「現場のコミュニケーション不全」を改善するポイントを紹介します。
文章によるコミュニケーション不全が生じるのは、それなりの原因があります。まずは、なぜ文章によるディスコミュニケーションが生じるのか、その原因を押さえておきましょう。原因が分かれば対応方法が明らかになります。コミュニケーションをリファクタリングするのです。
実はこんなにたくさんある、現場で書く文章
エンジニアが記述する“事務的な”文章・文書には次のようなものがあります。
●顧客向けの代表的な文章・文書
- 技術や方式や使用する製品の検討・比較の報告
- トラブル、異常、事故の報告
- 問題の発生や顧客に与えた損害に対するおわび
- 仕様の検討や確認、顧客側での情報収集やとりまとめの依頼
- さまざまな連絡、通知
- 提案などのプレゼンテーションの原稿(スピーチのための準備原稿)や配布資料
- システム開発に関連するさまざまな事項(技術的な事項、スケジュール、開発の進め方など)についての随時のやりとりや情報交換のメール
- 会議・打ち合わせの議事録
●社内向けの代表的な文章・文書
- 上司や上層部に提示する文書
- 業務や制度の改善提案
- 新しい技術や方式の導入や開発についての提案
- 顧客に納入したシステムの問題や事故、損害などの結果報告
- 作業の進ちょく報告
- 他部門・部署に対する依頼、お願い
- 部下に対する指示、命令
- さまざまな連絡、通知
- プロジェクト内部で、技術的な事項や開発の進め方、スケジュールなどに関連して日常的に、随時にやりとりするメール
- 会議・打ち合わせの議事録
顧客・社内を問わず、かつては電話や立ち話で済ませた程度の簡単なやりとりや情報交換も、メールで行うことが増えています。
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