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転職エージェントの仕組みと、期待できる3つの役割きのこる先生のエンジニア転職指南(4)(1/2 ページ)

元プログラマ、現Web系企業の人事担当者による、エンジニア転職指南。「応募書類の書き方」や「自己PRの仕方」について、エンジニアの視点を持ちながらアドバイス。エンジニアの幸せな転職のために、菌類が奮闘する。

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 秋、オータム、それはきのこの季節です。

 旬のきのこは、煮ても焼いても炒めてもおいしいのですが、カレーに入れるとすばらしい具になることをご存じでしょうか。

 マイタケ・エリンギ・ブナシメジなど、ぬめりの少ない種類を選んで入れてみてください。新たなおいしさを発見できます。また、ひき肉のカレーにはエノキダケを粗く刻んで入れるのもおすすめです。

志望動機について一言いっておこう

 さて、今回のテーマは「転職サービスとエージェントの上手な使い方」。その前にちょっとだけ、前回「Web企業に転職したいなら勉強会に行け&コードさらせ」の補足を。

 前回は主要テーマ「自己PR」でアツくなってしまい、職務経歴書に書くべきもう1つの項目、「志望動機」について書くスペースが足りなくなってしまいました。「志望動機」は大事ですが、それほど難しいものではありません。ポイントはたった2つだけ。しかも、どちらもとても簡単です。

●下調べしよう

 最低限、応募先企業のコーポレートサイトをチェックし、主要な事業概要ぐらいは知っておきましょう(もちろん、面接が決まってから慌てて調べるパターンもありますが)。書類を見る側としては、応募書類に自社についての言及があるのはうれしいものです。

●コピペするな

 「技術を伸ばしたい」とか「自社サービスに関わりたい」とか、どんな企業にもそれなりに当てはまるような志望動機は、読んでいて悲しい気持ちになります。

 転職サービスを使うと複数の企業に応募することになるため、1社ごとに違う理由を書くのは結構、大変です。しかし、数行の志望動機を書くことにすら苦労するような企業に転職するのは、果たして幸せなことでしょうか?

●簡単だけど深い「志望動機」

 はい、簡単でしたね。実際のところは「エージェントに紹介されたから応募しました」という場合でも、最低限の下調べを行い、魅力に感じたポイントを伝えましょう、というだけのお話でした。

 志望動機を考えることは、自分を見つめ直すきっかけになり得ます。ちょっと大げさな気もしますが、応募先の企業で自分がどう成長し、どう貢献し、どんなことを実現していきたいかを考えられれば、転職活動にも身が入るというものです。

転職サービスとエージェントの使い方

 さて、「コピペ志望動機」はNGということはつまり、「応募先企業ごとに個別の書類を作る必要がある」ということです。エンジニアにとってはかなり手間ですが、実はこれがエージェント側から見ても「面倒くさい」候補者なのです。

 「エージェント」が「面倒くさい」だって? そんなことあるの? ……残念ながら、絶対にないとは言い切れないのが実情です。

 前回までにもちょこちょこ出てきた「転職サービス」「エージェント」。ここからは、彼らと上手に付き合い、転職に必要なサポートを受ける方法についてお話しします。

転職サービスの仕組みをおさらい

 第2回「ラブレターは読まれてなんぼ! 読ませる職務経歴書」で、転職サービスの仕組みについて説明しました。詳細はバックナンバーを見てもらうとして、転職サービスについて、簡単におさらいしておきましょう。

※ 用語:以下、転職しようと考えている人を「エンジニア」、エンジニアを中途採用しようとしている会社を「企業」、企業とエンジニアのマッチングを行うサービスを「転職サービス」、エンジニアが転職サービスに登録するとつく担当者のことを「エージェント」と呼びます。

●転職サービスがやること

  • 企業から求人を募る転職希望のエンジニアを集める
  • エンジニアの条件にあった求人を提示する
  • 応募の意思が固まったエンジニアを企業に推薦する
  • 企業とエンジニアの連絡を仲介する
  • 企業がエンジニアを採用したら、企業から報酬を受け取る

 転職サービスのビジネスモデルは基本的に「成功報酬」型です。言い換えれば「企業にエンジニアを採用してもらってなんぼ」。そういう意味では、転職サービスのエージェントと転職希望エンジニアの利害関係は、一致しているわけです。

 ちなみに、転職サービスが受け取る報酬は「エンジニアの年収○%」という計算で決まることが多いです。通常30%程度なので、年収500万円のエンジニアを採用するためには、企業は150万円のコストが掛かることになります。

エンジニアがエージェントに期待できる役割

 先ほど「エージェントとエンジニアの利害関係は一致している」と書きました。ということは、エンジニアにとってエージェントは「味方」であり、エージェントにとってエンジニアは「顧客」なのです。お互いの利益のために、エージェントにも最大限の援護をしてもらいましょう。

 エンジニアがエージェントに期待できる役割としては、以下のようなものがあります。

  • ナビゲータ
  • レコメンダ
  • レビュアー

●業界動向のナビゲータ

 エージェントは、常日ごろからたくさんの求人情報に接しています。それだけでも、業界の動向には自然と詳しくなります。採用意欲が旺盛(おうせい)なら勢いがある業界でしょうし、募集が多い職種は「市場ニーズが高い」と言えます。

 エージェントが持っている求人トレンドの情報は、転職を有利に進めるためのスキルアップに活用できます。「スマートフォン向けWebサイト開発案件が増え、HTML5とJavaScriptができるエンジニアの採用が活発だ」というなら、大急ぎでJavaScriptの基礎を身に付け、デモの1つや2つを実装しておくべきです。

 たとえJavaScriptの経験が十分ではなかったとしても、「デモを作ってきました」というアピールは大きな武器になります。ここらへんは、前回こってりたっぷりとお話しした内容なので、覚えていてくれるとうれしいですね。

●良い企業のレコメンダ

 中小企業庁「中小企業・小規模企業者数調査」(2009年度)によれば「日本の会社の99.2%は中小企業」だそうです。

 企業規模と知名度は必ずしも一致しませんが、「転職先候補」としてぱっと名前が思いつく企業はごくわずかであることが想像できます。知名度がないけれどエンジニアを採用したい企業は当然、なんらかのプロモーションをしなければ候補者を集めることすらできません。転職サービスはそういった企業に営業をかけ、求人を集めてきます。

 つまり、知名度が低い企業の求人情報を得るためには、転職サービスの力を借りることが手っ取り早いのです。あなたが存在すら知らなかった企業が出している、あなたにピッタリの求人情報を知っているのは、目の前のエージェントかもしれません。

 また、転職サービスは次の転職仲介を円滑に行うため、転職者の「転職後」についてアンケートを取ってアフターケアを行っていることがあります。当初の条件通りで就業できているか、待遇や居心地はどうか、などの情報を収集しているため、これらの情報が応募先企業の選定に重要な指針となるのは間違いないでしょう。

●応募書類のレビュアー

 そしてもう1つ。地味ながらも大事な役割が、応募書類の添削です。

 前回までさんざん「応募書類」についてお話ししてきましたから、もうあなたは完ぺきな書類を用意することができるはずです。

 ……なるほど、それでも自信がない? そういうときこそ、エージェントに書き方の指導を受けましょう。彼らは皆さんや私のような「ソフトウェア開発のプロ」ではありませんから、技術的な記述についての手助けはほとんど期待できません。しかし、転職活動のプロセスにおいてはプロフェッショナルなので、「書類のクオリティ」については適切な助言が得られるはずです。

 「てにをは」に代表される日本語の使い方や誤字脱字、表現が分かりやすいかどうか、単語の表記が揺れていないかなどをレビューしてもらい、少しでも応募書類のクオリティを上げる手助けをしてもらいましょう。

 もしあなたの転職理由がネガティブなものであったとしても、エージェントはそれをポジティブに言い換えるノウハウを持っています。うそにならない範囲で、ポジティブな方向に修正してもらうと良いでしょう。ポジティブな転職理由を見れば、あなたの気持ちもポジティブになるかもしれません。

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