「スプリントと“かんばん”でチームのビートを刻め!!」〜スクラム開発で使う手法とツール:かんばん!〜もし女子高生がRedmineでスクラム開発をしたら(2)(2/3 ページ)
本連載は、ちょっととぼけた女子高生の姉妹が今注目のアジャイル開発手法であるスクラムとプロジェクト管理ソフトの「Redmine」を使って、システム開発をするというフィクションです。
詳細なストーリー、「スプリントバックログ」の作成
さて、スプリントで作業するストーリー(プロダクトバックログ)の選択が終わったら、それを「スプリントバックログ」っていう、もうちょっと細かい作業単位に分割するの。「タスク」ともいわれるわね。
例えば、「投稿者は、相談や悩みを投稿できる」ってストーリーの場合は、以下の3つの作業に分解できるの。
- 仕様を決める
- 実装する
- テストする
ここまで細かい作業に落とし込めば、大体どのくらいの時間で作業を完了できるか予想できるようになるよね。そこで、何時間でできるか時間を書き込む。これで、スプリントバックログ項目の作成は完了。同じように他のプロダクトバックログについてもスプリントバックログ項目を作成していくよ。
こうやって、スプリントバックログにタスクの細分化をしたらスプリント計画は終了よ。
ストーリーが「物理」とか「歴史」みたいな出題科目だとすると、スプリントバックログは「出題範囲」みたいだね。歴史なら、室町時代と鎌倉時代とが出題範囲とか。各章をどのくらいの時間で勉強するかを見積もって、効率よく勉強するみたいな感じだね。
あと、この時間っていうのも誰かに任せて決めるのではなく、チームメンバーや「顧客」……、えーっと、顧客は「プロダクトモナー」っていうんだよね……、と相談して決めるんだね。
「モナー」じゃなくて「オーナー」よ!!ストーリーのポイントを出すときはプロダクトオーナーにヒアリングをするけど、タスクの見積もりはチームの作業になるわね。チームメンバーみんなで相談して決めるのは、その通りよ。
ちなみにタスクについては、「スクラム界のドラッカー」こと@ryuzeeさんがタスクを作るときのノウハウを紹介しているから、一回読んでみるといいわよ。
「デイリースクラム」は朝テスト
準備の話が長かったけど、いよいよ実際にスプリントで開発を行うよ。スクラムでは毎朝、「デイリースクラム」っていう朝会をやって、以下のことを確認するの。
- 前日にやった作業状況
- 今日何をやるのか確認
- 作業を進める上で問題・課題
朝会って、学校でいうと、朝のホームルームみたいなもんかなぁ。先生が出欠確認して、「今日の言葉」みたいなこといって、そして頑張りましょうっていう。
それは、どちらかというと比較的大きな体育会系プロジェクトでやってる「朝礼」に近いわね。偉い人があいさつして「頑張りましょう」って。朝会はちょっと違うの。そうね……、「朝テスト」みたいなものかな。朝テストは毎朝テストをやって、それぞれの生徒が学習の進捗度合を確認していくけど、スクラムの朝会もチームメンバー全員が前の日に挙げた確認をやるの。みんなで進捗や問題を確認して共有することによって、チームの一体感が生まれるのよ。
うちのクラス、朝テストで0点の人はみんなの前で立たされるんだよね。みんなの前で立たされるのは恥ずかしいから、一生懸命勉強しているみたい。テストの点を共有すると、悪い点を取ると恥ずかしいから、みんな頑張って勉強するのに似てるね。
ちょっと違うけど……。まぁ、心理的に進捗が進んでいないと気恥ずかしいから一生懸命やるというは、あるかもしれないわね。
かんばん!とスプリントバーンダウン
うーん、個人の進捗の確認は分かったけど、チーム全体として進み具合は、どうやって確認するの?
タスクボードやバーンダウンチャートを利用するの。「タスクボード」っていうのは、スプリントバックログ(タスク)を壁やホワイトボードに貼って管理するのよ。日本風に親しみを込めて「かんばん」って呼んでいる人も多いわね。
タスクの状態を未着手、実行中、完了といった、ステータスで区切って壁に貼るの。こうすれば、誰が何の作業を今しているのか、何の作業が残っているのか一目で分かるよ。この連載では、タスクボードのことを「かんばん」と呼ぶことにするね。
なるほど。連載タイトルに「かんばん!」って付いてるのに、「タスクボード」って呼んだら何のためにイラストレータさんに「かんばん!」のロゴを作ったのか分からなくなるもんね。ちなみに、「かんばん」っていうと、トヨタの「かんばん方式」っていうのと関係があるのかな。
実は、スクラムはトヨタのかんばん方式の影響を受けているのよ。
おおー!そうなると、やっぱりスプリントは「スプリンター」から名前を取ったんだね!!きっとスクラムを考えた人はハチロクファンだったに間違いないわ!まいん、スプリントを実行する人のことを明日から、「スプリンター」って呼ぼうよ!!
勝手にチームのことを「スプリンター」とか呼んでると、偉い人に怒られるわよ。
たとえ怒られたとしても、怒られるのは作者や編集者だから大丈夫だよ。
話を戻すけど、かんばんの他に「スプリントバーンダウンチャート」っていうのも便利よ。最初にタスクの作業時間を見積もったよね。各タスクの残り時間は、毎日更新していくの。全てのタスクの残作業時間を合計すると、そのスプリントの残り時間が毎日計算できるよね。この残作業時間を日ごとにプロットしていったのが、バーンダウンチャートってわけ。
図6の赤い線が日ごとの残り時間。水色の線は、順調に作業時間が減った場合の理想的な残り時間、理想線よ。理想線より残り時間、ここでは赤い線が上だと遅れていて、下だと予定より進んでいるっていうことね。バーンダウンチャートを使うと、チーム全体でどの位遅れているか分かりやすいわよ。
燃えてるプロジェクトが鎮火していく様子を表しているから、バーンダウンなのかなぁ。うん、きっとそうに違いない。
次ページでは、スプリントの終わりの「スプリントレビュー」「振り返り」を実践し、次のスプリントに向けて準備します。記事のまとめ「ホームワーク!」も見逃せませんよ。
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