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現代のソフトウェアQAに求められる「3つの能力」と「5つのキーアプローチ」 有識者が解説「@IT 開発変革セミナー 2024 Winter」基調講演レポート

企業のビジネスを支えるため、競争力強化のため、アプリ開発の効率化は不可欠だ。一方、人手や時間のリソースが限られている中での品質確保は至難の業となっている。高い品質と迅速な開発を両立させるにはどのような方法があるのか。

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 2024年11月13日、14日の2日間にわたり、アイティメディア主催のオンラインセミナー「@IT 開発変革セミナー 2024 Autumn」が開催された。基調講演にはテスト自動化研究会の井芹洋輝氏が登壇し、「高品質と高スピードの両立を支えるソフトウェアQA」と題した講演で、現代のソフトウェアQA(品質保証)に求められる「品質とスピードの両立」について品質エンジニアリングの観点から解説した。

ソフトウェアQAの「品質」と「スピード」の両立は可能か

 井芹氏は、現代のソフトウェアQAに求められる要件として「高い品質」と「品質の迅速な確保(以下、高スピード)」の2つを挙げる。

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現代のソフトウェアQAに求められるもの

 「ソフトウェアQAには当然ながら、顧客が満足する品質を作り込む力が求められます。これは戦後日本が製造業の分野で長年にわたって培ってきた『競争力の源泉』であり、既に膨大なノウハウが蓄積されています。一方、現代のソフトウェアQAには高品質だけでなく『高スピード』も求められるようになってきており、品質をより迅速に確保するための能力が試されています」

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テスト自動化研究会の井芹洋輝氏

 スピードが重視されるようになった背景には「品質と開発リソースのトレードオフ」がある。システム開発プロジェクトに投入できるリソースには限りがあるため、QAに過度の時間や工数を費やしてしまうと、その分どうしても設計や実装のフェーズが手薄になってしまう。結果、これらの工程における品質管理がおろそかになり、最終的に成果物の品質低下につながる。

 もう1つの理由として、ソフトウェアのビジネスモデルが変容してきた結果、迅速なQAがより重視されるようになったという事情が挙げられる。特にSaaS(Software as a Service)やWebサービスといったビジネスモデルは、ユーザーからのフィードバックを素早く製品やサービスに反映させ、継続的に進化を続けることで顧客満足度を高めることが重要だ。そのためにはQAを迅速に実施し、ユーザーの要望や不具合の修正などをいち早く実装していく必要がある。

 一見すると相反するようにも見える「高品質」と「高スピード」。この2つの要件を高いレベルで両立させるためには、「チームの開発力を総合的に高めていく取り組みが重要だ」と井芹氏は指摘する。

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「ものづくり」だけではなく「チームづくり」も必要

 「QAのスピードを測る指標として『変更のリードタイム』と『サービス復元時間』が用いられます。これらを高めるためには個人の能力だけでなく、チームの総合的な開発力を高めて迅速な変更、修正を可能にしなければなりません」

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