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App Inventorは終わらない―アプリをAndroid Marketに公開するにはApp Inventorでアプリ開発はどこまでできるのか(6)(1/3 ページ)

プログラミング未経験でも手軽にAndroidアプリが作れるApp Inventor。本連載では、App Inventorでアプリを作り、使用しているコンポーネントに関して実際にJavaのAPIと比較して、できることを検証していきます

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グーグルが手放した「App Inventor」のこれから

 今年3月から始まった本連載「App Inventorでアプリ開発はどこまでできるのか」も、今回で最後です。連載を開始したころから現在に至るまでの間、App Inventorは数回のアップデートを経て機能が追加され、進化を続けています。今回は連載の最後を締めくくるべく、App Inventorがこれからどうなるのか、その明るい未来を仰ぎ見て、12月31日までにやるべきApp Inventorプロジェクトを保存する方法を紹介します。また、最後にApp Inventorで作ったアプリをAndroid Marketに公開する裏ワザを紹介します。

 本連載を始めた当初、App Inventorはグーグルの試験的プロジェクト「Google Labs」プロジェクト内にありました。筆者たちユーザーはグーグルがApp Inventorを発展、維持させていくことに、全く疑いの余地を挟んだことはありませんでした。しかし状況は一変します。

 今年の7月20日に、グーグルがGoogle Labsを閉鎖するという発表がありました。その際にApp Inventorの運営はどうなるのか、情報が錯綜し、混乱した状況が発生しました。IT系メディアの中にも「App Inventorオワコンか!?」といった論調で記事が書かれたこともありました。しかし、その後の発表でApp Inventorはオープンソース化し、開発は存続すると発表がありました。

 このときの混乱で、まだ「App Inventorは今年一杯で終わる」と思われている方もいらっしゃいますが、ここにあらためて「App Inventorは終わらない」と正しい情報をお伝えします。

App Inventorの進化の担い手は「里帰り」

 App Inventorは終わりません。そして、App Inventorは存続するだけではなく、さらに発展します。Google Labsが閉鎖になったにもかかわらず、なぜそういい切れるのか。それはApp Inventorの新たな守護者が、グーグル同様にApp Inventorの進化を担うにふさわしいところだからです。

 App Inventorの未来を担うことになったのはマサチューセッツ工科大学のメディアラボ(以下、「MITメディアラボ」とします)です。

 連載の初回にお知らせした通り、App Inventorのベースのソフトウェアである「Open Block Java Library」「Kawa Language framework」を開発したのはMITです。つまりApp InventorをMITメディアラボが維持運営するということは里帰りするようなものだといえます。

 基礎となる技術を作ったところに移るのであれば、これに勝る移管先は他にないでしょう。グーグルからMITメディアラボへの移管は、すでに始まっており、執筆時点ではMITメディアラボでのApp Inventorの運営に向けた準備が進められている段階です。年末にはグーグルでの運営は終了し、来年からはMITメディアラボでの運用が始まります。移管に関しての具体的な流れに付いては、後で詳説します。


 そして、App InventorはMITメディアラボに移管されるとともに、オープンソースになります。これにより、もたらされる変化は2つあります。

  1. 開発にかかわるマンパワーの増大
  2. 運営の自由化

 1つ目はソースが誰でも見られるようになるため、不具合の修正や機能の追加にかかわる人が増えることが予想されます。そのため、App Inventorの開発にかかわるマンパワーが増大し、それに伴い進化のスピードが加速します。また、ソースをフォークしてオリジナルのApp Inventorを作ることも可能です。

 2つ目はオープンソースになることで、App Inventorを好きなところで動かせるようになります(ただし、ソフトウェアを動作させるための必要な条件を満たしていることが前提)。つまり、自宅や学校、会社などで所有しているサーバやレンタルサーバ、またはクラウド上でApp Inventorを動かし、運営できます。

 つまり、来年からのApp Inventorの進化はMITメディアラボを中心としたApp Inventor関係者全員が担うことになるといえます。

グーグルからMITメディアラボへの移管の流れ

 先ほどまでの話と関連しますが、来年はApp InventorのMIT移管、オープンソース化が始まります。つい先ごろ、12月2日にApp Inventorを自分の所有するサーバで動かすためのJARファイルが公開されました(参考:Running your own App Inventor service | App Inventor Edu)。

 このように、新たな進化への準備が着々と進んでいる状況が、ほぼ毎月アナウンスされています。しかし、今後の予定がまとまった形では提供されていません。ここで一度情報を整理します。

  • 2011年12月31日:グーグル運営のApp Inventorサービスが終了
  • 2012年1月ごろ:App Inventorがオープンソース化
  • 2012年1〜3月:MITメディアラボでのApp Inventorサービス提供の開始

※ここでApp Inventorユーザーが注意しなければならないのは、最初のグーグルでのサービス終了のタイミングです。このときに自分の作ったApp Inventorのプロジェクトを保存する必要があります。具体的な方法は、後述します。

 なお、MITメディアラボでのApp Inventorサービスの提供開始の時期に幅があり、グーグルもMITもサービスを提供してくれない時期が発生してしまいます。この間は、MITメディアラボが提供するApp Inventorサービスを、ユーザー自身で構築して、利用を継続できます。

 ただ、動作させるのに多少の知識が必要なので、誰もが使えるわけではありません。そのため、筆者が主催する「日本App Inventorユーザー会」では「ノアの方舟作戦」と銘打ち、有志でサーバを立てて、空白期間ができないような対策を準備しています。


 次ページでは、App Inventorプロジェクトを保存する方法とAndroid 4.0の端末上でApp Inventorで作ったアプリを動かす方法を紹介します。

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