ビッグデータ処理に特化した「IBM PureData System」:PureSystemsファミリーのデータ分析アプライアンス
日本アイ・ビー・エムは、ビッグデータ処理・分析に特化した新製品群を発表した。SIコストが掛からない「パターン」による早期立ち上げが強みだ
2012年10月10日、日本IBMは「PureSystems」シリーズのラインアップとしてデータ分析向けアプライアンス「IBM PureData System」3製品を発表した。出荷は2012年10月26日からを予定している。
PureSystemsシリーズは、要件定義やシステム設計、各種パラメータ設定といったシステム立ち上げ時の作業を検証済みの「パターン」として提供、ソフトウェア/ハードウェア込みの統合アプライアンスとして提供するシリーズである。同社では既に2012年4月にPureSystemsシリーズとして、サーバ仮想化ソフトウェアなどを含む統合アプライアンスサーバ「IBM PureFlex System」、WebSphereなどのミドルウェアを含む統合アプライアンスサーバ「IBM PureApplication System」の2製品を発表している。今回の発表は、PureSystemsシリーズのうちでもデータ処理・分析の領域に特化した製品として位置付けられる。
一言でデータ処理・分析といっても、場面に応じて必要なパフォーマンス・性能が異なることから、PureData Systemシリーズではハードウェア・ソフトウェアともに用途別のラインアップを用意する。データ処理・分析向けの今回のラインアップは、物理的にハードウェアリソースを全てデータ処理・分析に利用する運用を前提としている。
具体的なラインアップ3製品は次の通り。
IBM PureData System for Transaction
高速なデータ入出力が必要な場面向けの製品。2012年4月に発表したPureFlex Systemと同様のハードウェア構成(Flex System)を採用しつつ、データベースソフトウェア「DB2」を搭載したものがベースになっている。ただし、PureFlex Systemにはサーバ仮想化に関する製品群が搭載されているが、こちらの製品ではサーバ仮想化は想定していない。システムリソース管理にはPureSystem Managerを採用している。OSはRed Hat Enterprise Linux 6(64bit)。
例えばeコマースサイトにおけるデータ入出力や決済処理のような、信頼性と高速レスポンス性が求められる場面を想定したものだ。ファームウェアアップグレードなどの際にもダウンタイムを必要としない。
パターンとしては、データベースのインスタンス数や冗長構成の持ち方などを設定できるという。
IBM PureData System for Analytics
データ分析アプライアンス製品「Netezza」をベースにしたDWHアプライアンス。大量の蓄積データを並列処理する用途に適した構成を採用している。データ処理をハードウェア実装して分析処理の高速化を図っている。
ユーザーデータ領域は128TByte、データ読み取り速度は145TByte/hr(4倍データ圧縮時)、データ読み取り速度は5TByte/hr以上(システム単位での計測)の性能を持つ。1/4ラックから10ラックまで拡張可能だ。
IBM PureData System for Operational Analytics
2009年に発表したSmart Analytics Systems製品をベースにしたリアルタイムデータ分析アプライアンス。データのインプット・アウトプットともに高速かつ大量であるケースを想定している。並列処理を行うため、データの整合性確保向けにトランザクションログ管理機構も搭載する。また、データ分析向けにIBM Cognos製品群も搭載する。
並列処理を使ったデータ分析ではPOWERチップの特性が最も性能を出しやすいことから、ハードウェアにはIBM AIX 7.1(POWER7 P740およびP730、3.55GHz16コア)を採用しているという。
これら3シリーズのうち、IBM PureData System for Analytics、IBM PureData System for Operational Analyticsについては「アプライアンスそのものを1つのパターンとして提供する」(同社広報)としている。
日本アイ・ビー・エム 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 ヴィヴェック・マハジャン氏は「PureSytemsシリーズはIBMのSIノウハウをパターン化して投入している。利用者側がSIコストを掛けずに利用できる点がこのシリーズ最大の強み」だと説明する。PureSystems製品群には、オープン系システムで必要となる要件定義や設計、複雑なアプリケーションごとの設定といったSI作業を全てIBMが検証済みの「パターン」に落とし込むことで、システム立ち上げまでのリードタイムを短縮する狙いがある。
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