エンタープライズクラウド環境を想定した開発が進むOpenAM:シングルサインオンOSS製品のいま
スコット・マクネリ氏やJavaの生みの親であるジェームス・ゴスリン氏がバックアップを続けているOpenAM(OpenSSO)。旧Sunの技術者らが今後のロードマップを語った
2012年10月19日、統合ID管理のためのオープンソースプロダクトである「OpenAM」のソースコードを管理するForgeRock社の副社長であるアラン・フォスター(Alan Foster)氏らが来日、第3回OpenAM Summit(OpanAMコンソーシアム主催)に登壇した。
OpenAMはもともと「OpenSSO」の名称で米サン・マイクロシステムズ(サン)が開発していたJavaベースのシングルサインオン製品「Sun Java System Access Manager」である。オラクルによるサン買収後、主要開発者らがフォージロック(ForgeRock)社を設立、ソースコードを受け継ぎつつ、名称をOpenAMに変更している。ForgeRockには、技術アドバイザとして、スコット・マクネリ氏やJavaの生みの親であるジェームス・ゴスリン氏が参加している。
ForgeRock US シニア・ディレクター(Business Development担当)ジュディス・ボルツ(Judith Borcz)氏 ForgeRock社の開発体制や収益モデル、サポート体制などを説明した
OpenSSOは既にエンタープライズ用途で多数の導入実績を持っており、品質的にも安定していると評価されているが、買収後のサポート体制についての懸念を解消すべく、日本国内では、複数のSI企業やユーザー企業によってOpenSSO&OpenAMコンソーシアムが設立された(2012年に「OpenAMコンソーシアム」に名称を変更している)。コンソーシアムには現在、野村総合研究所、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、SRA OSS, Inc. 日本支社、オージス総研、富士通、PFUアプリケーションズ、三菱電機インフォメーションシステムズなどが名を連ねている。
5人の開発者でスタートしたForgeRockの開発者は、現在80人ほどになっており、英国、ノルウェー、フランスのほか、ニュージーランド、米国、カナダなど15カ国に技術者を置いているという。コミュニティベースの開発を継続する一方で、ForgeRockでは、このプロダクトに対してのエンタープライズレベルでのSLAを提供し、サポートやトレーニングを実施しいてる。米国ソニー、欧州トヨタなど、大手企業での導入・運用実績を持っている。
会の冒頭で登壇した野村総合研究所 情報技術本部 オープンソースソリューションセンター長 寺田雄一氏は「現在は、企業システムのクラウド移行が本格化しており、いままで以上に統合ID管理のニーズは高まると考えている」と話した。
OpenAMの今後の開発マイルストーンを見てもクラウド環境への対応が積極的に行われることが分かる。
例えば、2013年春ごろにもリリースが予定されているOpenAM 10.1では、リクエストの送受信を単一のREST APIで統一する予定になっているという。応答は全てJSONで返す実装になるという。また、マルチテナントへの対応が予定されており、クラウドダッシュボードや、リッチUIによるコンソールも実装する予定だ。
コミュニティを主導するForgeRock US 副社長 アラン・フォスター(Alan Foster)氏は、現在のリリース体制について「開発はアジャイルで進めている。2週間ごとにリリースを行い、6カ月おきに「Xpress Release」として公開、ユーザのフィードバックを受けた後で「Final Release(またはEnterprise Release)」として提供していく。Final Releaseの提供スパンは1年ごとであり、このリリースについては3〜4年のサポートを約束している」と説明した。
プロジェクトの開発環境そのものは現在、大幅に変更中だという。
「いままではずっとAntでビルドしていたから、特に若い技術者は皆『Maven、Maven!』って言い続けていたんだ。それでMavenに以降することに決定したんだ。ただ、OpenAMのAPIについてのMaven以降はまだ終わっていない。それから、提供方法もざっくり大きなJarファイル3つだったものを、細かな機能ごとに選択できるように25のJarファイルに分割提供することにした。ソースコードリポジトリ管理もいままでSVNだったけれど、年内にはgitに以降する計画」(Foster氏)
併せてID管理ツールである「OpenIDM」やディレクトリサーバ「OpenDJ」についてのプロジェクトマイルストーンが示された。
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