調査で明らかになった仮想化環境の運用 現場の「悩みどころ」とは?:Server & Storageフォーラム読者調査レポート
仮想化技術を使ったサーバ集約は進んでいるけど、バックアップ作業は相変わらず? データのバックアップは仮想化環境でますます悩ましい存在になっています。読者調査から見えてきた、読者の本音とは……?
アイティメディアではEMCジャパンと共同で、企業におけるサーバ仮想化の導入状況や課題について、アンケートを実施しました。その結果の一部を紹介しながら、いま現場で何が問題になっているのかを見ていきます。
調査概要
- 調査対象:企業情報システムの導入/運用/利用にかかわる@IT読者
- 調査方法:Web調査
- 調査期間:2012年10月16〜26日
- 有効回答数:304
半数以上がサーバ仮想化による集約を実施
システム導入や運用、利用にかかわる読者全体のうち、実に57%の方が、既にサーバ仮想化を導入しています。全社インフラとして導入しているという回答が24%にも上っています。
導入していないながらも、導入を検討中・導入予定という回答も20%弱と、ほとんどの企業で何らかのサーバ仮想化が実施されつつあることが分かります。
サーバの仮想化で利用している製品として挙げられたのは、やはりVMwareです。実に70%以上の回答者がVMwareを採用しています。
いざ運用……。サーバ集約の課題が明らかに
バックアッププロセスはVMごとにばらばらに実施している
仮想サーバ運用が進むと、共有ストレージのバックアップをどのように実施するかが課題となってきます。調査では、約半数の仮想サーバ利用者が、物理サーバと同じバックアッププロセスを採用していることが分かります。
サーバは仮想化による集約を果たしているにもかかわらず、データの管理は旧態依然の個別管理を行っている、と回答した読者が、約半数を占めています。
そもそもスキル・ノウハウが不足
さらに、仮想化環境でのバックアップについて、回答者自身が考えている課題はどこにあるのかを尋ねてみました。その結果が下図です。
図を見ると分かるように、「スキル不足」「ノウハウ不足」が大きな課題になっています。ノウハウ不足のため、仮想化環境に適したバックアップ方法の判断が難しいという問題があるのです。部分的な導入からサーバ仮想化を始めた結果、VM環境そのものが混在してしまい、問題を複雑にしている可能性も考えられます。
サーバ仮想化製品ごとの技術的差異とストレージの関係、最適なバックアップ方法の関係を深く把握しなければ、適切なバックアッププロセスの集約、統合は難しいでしょう。仮想化環境に適したバックアップ製品選定が難しい、という回答が2番目にきていることからも、この問題がいま現場の大きな課題となっていることは明らかです。
自由回答では以下のような課題が挙げられています。
イメージバックアップとファイルバックアップの統合が困難
複数のシステムが仮想化されているので、それぞれのバックアップを統一して管理する方法が分からない
サーバ仮想化環境向けのバックアップソフトウェア選定に躊躇している読者が多くいる中で、従来どおりの個別システムごとのバックアップを実施している状況から考えて、バックアップ工程に多くの「ムダ」が潜んでいる可能性も多くありそうです。サーバは仮想化によって集約できたにもかかわらず、バックアッププロセスの効率化が進んでいない様子がうかがえます。図1の回答と掛け合わせて見てみた結果では、実運用フェイズの読者であってもバックアップソフトウェアの最適な選定に悩んでいることが分かります。
仮想環境運用担当者の誰にも分かってもらえない悩み
「重要データのバックアップは正しくできていて当たり前、いままでどおりでも問題ないでしょう?」そんな部門外からの理解のない声も多いようです。自由回答欄では、バックアップ作業効率化についての周囲や上層部の理解不足に悩む読者の姿が浮かび上がってきました。
(サーバ仮想化環境下でのバックアップについての)上層部の理解不足
(サーバ仮想化環境の)バックアップという作業そのものへの周囲の理解不足
実際には、サーバ仮想化テクノロジを利用することによって、今までと同じ手法では立ち行かなくなっているにも関わらず、周囲からはいままでどおりのプロセスで出来て当たり前、と思われ、板挟みになっている状況が見えてきます。下記関連記事で、バックアップを手法別、運用プロセス別に考察していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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