仮想化環境のバックアップ、皆の悩みどころと「ITマネジメントの現代化」:Server & Storage勉強会レポート(2/2 ページ)
専門家を招いて開催した編集部主催の勉強会。会場では仮想化環境バックアップのテクニカルなヒントに加え、担当者の悩みどころについての意見交換も行われた。
バックアップ環境の統合は権限委譲による運用のスリム化につながる
パネルディスカッションは前述の登壇者2名に加え、EMCジャパン BRS事業部 システム・エンジニアリング部 システム・エンジニア 津久井孝利氏も参加しての鼎談となった。津久井氏は実はEMCジャパンに参画する以前より、バックアップコンサルタントとして活動していた人物。同社製品以外のベンダ製品の知識も広い。
EMCジャパン BRS事業部 システム・エンジニアリング部 システム・エンジニア 津久井孝利氏 パネルディスカッションでは「VMware vSphere 5.1に含まれるVBDというツールは、実際にはEMC Avamarのソフトウェアが使われている。ハードウェアアプライアンスを検討する前にソフトウェア機能を確認するのに最適」という話も出た
パネルディスカッションでも、やはりITマネジメントの現代化に関連する話題が出た。ポイントは、バックアッププロセスの統合と、適切な権限移譲である。
「仮想化技術によってサーバ統合が進んだのと同じように、バックアッププロセスの統合も進んでいくと考える。そうなった場合、アプリケーションごとに、どのように権限を委譲していくかがポイントとなるだろう」(木島氏)
「バックアップツール側で権限を設定できる製品がある。こうした製品を採用すれば、例えば、サーバとしてはroot権限がないと実施できなかったようなレイヤであっても、ユーザー側にバックアップ権限を与えられるようになる」(津久井氏)
サーバ仮想化・統合の規模とバックアップ運用での本格的なツール選定の基準となるしきい値はどこにあるとみているだろうか、との質問には、「例えばVMware ESX Server 10台程度の規模であれば、きちんとしたバックアップ製品を使って運用を行うべき」(木島氏)、「VM数台レベルであれば従来の物理サーバ同様の運用でも対応できるだろう。ただし、障害対応などの要求サポートレベル次第では、小規模であっても専用品を選ぶ方が賢明な場合もある」(津久井氏)という見解を示した。
その後のQ&Aセッションでは、参加者からの質問に登壇者が応える形で進んだ。小規模環境から大規模な仮想化環境運用の疑問までさまざまな話題が出たが、中でも、バックアッププロセスは「利益を生まない」と認識されがちであり運用者の悩みどころとなっているという意見に、津久井氏は「仮想化技術が登場したことで、バックアッププロセスそのものの評価・検証が行いやすくなったのではないか。工程の評価も従来よりも容易になる」との見解を示した。また、プロセスそのものについて木島氏は「以前はリストアした際にハードウェアドライバの不整合による問題などがあったはず。仮想化レイヤを介することでそうした問題を隠蔽でき、運用面で仮想化を採用することでの利益もあるのではないか」と評価した。
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セミナー後は参加いただいた読者の皆さんと講演者や本企画に協力していただいたEMCジャパンの方々を交えて懇親会も開催、具体的な課題についての議論や、「オフレコ」の話題も飛び交う熱気ある会となった。編集部では今後も機会を見て、同様の課題解決の場を設けていきたいと考えている。
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