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クスッとする世界観をアプリにするって面白いんですおばかアプリ歴代出演者に会いに行く(1/3 ページ)

「あるある」ネタをアプリのアイデアにつなげて、プレイヤ自身の感覚にできると最強です。田中孝太郎さんインタビュー

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 初めまして! 「おばかアプリ選手権2012 夏」で大賞を受賞して誕生したアプリ製造ユニット“空缶工場”の正田・中澤・島田です。

 「え?おばかアプリって何?」

 一言でいってしまえば、単なるおばかなアプリ。しかしそれは、大賞を取った私たちでもよく分かっていないほどに、奥が深〜いもの……。まさにラビリンス。

 これは、そんな謎のベールに包まれたIT界のスキマ産業である「おばかアプリ」の魅力を解明し、世に浸透させるべく立ち上がったわれわれ3人が、偉大なる先人たちにインタビューをしていく壮大な連載をスタートします。

 記念すべき第1弾は、第2回おばかアプリ選手権で大賞を取った“dotimpact”こと、田中孝太郎さんです。どうぞよろしくお願いします。

女子美の授業から生まれたアイデア

田中さん よろしくお願いします。僕、おばかアプリ選手権に出たのもかなり前ですし、忘れかけてるくらいの感じだったりするんですけど……(参照記事:「第2回おばかアプリ選手権」 優勝しました!)。

一同 (笑)

田中さん みなさんは僕がおばかアプリに出したものは見てます?

中澤 はい、デスクトップのアイコンが隠れるやつですよね。(第2回おばかアプリ選手権の様子はこちら

田中さん そうそう。僕は以前、女子美術大学で伊藤ガビンさんの助手として授業や卒業制作のサポートをしていました。学生のアイデアを聞いたり、それに対してこんなのどう? っていうディスカッションをしていたんですよ。あれはもとはといえば、そこで僕が出したけど使われなかったアイデアを思い出して作った作品でした。

正田 どんな授業だったんですか?

田中さん インタラクション演習という授業です。そのころゲームの開発をメインにされてたガビンさんが、メディアアートとかコンピュータを使った、新しい感覚のインタラクションデザインみたいなことを教えられてました。ゲームってUIとかUXの最先端ですし、かつ評価基準が「便利」とか「儲かる」とかじゃなくて「面白いかどうか」じゃないですか。そういう世界で、どういうことをコンピュータ上でプレイすると面白いかということを考える授業でした。そんな流れのクラスの1つに「マウスを壊して、新しいインターフェイスを作る」というものがありました。


第2回優勝者の田中孝太郎さん

正田 マウスを壊す?

田中さん そう。当時はすでに光学マウスが主流だったんですけど、それより以前には、ボールが入っていて転がすマウスがあったのを覚えていますか? そのマウスを1人1個、壊してもいい300円くらいの、安いものを秋葉原で買ってきて与えるんですよ。

 それで、まず壊せ、分解しろと。美術系の女子大生なので、マウス分解なんてしたことないので、まずそれでマウスの仕組みをある程度把握させるんです。

 その上で、「マウスのセンサやホイール、ボタンなんかを何らかの仕掛けで動かしたり押したりする」という原始的な自作インターフェイスと、それを使ったインタラクションの企画を考えて、それに合わせた映像を作らせるんです。映像といっても、パラパラアニメ的なものとか、画像をクリックすると別の画像に変わるだけのHTMLとか、簡単作れて、単純なもので。でも、企画については学生がガビンさんや僕と一緒に試行錯誤して「こういう考え方の方が面白い」とか、「このインターフェイスだと体験した気分にならないよ」とか何度もダメ出しをして、通った案を形にしていったんです。


「ふるい」ふるいにマウスが乗っていて、振るうと雪が降ります。

田中さん こういう課題を出すとやっぱり、学生はゲームっぽいものとか、ゴキブリを潰すみたいな企画を出しがちなんですけど、そうじゃなくて。モチーフになるものは日常的な、取るに足らないものがいいんです。自分が知っている行為と、パソコンの中の映像が、つながった感じがすれば、もうそれだけでうれしいわけですよね。

 これはミシンのフットスイッチを踏むと、手で縫ってる映像が動くっていう(笑)。


「ミシン」ミシンの足踏みペダルを押すと、手縫いの画像が再生される

中澤 映像の方はアナログな作業なんですね(笑)。

田中さん そうです。そうです(笑)。

正田 ミシンじゃないってところが面白い!!

田中さん そう、しかも、両方知ってて実感があるじゃないですか。どちらの行為も。それがつながるだけでうれしいんですよね。

一同 うん、うん。


「耳かき」おばあちゃんが耳かきしているところを見て思いついた。

田中さん これはキワモノという意味では、一番おばかアプリに近いかもですね。

正田 うはぁぁ(笑)。

田中さん 中にマウスが入ってて、耳かきでクリックするっていう(笑)。

中澤 うわ〜、なるほど〜!

田中さん 明らかにこう、やり過ぎちゃいけない感じがするじゃないですか、触覚的に……。

正田 指でやってもいいところを、あえて耳かきでやるっていうのが大事ですねー。

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