ストレージにできることとは? NetAppの答え:Server & Storageイベントレポート(1/2 ページ)
クラウド環境・ビッグデータ関連市場が盛り上がる中、ストレージベンダはどんな価値を提供する? ストレージベンダの1社であるNetAppのイベントから。
エンタープライズシステムにおけるプライベートクラウド採用がますます進むと予想される今後、企業の重要なデータを預かるストレージベンダとして、NetAppはどんなビジネスを展開しようとしているのか。本稿では2012年12月6日に東京・品川プリンスホテルで開催された「NetApp Innovation 2012 Tokyo」の中から同社製品戦略、技術戦略をレポートする。
ストレージOSの能力を高めることこそが価値を生む
イベント冒頭では米NetAppにおいてワールドワイド・フィールド・オペレーション担当取締役副社長を務めるロブ・サーモン氏が、今後の販売戦略、製品戦略を語った。
サーモン氏は同社の成長の源泉を、パートナー戦略と自社のストレージOS技術に見ている。
「我々にとってパートナーシップは戦略そのものであり、これなくして成功はない。現在、販売におけるパートナー比率はグローバルで半分を超えているが、日本においてもさらに強化していく」(サーモン氏)
そして20年の成長を支えた技術の基盤が同社のストレージOS「Data ONTAP」であると強調。「Data ONTAPに投資してきたからこそ我々のいまがある。これまでも、そしてこれからも我々のビジネスの根幹はData ONTAP」と語る。
現行バージョンはData ONTAP 8だが、サーモン氏は「Data ONTAP 8は10年先を見据えた、不可能を可能にするテクノロジ。インフラが複雑化し、クラウドやビッグデータによりエンタープライズがギアチェンジを求められている。だからこそ今後36カ月でより多くのユーザーがData ONTAP 8を本番環境で利用するようになる」とData ONTAP 8が時代のニーズに即した存在であることを訴える。
NetAppは製品コンセプトとして「アジャイルデータインフラストラクチャ」を掲げている。これは複雑化するITをシンプルにするという目的の下、オペレーションの自動化や24/365の無停止稼働、無限に近い拡張性などを実現するデータセンターをイメージしており、その基盤となるインフラがData ONTAP搭載のストレージだとNetAppは定義している。加えて、もう一方の柱として、専用ワークロードを必要とするシステムに特化したストレージであるEシリーズを挙げ、「Data ONTAPとEシリーズ、この2つが当社のイノベーション戦略の柱」であるとした。
ハードウェアではなくプロセス支援能力が問われる
サーモン氏に続いて登壇した日本法人であるネットアップ 代表取締役社長の岩上純一氏は、2009年に営業統括本部長として入社し、2012年10月に代表取締役社長に就任したばかり。岩上氏によると、日本国内での売り上げも好調に推移しているようだ。震災、新興国企業の台頭などのために企業のIT投資意欲は決して高まっているわけではない中で業績を伸ばした背景を、マーケットニーズに即したソリューション提供にあると分析している。直近では大量のトランザクション情報が必要な通信業界・金融業界でのニーズが増えているようだ。
岩上氏は、同社のコンセプトである「アジャイルデータインフラストラクチャ」についても言及、「スケールアップ/スケールアウト、マルチテナント、ノンストップ、重複排除など、現在のストレージに求められるコアコンポーネントを全て実装レベルで搭載できているのはNetAppだけ。競合他社が反論するならぜひ議論したい」と強い自信を隠さない。
またサーモン氏と同様、岩上氏も「我々が他社と違うのはOSに徹底的にこだわっていること」とData ONTAPの重要性を強調、その理由として「既にハードウェアとしてのディスクはコモデティ化しており、差別化要因にはならない。ストレージベンダはハードウェアのスペックにこだわり、ギガバイト単位の容量単価に目が行きがちだが、ユーザー企業のビジネスプロセスを重視する我々は、あえてインテリジェンスな領域でのシェア、ストレージOSでのトップを狙っていく」としている。
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