大企業の8割で横行する「不正クラウド」、利用しないストレージ、消えるデータがもたらすリスク
会社の中に管理していない野良クラウドシステムが横行? これが原因の情報漏えいや、データ消失、リソースのムダが大量に発生していることが調査で示された。
スピードや柔軟性を求めて企業のクラウド移行が進む中、「不正なクラウド」利用や、バックアップと復旧の複雑さ、クラウドストレージの非効率性などに起因するコストも上昇傾向にあるという。2013年1月16日に米Symantecが29カ国の3236組織を対象に昨年実施した調査結果を発表した。
それによると、クラウド利用について少なくとも検討中という組織は90%に上り、前年の75%からさらに増加した。半面、時間とコストの削減を理由に不正クラウドが導入されるケースも多かった。
不正クラウドとは「会社ITインフラの管理下にない、またはITインフラに組み込まれていないパブリッククラウドアプリケーションを事業部門が導入すること」とSymantecは定義。77%の組織で2012年中にこうした不正クラウドが見つかっていた。特に大企業では83%に達し、中堅中小企業(SMB)の70%を上回った。
不正クラウドが見つかった組織のうち、40%は社外秘情報の流出が発生。さらに4分の1強が、アカウント乗っ取り、Webプロパティ改ざん、商品やサービスの盗難などに見舞われていた。
クラウド環境のバックアップと復旧の複雑さをめぐっては、43%がクラウドのデータが消失したことがあると回答。68%は復旧がうまくいかないトラブルを経験していた。
クラウドストレージのメリットの1つに挙げられるのがプロビジョニングのシンプルさだが、これが効率の悪さにつながることもある。クラウドストレージの利用率は全体で17%にとどまり、大企業では26%、中小企業の場合はわずか7%だった。
こうしたクラウドの隠れたコストに目をつむっていると、事業に深刻な影響が出かねないとSymantecはいう。しかし、入念な計画と実行、管理によって、問題は容易に回避できると指摘した。
調査は2012年9〜10月にかけて、29カ国で従業員5〜5000人強の3236組織(中小企業 1358社、大企業 1878社)を対象に実施した。
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