ネットアップ、フルフラッシュストレージ製品群と新ストレージOSを発表
ディスクからフラッシュへ向かうストレージ業界の動向に追随する形でネットアップがフルフラッシュ製品を発表。専用OSの新規開発も進めており、2014年には製品化を実現するとしている。
米ネットアップは米国時間2013年2月19日、同社初のフルフラッシュアレイ製品「EF540」を発表した。同時に新しいストレージOSを搭載するフルフラッシュストレージ製品の新たなラインアップ「FlashRay」も発表した。
EF540は、30万IOPSの高いデータ読み書き性能を持ち、遅延はサブミリ秒レベルと、パフォーマンス重視の企業向けストレージに適した特性を持つのが特徴。ディスク管理OSは、Data ONTAPではなく「SANtricity」をベースにしており、2011年3月に買収を発表した米国LSIの子会社Engenioの製品ラインアップを受け継ぐ内容になっている。9.6/19.2TBのeMLCタイプのSSDを搭載する。EF540の日本国内での参考価格は最小構成で2054万円としている。
一方、今回発表された新製品「FlashRay」については、フルフラッシュストレージアレイとなる見込みで、Data ONTAPやSANtricityといった既存OSとは別のストレージOSを開発中だという。FlashRay製品群は2013年半ばにβ版の提供を開始し、2014年中には正式に市場展開をスタートさせる予定だ。
米ネットアップ本社で製品説明を行った米ネットアップ 製品運用部門エグゼクティブ バイスプレジデントManish Goel氏は、この新しいストレージOSについて「グローバルレベルでのインライン重複排除書き込みなどの機能実装を盛り込み、スケーラブルであることを重視した設計」と説明する。スケールすることに加え信頼性や可用性も考慮した実装になるという。
フラッシュの導入は、サーバキャッシュ用途、アクセラレータ用途からストレージプール用途まで、さまざまなレイヤで行われるが、いずれもパフォーマンスとキャパシティのトレードオフを考慮する必要がある。Flash CacheやEシリーズなどのラインアップを持つ同社としては、パフォーマンスを最大限に高めたフルフラッシュのストレージ製品を投入することで、パフォーマンスとキャパシティの相関図の全ての領域を埋められるとしている。
プレス発表の後、取材に応じた米ネットアップ シニアディレクタ Mohit Bhatnagar氏は、今回発表されたEF540とFlashRayの2つのフルフラッシュ製品の違いについて「エンタープライズ向けストレージに必要な要件は、4つある。パフォーマンス、エンタープライズレベルの機能、効率、拡張性だ。EF540はこのうち、パフォーマンスやエンタープライズレベルの可用性が強みとなる。今後市場投入を予定しているFlashRayはこれに加えて、インライン重複排除やインライン圧縮といった効率性や、拡張性も追求した製品になる」と説明した。
また、同時に発表したFAS6200製品群の新ラインアップであるFAS6220、FAS6250、FAS6290は、65PBまでスケール可能で、秒当たりのread/write性能において、従来製品と比較して約80%の性能向上を実現し、また遅延についても90%程度改善しているという(同社発表による)。
製品発表で登壇した米ネットアップ CEO Tom Georgens氏 直近の業績が好調であることに触れ「売り上げに占めるパートナービジネスの比率が過去最大の80%程度に引き上げられている。今後もイノベーションスタックの拡大による顧客利益最大化を図る」とコメント。これからの製品戦略については「スピード」「経済性」「拡張性」の3つのキーワードを掲げた。意思決定スピードの向上、コスト削減だけでなく収益への貢献、拡張性を重視した製品ポートフォリオを構築するとしている
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