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第1回 TFS Expressで始めるソース・コード管理連載:いまどきのソース・コード管理(3/3 ページ)

ソース・コード管理のオンライン・サービス「Team Foundation Service」とTFS/Gitなどのオンプレミス・ツールを解説する連載スタート。

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各TFSの機能比較

 TFS Expressは小規模グループでは必要十分な機能を持っているが、フル機能のTFSや、TF Serviceと比較して、どのような機能の差があるだろうか。以下に一覧としてまとめてみた(以下の比較については記事掲載時点の情報に基づいているため、将来、変わる可能性があるので注意してほしい)。TFS Expressでもかなりのことができることが分かる。

 TF Serviceはサービスであり頻繁にアップデートされているため、あくまでも記事執筆時点での比較となる。TFS 2012 Update1で追加されたカンバン機能のように先行してTF Serviceで追加されているものもある。

 表の列項目である「基本」はTFSを基本構成でインストールした場合を指し、「標準以上」とはSharePointとの統合機能を可能にした状態のTFSを指す。「標準以上」でSharePointとの統合が可能ではあるが、インストール時において必須ではなく、後からいつでも追加できるため、「必要になってから追加する」という方針でも問題ない。

 無償版のSharePoint Foundationであれば、4Gbytesくらいのメモリで動作するが、フル機能のSharePointでは最低16Gbytesくらいのメモリを必要とする。可能であれば、別のサーバを用意した方がいいだろう。

  Express 基本 標準以上 TFS Service
TFS基本機能
作業項目の管理
バージョン管理
自動ビルド
TFS専用Proxy経由のアクセス ※1 × ×
SharePoint統合 × × × ※2
Webアクセス
バック・ログの表示 ×
タスク・ボードの表示 ×
作業項目の表示
フィードバックの要求 ×
作業量管理 × ×
スケジュールおよびイテレーションの構成
作業領域の構成
レポート × × ×
テスト支援機能 ※3
ラボセンターによる仮想マシン・テスト支援 ×
テストマネージャーによるテスト計画管理
TFSの各エディションで利用できる機能の比較
Team Foundation Serverのシステム要件
※1: 遠隔地にあるTFSのダウンロード・パフォーマンスを向上させる、もしくは転送量を削減するための機能。
※2: SkyDriveを使用してドキュメントを格納するという方法はある。SharePoint統合のような高度な連携はないが、同じMicrosoftアカウントを使用すれば、ドキュメントのアクセス権の問題もない。
※3: テストマネージャーを使うためにはVisual Studio 2012 Premium、もしくはUltimate、Test Professionalのいずれかのエディションのライセンスを所有している必要がある。

Web Accessでプロジェクト管理

 Visual Studioがインストールされていない環境でも、Webブラウザだけで、ある程度のプロジェクト管理が行える。ライセンスを所有しているユーザーであっても、機能を使用するためにはTFS Web Accessの管理画面から設定する必要がある。

 以下の表では、下記の3種類のライセンスごとに、利用可能なTFS Web Accessの機能をまとめた。

  • TFS CALを持っていない人
  • TFS CALを持っている人
  • Visual Studio Premium/Ultimate/Test Professionalのライセンスを持っている人。
  TFSにアクセスするライセンスを持っていない TFS CAL所有者 Visual Studioライセンス保有者
作業項目の表示
標準機能  
タスク・ボード  
バック・ログ/スプリント計画ツール    
フィードバック管理ツール ※1    
利用可能なTFS Web Accessの機能
参考: Web アクセス許可による機能
※1: フィードバック・クライアントはTFS CALを所有していないユーザーでも使用可能。

TFSによるALM(Application Lifecycle Management)環境を簡単に試すには

 TFS Expressの構築が簡単だとはいえ、実際にデータを作る必要もあるため、開始するまでにかなりの手間が必要になる。マイクロソフトから、TFSの機能を試用できる評価版OSイメージと、各機能を試すためのドキュメントが提供されている。

 このOSイメージは英語版ではあるが、OSの設定を日本語に変更すれば、見慣れた環境で試すこともできる。日本マイクロソフトの長沢氏が評価環境を日本語にする方法を解説しているので、以下のリンク先の記事を参考にしてほしい。

自動ビルドとデプロイ

 TFSの最初の一歩として、ソース・コード管理とタスク管理だけでも改善の一歩として有用だが、次はぜひ自動ビルドとデプロイを実施してほしい。

 ソース・コード管理システムには最新版が入っているのに、評価環境および本番環境に展開し忘れたために問題が起きたことがないだろうか? 人間が手動で行うリリース作業では必ずこのようなミスが起きる。自動ビルドとデプロイ機能を使用して自動化を行えば、このようなミスを大幅に減らすことができる。オープンソース・ソフトウェアでは、Jenkinsというツールが有名だが、TFS Expressでもこのような自動化が可能だ。

 次回は、プロジェクトの作成および、自動ビルド、デプロイ、クラウド・サービスへのデプロイについて紹介する。

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